旅行・地域

出発の前の日

雨の音で目が覚める。

ものすごい大雨である。

研修初日と同じ。

スカイタワーには行けそうもない。

初めて、朝のニュースを自室のテレビで見る。

研修していたときは、一日中英語だったから聞きたくなかったが、もう今日で最後となるとどうして今まで観なかったのかと後悔。

こちらの女性キャスターはニュースを読むのに、派手な大きな花柄のドレスなど着ている。前にリビングで観たときは真っ赤なドレスを着ていた。

10時前にバス停へ。いつもの坂道もいとおしい。

バスに乗り、オフィスへ。

中国系女子とぽっちゃりさんとおじいが出迎えてくれた。

「あなたがいなくなってから、みんなで寂しい寂しいって言ってたのよ」と言ってくれた。

それから、ぽっちゃりさんがこっそりみんなを呼びに行ってくれて、ざわざわと何人もの人が来てくれた。

ケーキおばあも、もちろんやってきてくれてハグしてくれた。

土曜日から昨日までの5日間の出来事を手短に話すと、みんな楽しそうに笑っている。

それから「また連絡してね」と笑顔で握手などしたりして、ばらばらと仕事に帰っていった。

「それで、ここでもう少しいたいの?」とぽっちゃりさんが聞いてくるので、「いたいというより、もう住みたいですなあ」と答えた。

「でも、私の英語は相当ひどいとツアーの運転手さんにもガイドさんにも言われたので難しいでしょうなあ」

「あなたの英語は決して悪くないわ!」

ぽっちゃりさんはそう言い放つと、おじいを呼んだ。

「この子の英語力をどう思う?」

「立派なもんだと思うよ。聞けるし読めるし。ただ、君はあまりしゃべらないから知らない人には理解できなくてしゃべれないと思われるんだよ」

「そうよそうよ。留学生の中にはもっとひどい子もたくさんいるわ!」

二人とも私のために熱く語ってくれた。いい人達である。

「君は、ここでいろんな人に出会い、コネができたから、ここで住むことは難しくはないよ!」と微笑むおじい。

「これが私の自宅の住所とメールアドレスよ。何かあったら必ず連絡しなさい」というぽっちゃりさん。そして、なぜか会ったことのないご主人とまだ赤子の天使の名前も書かれていた。

「あなたがいなくなってから、私は仕事がつまらなかったのよ」などと言ってくれる中国系女子。

ここは本当に居心地の良い場所だった。

名残惜しいが、忙しくなってきたので帰ることにした。

中国系女子と笑顔でハグ。ぽっちゃりさんとハグすると、またぽっちゃりさんが涙目に。泣きそうになったがぐっとこらえて、さよならした。

オフィスから出ると、やっぱり涙が出てきた。

ケーキおばあのおすすめのアートギャラリーに行ってみたが、絵を見ながら涙が出た。周りの人からは感動して泣いているように見えただろうか?

ニュージーランド、あっぱれである。素晴らしい人たちがいる素晴らしい国である。

今回も参りました。

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ロストワールド

6時半にご主人に送ってもらい、ワイトモへのツアーバス集合場所へ。

ツアー会社の窓口には、明らかに男の人が女装しましたという風貌の女性が。髪の毛を伸ばし、きれいに化粧して胸パットも入れ、ミニスカートをはいているが、見た目も声も男だった。

日本では、今でも特別な才能がないかぎり、なかなか夜の店以外では働くことはできないだろう。

朝からものすごく驚いたが、そのようなそぶりは見せず、彼女の説明を聞く。しかし、どうにも腕のむだ毛がうずまいていることとか他のことに気をとられ、話半分である。

そして、7時に小型バスで出発。

今日も雨である。

途中の休憩で同じバス会社の運転手のおじいさんが挨拶をしてくれた。今回は前回で学んだので、休憩場所で温かい紅茶とマフィンで腹ごしらえする。

私が選んだツアーには同じバスの人は誰も参加しないらしい。前回と同じパターンである。自分でカウンターでチェックインし、座って待っていると、ツアーガイドらしき女性が現れた。

今回はワイトモの原生林がある所に100メートル下までロープで下って、その後洞窟を探検しようという「ロストワールド」というツアーだった。

「世界不思議発見」で観てから、やりたかったことのひとつである。洞窟をタイヤにのって進むブラックウォーターラフティングもやりたかったが、時間がないので、ひとつしかできない。

参加者はオランダ人の新婚さんとイギリス人男性だった。

面倒なので、「英語の勉強に来た」ことにした。

オランダ人夫婦は母国語のように英語を話す。4人で盛り上がってうらやましい。

なんとか言っていることはわかるが、会話に入っていけない。私に向かっての質問は答えられるが、4人の会話は流れていくので話に加わると中断させてしまう。

着替えをする場所に到着し、つなぎと長靴とヘルメットを装着する。

長靴の一番小さいのでも大きい。

「これが一番小さいサイズ?」と女性ガイドに聞くと、「それが一番小さいよ。あなたは本当に小さいのね。でも、それでぬげないと思うわ」と。

他の人たちが大きいのだと思うんですけど。オランダ人夫婦は軽く170センチは超しているし、イギリス人男性は、180センチはあるだろう。

準備できると、カラビナの使い方を教わりながら歩いていく。そして、ついに100メートル下にロープで下りるときがきた。

オランダ人妻からである。彼女はとてもおびえていた。「大丈夫」とガイドと夫に励まされ、どうにか定位置に。

ついで、夫。こちらはなんなく定位置に。

そして、私。なぜかいつもこういうのは全然怖くない。「あなた、届く?」と心配されたがちゃんと届いた。

最後にイギリス人男性。彼もとてもおびえていた。「昨日、スカイタワーからバンジージャンプしたんだよ!」と自慢していたというのに。

進み方と泊まり方の説明を聞いて、いざ下へ。足も使って進んでいると、ガイドが「あんたは軽いから足は使わなくて良いよ」と言うので手だけで。

5人で一緒に進むから早く進みすぎないように、と最初に説明を受けていたが、怖がっている妻とイギリス人男性と妻を気遣う夫にあわせているつもりが、がんがん進んでいて、「速すぎるわ」とガイドに注意された。

そして5人同時に着地。

エキサイティング!と騒ぐ3人の参加者。しかし、私は「こんなもんなの?」という感想だった。ガイドはそれがわかったらしく、「物足らなかったの?」と聞くので、「いいえ、とても楽しかったです」と答えた。

しかし、下からの風景は絶景である。本当にロストワールドだ。恐竜がいてもおかしくない。映画みたいな風景。

それから、ヘルメットのライトをつけて、洞窟探検。

そこも妻、夫、私、イギリス人男性の順番である。

妻は足場の悪い洞窟内でかなり困っていた。そのたびにガイドと夫が手をひいたりしながら進んでいる。

私はガイドが言うように小柄だからか特に何の問題もない。みんなが横にならないと進めない岩場も前に向いたまま進めるので楽ちんなのだ。

途中、夫が妻の様子を見ていて、「ここは足場が特に悪い」と思われる場所に立ち止まって手を引いてくれようとしたが私が気づかずに自分でどしどし歩くので、途中から気遣われなくなった。

もしや、これが結婚している女としていない女の違いではないか?と。

妻は私から見ても、守ってあげなくては!と思わせるかわいさがある。たとえ、身長が20センチ以上大きくても。

しかし、せっかくちょっと危険で楽しそうなところなのに、手をさしのべられても「いいえ、結構!」とさしのべられた手を振り払いたくなるのである。(実際にはしてないけど)

人生においてもそういうところがままあるのではないか?と。

しかし、自分が楽しいと思っているほうを選んでいるのだからしょうがない。結婚したいと思っている女性は妻を見習ったほうがいいなあと納得していた。

すると、ガイドが「あなたはここに来る前はもっと英語が下手だったの?こっちに来てから上手くなったの?」と痛いところをついてきた。

「いいえ、私の英語は変わりなしです」

「英語の初心者なのね!」

いいえ、中学生の時からなのでほぼ20年勉強していますが、この程度なのです。

と心の中で回答した。

もし、口に出して答えたらものすごい驚かれるに違いないので。

最後に、真っ暗な洞窟の狭い岩場を進んでいった。ヘルメットのライトを消すと、ツチボタルが洞窟の天井で青い光を放っていた。

写真でみたのと同じ。本当に星空を眺めているようである。

このツアーではツチボタルを見ることはないだろうと思っていたので、一番感動した。ライトをつけてよく見ると、気持ち悪い虫なのに、ライトを消すとこんなにも美しい光を放っているとは。

後ろ髪を引かれながら、洞窟を後にした。

ガイドに何度も「あなたは本当に小さいのね」とか「彼女は特別に小さいから」とか言われたが、このツアーは大柄な人しか参加してないのだろうか?パンフレットには、10歳以上から参加可能と書いてあるが。私は日本人の中でも小柄な方だが、特別に小さいほうでもない。謎である。

「あなたはずっとこの仕事を続けるの?」と妻がガイドに聞いていた。

「わからないわ。私は川の流れと同じで同じ場所に長くいられないの」と笑っていた彼女は私の次に小柄であるが、2リットルのジュースと5人分のお菓子、その他いろいろが入った大きなバッグを背負って自分よりも大きな男性を支え続けていた。

「彼女は本当にタフだわ!」妻の言葉に全員賛同した。

14歳の時にガンズアンドローゼズのライブに初めて行ったという彼女。ということは私とほぼ同じ年である。

イルカと泳ぐツアーのガイドも全員女性であった。

ニュージーランドは女性がタフで元気な国である。

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変化

1泊2日で、10数年前にホームステイしていたホストマザーに会いにクライストチャーチへ。

彼女は明らかに年をとっていた。お互い様ですが。

まず、運転が元々下手だったが、さらに下手になっていた。車に乗るのが怖かった。

駐車券を入れる場所がわからず、お札を入れる所に無理矢理入れようとするから、「ここだ!」と教えた。

人の話を聞かない傾向があったが、さらに聞かなくなっていた。エンドレスに自分の話を話すが、どんどん話題が変わるので途中から何の話をしているのやらさっぱりわからなくなった。

昔はこの人に頼っていたなあと思った。光陰矢のごとしである。

新しいパートナーに会ったが、結婚しているわけではなく半同棲?らしい。

最初の結婚相手の印象が強いので、(しかもとてもいい人だった)どうにも会話も続かない。

そして、ホストマザーと私の二人だけになると、最初の結婚相手の人の話がでてしまい、途中から参加したニューパートナーは、無言になり、気まずい。

そして、何より町が変わっていた。当時のあのこじんまりとした雰囲気が好きだった私には寂しい変化だった。

ショッピングモールが当たらしく3つもできていて、今はそこがトレンドだとホストマザーは言うが、モールにある店は、オークランドでも見たことがある店でどうやらチェーン店らしくて私には特に買いたい物はなかった。

ただひとつ変わっていない物は私の語学力だけだった。

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クリスマスの準備

今日は、私がたまたま買ったクリスマスの教会のコーラスCDが滞在先の近くであったことが判明したため、ご主人にその教会へ連れて行ってもらった。

車に乗る前に、「倉庫の階段のところに貝殻を並べているのはなぜか?」といつも疑問に思っていたことをたずねると、「ここに置くと、毎朝出かけるときに海に行ったことを思い出すことができるだろ?」と嬉しそうだった。

驚いたことに歩いても10分ほどでいける距離である。

今日は日曜なので信者がたくさん来ていてセレモニーがあるとのことなので、それが終わった頃に行ってみた。

本当にみんな正装している。というか、盛装?

子供も大人もドレス着てるし。

「赤毛のアン」の教会用の服っていうのを思い出した。

外観は煉瓦造りの古くて立派な建物。ご主人の説明によると、教会のすぐ裏に教会が運営している小学校があるという。

小学校は木造で、暖かい感じだった。「とてもいい学校だよ」

それから、教会の中へ。

欧米の教会の造りは、まあどれも似た感じである。

そこに大きな透明の器に水が入っているのを発見した。

「あれは何?」

「あれは、赤ちゃんが洗礼を受けるときに使う水だよ」

小説とかで読んだことがあるが、実物を見たのは初めてだ。そばでじろじろ見まくっていると、神父さんが「こんにちは」とやってきた。

神父さんは大体おじいさんである。ちょっと若い神父さんは雰囲気ではないし、実際あまり見ないのはなぜか?

「この子は日本から私の所に滞在していて、この教会に興味があるとのことなのでつれてきました」

「教会はいつでも誰でも受け入れていますよ」

神父さんに挨拶し、握手をした。そして、神父さんの歯のほとんどが虫歯であることを発見した。

教会の外に出ると、隣の大きな白い建物が神父さんの家だとご主人から聞いた。金持ちなのに、歯医者に行ったらいいのに。。。

それから、奥様が働き始めたフレンチのお店に。今日は10周年記念ということで、なにやらのサービスがあるらしい。

立地場所は工場?という雰囲気の殺風景な所であったが、お店のなかはフランスの田舎っぽくてなかなかおしゃれである。

店の経営者らしきおじさんが、ご主人を見つけ無料のシャンパン?をふるまっている。奥様が働いているブティックに行って声をかけると、カフェの方に連れて行ってくれ、紅茶をごちそうになった。

カフェも街のカフェと違い落ち着いた雰囲気である。音楽もクラシックが流れ、老夫婦が食事をしている。

お兄さんも男前である。

お茶を飲んだ後、店のなかをぐるっと一周。フランスのワインやお菓子を輸入して販売しているらしい。

気になっていた雑貨コーナーでクリスマスの飾りようの鳥を買った。こちらの飾りはラメラメで派手派手である。最初見たときは、どうだろうか?と思ったが見慣れるとかわいく思える。もうすぐ日本に帰ることだし、記念に買うことにした。

それから、丸い缶に入ったCDを購入。何を買うにも選ぶのに時間がかかる私は、CDを選んでいる間に奥様に見つかり、「まだいたの?」と声をかけられた。

それから、一路スカイタワーへ。

どのガイドブックにもオークランドの見所のトップに書かれていて、大学からもいつもその姿を眺めていたが行く機会がなかったのである。是非とも行かねば。

しかし、天気予報は晴れだったのに、朝までは晴れていたのになぜか雨。

今日タワーに昇っても何も見えそうにない。

ダウンタウンで今一番はやっているとガイドブックに載っていた通りに行ってみる。

なるほど。一番大きな通りは、いまいちな土産物屋や大きなデパートぐらいしかないが、ここは小さいがおしゃれな店が多い。

そこでいろいろ見て回り、大学に行っていたときに中国系女子に連れて行ってもらったフードコートへ。

そのときは、前に大学で働いていたけど今はアニメーションスクールの事務をやっているという香港人の女の子と一緒に初めてのマレーシア料理を食べた。

そのときも帰りに雨が降り出して、香港人の女の子に傘を借りることになったが、時間がなくなったので、走って戻ったのだった。

彼女の「アイハブマイアンブレラ」というかわいい声を思い出した。彼女は身長が140センチぐらいでちょっとぽっちゃりした色白のショートカットの赤ちゃんみたいな容貌の女の子だった。

そのときは平日だったから混み合っていたが、今日は人もまばらである。

それから、ガイドブックに載っていたビクトリアマーケットというところに行ってみるが、なんですか、ここは?というぐらいにさびれた店しかなかった。

昨日、購入した羊のスノードームもここでは3ドルも高い。ぼったくりだ。

見る物もないので、バスに乗り、滞在先へ。

ご主人の屋根のペンキ塗りも朝のままである。

帰るとちょうど、クリスマスツリー用のもみの木を設置しているところだった。本物の170センチ以上あるもみの木はいいにおいがする。

奥様が、「今年の飾り付けはあなたにまかせるわ」というので、プレッシャーを感じながら飾り付け。

先週、ぽっちゃりさんと一緒に行ったチョコレートの店で、クリスマスツリーの飾りようのサンタのチョコも飾ってみる。

ご主人は、「素晴らしいよ。趣味が良いね」と誉めてくれるが、ちょっと怪しい。

なぜなら、余ったゴールドの丸い飾りをデッキにある白いパラソルにホッチキスでとめはじめたから。しかも3個だけ。

「すごくいいだろ?」と言うので、どうだろうか?と内心思ったが「グッド」と答えておいた。

奥様がウォーキングから戻ってきて、ツリーを誉めてくれたので、「ご主人も飾ってます」とパラソルを指すと、吹き出していた。「ちんどんやみたい」と。

階段の上の貝殻といい、ご主人の趣味は時々わからない。でも、とてもかわいらしい。

夕食後、ライトをつけてみると、飼っている黒猫がツリーの下に座り、とても雰囲気がでた。

パラソルのゴールドの玉も窓の外で照らされていた。

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ひひっ

今日は、ベイオブアイランズにイルカと一緒に泳ごうツアーに行く日。

仕事ではないせいか、朝5時に目が覚めると、庭で鳥の鳴き声がすごい。鳴き声というか、騒いでるような。

ご主人に集合場所まで送ってもらうことになっていたので、7時前に朝食。ご主人が作ってくれていた。本当にまめな人である。

「今日は鳥の鳴き声で目が覚めたよ」と言っていた。

こんな都会で、鳥の鳴き声で目が覚めるなんて。

それから、朝食を食べて準備をしていると、「用意した?」とご主人の声。

あわてて、出発。

集合場所にはもうバスが。

バスに乗ろうとすると、運転手のおじさんが、「オフィスで手続きしてからだよ」と。

レシートみたいのをもらい、バッジの代わりに胸に黄色のシールを貼れとのこと。それを貼ってバスに乗ると、見事にアジア人は私だけだった。欧米人複数とインド系2人。

運転手のおじさんは、出欠をとるときに、「あなたはどこから来たの?」とひとりひとりに聞いていく。

それから、おじさんは、「今日はツアーに参加してくれてありがとう。いろんな国から来てくれているよ。まず、スペインから○人、スイスからカップルが、インドからレディが2人、ジンバブエからレディが1人、オーストラリアから○人、そして、日本からヤングガールが1人、みんな楽しんでいってください」

おじさん、私はもうヤングガールではありません。なぜ私だけレディではないの?

若く見られるのは嬉しいが、素直に喜べる時とそうでない時がある。最近は、そうでない時が圧倒的に多い。

まず、小柄だからというのは仕方ない。アジア人は若く見えるのも仕方ない。問題はそれ以後のことである。これは推測であるが、「ノーメイクである。(最近、化粧することも面倒だ)服装や持ち物が安物である。(スリ、置き引きにねらわれないように自意識過剰の注意を払っている)アホっぽい。(英語が不自由なため、よく子供扱いをされる)・・・」などの理由で若く見られると思われる。

バスが走り出すと、運転手のおじさんの自己紹介がはじまった。「私はマオリ人だよ。これからハーバーブリッジを渡って北へ向かうよ!・・・」あとは時々聞き取れたが、大部分わからなかった。そしていつものように無意識のうちに眠っていた。

「さあ、モーニングティーの場所にもうすぐ着くよ。30分だけしか止まらないからね」という声で目が覚めた。

バスの発車時刻だけには敏感になる。置いてけぼりは恐ろしい。

ついたとたん、トイレへ。

で、みなさんはコーヒーや紅茶と一緒に甘ったるいマフィンやケーキなどを朝から食べているが、水は持参しているし、朝食はしっかり食べたので、絞り立てのオレンジジュースと昼ご飯用のバナナを頼んだ。

マオリの男の子が、「ジュースを作るからちょっと待ってて。こっちだよ!」と言う。入り口にあったパチンコ台みたいな機械がオレンジジュースを作る機械らしい。皮のまままるごと放り込んでいく少年。まるごとジュースか?とじっと見ていると、皮だけが半分にとれて、ジュースが絞れるしくみになっていた。

しかし、まるごと1個ずつ入れるので調整がきかない。私のコップのジュースが満タンになると彼は2杯目のコップを用意した。2杯くれるのか?

そんなに甘くはない。次にジュースを頼んだ人が私の残り?の続きを飲むのだ。

ジュースを飲んで店の土産物を見ていると、羊のスノードームが目にとまった。値段は5.4ドル。まあ、そんなもんだろう。ちっちゃいスノードームの中の子羊が愛らしい。しかし、これは、日本でいうドライブインにおかれている土産物っぽい。ちょっと安っぽいところとニュージーランドを強調しているところが。

買わずにバスに戻り、また睡眠。

気づくと目的地に着いていた。「なんとかの人はここで荷物を持っておりてください。・・・」またわからない。

とりあえず降りてみた。インド人の女の子が歩いている方向に行っていると、バスのおじさんに「あんたはダメ!」と引き留められ、旅行カウンターみたいなところに連れて行かれた。「イルカと泳ぐ船はあそこから出るからね。」

「帰りのバスの時間は何時ですか?」

「心配いらないよ。あんたが戻ってくるまで待ってるから。日本人が英語が苦手なことはわしはよくわかってるんだから!」と自慢げなおじさん。

出発までに時間があるので、カフェに入ってサンドイッチのみを購入。「飲み物もいらないの?」とびっくりするおばちゃん。「いりません」

水が鞄に入ってるし、朝買ったバナナもあるから。

こちらの人は何かといろいろ注文する。飲み物はもちろん、甘いデザートも絶対だ。

食べ終えると、水着に着替えるところがあるのか旅行カウンターのお姉さんに聞きに行った。「船の中にトイレがあるからそこで着替えて」

すると、二人の美女が運転する黄色い船が戻ってきた。どうやらこれっぽい。

乗り込むと全部で14名の客。全員欧米人。注意書きは日本語版があったので、日本語版にした。

それから、ジャクリーン・ケネディみたいな40代の女性と20代の金髪女性がそれぞれ説明してくれた。

船が出発すると、もうひとり助手っぽい若い女の子に「水着に着替えたい」というと「トイレに」と案内された。一つしかない。

みんなどうやって着替えるのだろうか?

水着の上に洋服を着て座っていると、イルカが。

船のそばで何頭ものイルカが泳いでいる。水族館みたいだと思った。

早く泳ぎたい。

しかし、周りにも同じようなツアーの船が何隻もあるため、ここでは泳がないようだ。

しばらくすると天気が悪くなった。雨が降り始め、寒くなった。持ってきていた洋服を全部着る。他の人たちは泳ぐのに備えてか、薄着(短パンに裸足でビーサン)であるため、隣の女性はふるえている。スカーフを取り出し、首にまいていた。

寒くなってきたので、操縦しているジャッキーを見習い(彼女は昼ご飯を食べながら、足で操縦していた)持っていたチョコを食べることに。もうひとりの金髪女性もリンゴを食べたりバナナを食べたりしながら、双眼鏡でイルカを探している。

また気づいたら眠っていた。

「残念ですが、今日はイルカとは泳げません。いつもこの辺りにいるのに、今日はいないんです」

ジャッキーと金髪女性がそう言うと、またもとの海路を帰りだした。

日本だと、「申し訳ございません」とか言って頭を下げ、すまなそうなそぶりを見せるだろうが、二人とも今日はいないんだからしょうがないでしょってな感じである。

おいおい、寒いし泳げないし何だよ!と心の中で思ったが、他の人たちは特に不満を言うでもなく笑顔である。

そのうちまた睡魔が。

一日中眠っている。遠くまで昼寝に来たとしか思えない。

到着すると金髪女性が笑顔で「サンキュー」と言った。その笑顔を見たら、イルカもあんなに近くで見れたし、良かった良かったという気分になった。

バスの運転手のおじさんが待っていた。

あんなにいろいろ食べたのに、まだお腹がすいている。

特に船のなかで前のおばさんが食べていたスナックが食べたい。

しかし、ここは日本でないからコンビニなどそうそうないのだ。周辺を見て回ったが、アイスクリーム屋さんしかなかった。

バスに乗ると、おじさんは朝と変わらずハイテンションであるが、客はノーリアクションである。

そして雨も激しくなってきた。

すると、急にバスが何かに乗り上げたように上下に動き、停車した。

「パンクしたみたいだ。ひひっ」とおじさん。

おじさんはいつも何か言ったあとにおかしいことでもないのに「ひひっ」と笑う癖があるようだが、このときほどその癖は直した方がと思ったことはない。非常事態に当事者に陽気にされたり、笑われたりすると腹が立ったりするものである。

ざわつく乗客達。

「他のバスがもうすぐここに到着するからそれまで音楽でも聴いて待ってて。ひひっ」おじさんの笑い声がまた悲しく響く。

しかも、音楽もクリスマスソングらしいが、弾んだリズムでこの場には全然あってない。陽気な音楽だけにさらにもの悲しくなる。

「バスが来たから、みんな乗り換えて。ひひっ」

どうやら、オークランドとベイオブアイランズとの長距離高速バスに乗せてもらえるらしい。

おじさんは一人で残り、修理の車を待つらしい。

雨も激しくなり、おじさんがかわいそうになってきた。他の乗客も同じように感じたのか、おじさんの背中をさすったり、声をかけたりしている。

私も「サンキュー」と声をかけると、「ひひっ」と笑ってくれた。

おじさんを残してバスは出発した。今度の運転手さんはごく普通である。

そしてまた眠っていた。

「休憩場所に着きます。15分間で戻ってきてください」

朝、バナナを買ったお店に着いた。

どうやらあのスノードームは私に買われる運命らしい。

朝と同じ状態で1つも売れることなく残っていた。こうして子羊は私のものとなった。

そして、見慣れたスカイタワーが見えてきた。オークランドだ。

なにやらいろいろあったが無事に帰れて何よりである。

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お別れの日

今日は最後の日。

そして曇り。初日の大雨の日のことを思い出した。

なぜか、朝食前に日本の職場でのイヤなことを急に思い出し、戻らなければならないことがものすごく苦痛になってきた。

オフィスに着くと、「おはよー」と中国系女子。最近、彼女は日本語を話すことにはまっている。

ぽっちゃりさんは大好きな緑色のセーターを着こなしている。

「日本に送る荷物は全部持ってきた?」ふたりに質問され、「持ってきたよ」と書類の束をみせ、箱に詰める。

10時前になると、ケーキおばあがやってきた。今日の私のためのスペシャルなケーキはチョコレートケーキの中にリンゴが入っているケーキだという。

11時までかかって作ったらしい。私が手裏剣を折っている間に、おばあはケーキを焼いてくれていたのである。

それから、真っ赤でおいしそうな大量のイチゴ。サンドイッチ、スナックなど次々と用意されていく。

ちょうどオフィスに来ていた中国人留学生が、「クリスマスパーティー?」と聞くので「違うよ」というと、「じゃあ何?」と聞くから、「私の最後の日だから」というと「フェアウェルパーティーだね」と納得していた。

パーティーのお礼に日本から持って来ていた笛を吹いても良いか?とぽっちゃりさんに聞くと、「もちろんよ。今のうちに練習しなさい」というので、吹いてみた。まあまあである。

さて、10時になるとどこからともなく人が集まり、いつの間にか好きな物を食べ始めた。もう始まりですか?

それから、私がインタビューした人たちにぽっちゃりさんがメールを送ってくれていたので、3名ほどわざわざ来てくれた。

ありがとうと彼らに言うと、みんな口をそろえて「わからないことがあったら、日本からメールしなさいよ。あなたに会えて本当によかった」と言ってくれる。

ケーキおばあは、カメラおばあに変身し、持参のカメラで写真を撮りまくってくれる。「はい、そこ並んで。あんたはでかいんだから、後ろへ行きなさい!笑って」といった調子で、私に「次はあそこに行きなさい」「次はあそこ」と細かく指示をしてくれる。

「私もカメラを持ってきてるから、私のカメラで撮って」と言うと、「あなたのパーティーでしょ?私が撮るわよ!」と言ってひかない。

しかし、メモリーオーバー。

私のカメラで撮ることとなった。

そこへ、ぽっちゃりさんが、「みなさん、お静かに!」の一声。

プレゼントとカードを渡してくれた。

そこで一言なんか言おうかというときに、「これから日本の笛の演奏をしてくれます!」そして拍手。

音の調節をして、吹き始めた。結果はまあそこそこ。

しかし、みんな喜んでくれたようだ。「あなたの演奏とても良かったわ」とたくさんの人が言ってくれた。

去年から練習していて良かった。芸は身を助けるとはこのことである。

それから、いつの間にか人が減って、この前のお誕生会のメンバーが残っていた。

中国系不思議ちゃんは、今日もすすんで皿洗い。「私はこれが楽しいから気にしないで!」

片づけを手伝っていると、ケーキおばあが、「あんたは主役なんだから、ここでお茶でも飲んでいなさい!」とのこと。

余ったイチゴやスナックをミルクティーと一緒にいただきながら、みんなを眺めていた。

おばあとぽっちゃりさんと中国系女子だけになったところで、日本から持ってきていた和柄ハンカチとカードをそれぞれに。

ぽっちゃりさんは、「まあ、きれい。鳥がついているわ。天使は鳥が好きだから喜ぶわ」と言ってぽっちゃりした体で抱きしめてくれた。

おばあに渡すと(おばあは朝いちばんで、私にプレゼントをくれていた。しかも結構重い。荷物と一緒に送れば?という中国系女子の意見に「だめ!」と全否定。荷物が減ったと思ったらまた同じになったのだ)「まあ、なんてばかな子なの?」といいながら、抱きしめてくれた。

それから、中国系女子に。「まあ、ありがとう。日本に帰っても連絡してね」

不思議なことだが、彼女にはまた絶対会えるという確信がある。彼女もきっとそうなのだろう。だからお互い結構笑っていられる。

それから、各チームに一枚のカードと私の力作の手裏剣を人数分配りに行った。

「あなたはなんて親切なの!」とみんなに驚かれた。

はかないアグネスは涙ぐんでいた。

それから、ぽっちゃりギャルと記念撮影。「また連絡してね!」もちろんである。

英国美人にも挨拶し、日本で2年間英会話を教えていた彼女に英語習得の秘訣を聞いた。「とにかく練習することしかないわ。でも、日本では日本語しかしゃべらないから難しいとは思うけど。できるだけ英語を聞くようにして。エクスチェンジパートナーを持つといいと思うわ!」

エクスチェンジパートナーとは、たしか私が日本語を教える代わりに相手に英語を教えてもらうというやつである。

つまり、しゃべらないことには上手くならないということだ。

お腹がいっぱいなので、サンドイッチだけ買ってきてオフィスで食べた。

それから、最高のチームのところへ。フレンチ美人は足を骨折していたが松葉杖をついてパーティーにも来てくれた。

リーダーはカードを渡すと涙ぐんだ。一緒に泣いてしまいそうだったので、話題を変えた。

すると、彼女の涙もおさまり、少し話した。

「最初に日本人が来るって聞いて私は嬉しかったの。私たちは日本語が読める人を必要としていたから。あなたと働くことができて本当によかったわ」

「こちらこそ、あなた達と働くことが出来てよかったよ。いつも誉めてくれたし」

「当然よ。あなたはハードワーカーだったもの。もし何かわからないことがあったらメールを送ってね」

それから心優しいコナン君にもさよならを言い、フレンチ美人にもさよならを言った。

彼らのオフィスを出ると、雨が降り始めていた。

走って戻ると、もう疲れていた。今日はもう帰ろうと決めて、荷物の準備をしていると、ぽっちゃりさんが、「これは私から」とオリーブオイルのオーガニックシャンプー、リップのセットをくれた。「リップを塗ってみなさい」というので、塗ると美味しい。「美味しいね」と言うと、「これは食べ物じゃないわよ!」と真面目に言われた。

ぽっちゃりさんにハグとキスをされ、お互い泣きそうになったが、こらえた。何しろ私は一度泣き出したらしゃっくりみたいのがでて、非常にやっかいなのだ。

そして、中国系女子ともハグ。「連絡してね」と彼女はいつものように微笑んだ。

「じゃあ、またね!」とみんなに手を振り、オフィスをでて歩いていると、泣けてきた。何回か我慢していたものが一人になって解き放たれたのだ。

泣けるほど別れが辛いなんて、私はなんと幸せなんだろうと思いながら。

ぽっちゃりさんがみんなの前で渡してくれたカードには、全員の寄せ書きがあった。それを見たときも泣きそうになった。

私が気づかないようにこっそりカードを回していたようだ。

それから、何人もの人たちが、「またすぐに帰ってきなさい!」「あなたはすぐに帰ってくるに違いないわ!」と言ってくれたことを思い出したら、また泣けた。

ニュージーランドにはいつも泣かされる。3度とも私は泣いた。別れの悲しさ、親切にしてくれたことの嬉しさ。いつも同じ涙である。

余談であるが、ケーキおばあのプレゼントもオーガニック化粧品であった。

どういうこと?もっとおしゃれになれってこと?

二人ともが別々のところで同じことを考えていたってことは、私は女としては相当ダメダメだったようである。

プレゼントを開けたら、かなり笑えた。

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手裏剣しゅっしゅっしゅっ

9時半からインタビュー。

無理矢理お願いした相手だったので、また緊張。

出してくれた紅茶をこぼす不始末を。

11時から、偉い人にインタビュー。

これまた緊張で言っている言葉が右から左へ。

そのときはわかっていたつもりが、ぽっちゃりさんの部屋に戻るとわからんことに気づく。

「これってこういうこと?」と中国系女子にいちいち聞いてみると、ほとんどが私の勘違い。聞いてみて良かった。

午後はそれらを和訳し、報告書作成に備える。

なぜなら明日が最後の日だから。一体何通「ありがとう」カードを書くのか未だ定かではないから。

帰ってから、まず今日のインタビューのまとめ。

それから、カードの数とスタッフの数を数えてピッタリと気づいた。我ながらたいしたものである。

100円ショップで買った千代紙。このまま日本に持って帰るのもどうだろう?と定番の鶴を折ってみたが、なにせ100円ショップの千代紙。紙が薄いから全然きれいじゃない。

ネットで折り紙の折り方を検索。折り紙なんてもう何十年もやってないから、鶴以外プレゼントに最適なものを思いつかないから。

手裏剣というのがあった。2枚の折り紙を使うので見た目にもきれい。手裏剣などと誰が思おうか?

試しに折ってみた。100円ショップの千代紙とは思えないできばえ。調子に乗って何枚も折ってみた。すると、今度は全員の分を折らないといけないことに気づいた。

途中でやっぱり鶴にしようと折り始めたら、見た目がしょぼい上に、手裏剣より手間がかかることに気づき、鶴を解体し、手裏剣へ変更。

千代紙の色で目がちかちかしたが、とにかく我を忘れて折り続けた。こんなに折り紙を折ったことはかつてない。

千羽鶴も折ったことないから。

しかも、手裏剣だし。

色の組み合わせをどうしようかと、しょうもないことでも悩みつつ、何とかやり遂げた。

果たしてこれを喜んでくれるのだろうか?

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君に薔薇薔薇

今日も晴れ。

ぽっちゃりさんにお願いしてあった質問の回答をもらった。

が、しかし、添付資料が多いこと。全部訳すのか?

今日は他にすることもないので、読んでいると、質問しないとわからんことがいっぱい。

「今いいですか?」と聞いて早速質問。

そして、私の日本の職場では考えられない事実が。

今の仕事と無関係のことで勉強したい場合、フルタイムで働けなくなっても今までどおりの金額の給料が支給されるというのだ。

うちの職場では、「代わりに誰が仕事をするのか?お前の分まで私がするのか?しかも今の仕事に関係ない勉強ではないか?」等々まず言われるね。

それから、それでもがんばって自分の仕事をこなしながら勉強していたとしても何かがあると、「だから、ムリなんだよ!二足のわらじは!」「仕事に集中しないなら辞めてくれ!」ってことになるね。

職員のキャリアアップは、仕事に関係ないことでも職場の財産とみなされるらしい。

素晴らしい。

それから、おじいの日本製トラクターの使用方法の翻訳のため、中国系女子とベトナム女性といっしょにおじいの家へ。

ここはどこ?イギリスのカントリーサイド?

と思われるような広大な庭に花や果物の木がたくさん植えられている。しかもプールつき。

プールの上には橋?みたいのがかかっていたから、みんなで質問すると、

「この前ここで結婚式をやったんだよ。この橋の上を新郎新婦がわたったんだよ。150人ぐらい集まったかな」

うちの日本の家に150人集まったら、まず、みんな立ったまま。近所からうるさいと苦情がくるだろう。

それから、メインのトラクターの使用説明の翻訳へ。

トラクター自体に貼ってある「注意」とか「スイッチオン、オフ」とかそういう翻訳だった。取扱説明書でなくてよかった。

無事翻訳を終え、記念にトラクターと一緒に撮影。

それからおじいの豪邸で、おじいにミルクティーとビスケットをいただき、ティータイムとなった。デッキでプールと広大な美しい庭を見渡しながら。

ベトナム女性はとてもよくしゃべる。英語がいまいちの私にはそのテンポについていけない。次々に話が飛ぶのだ。

「ここは田舎だから月明かりがよく見えるんだよ。ベッドの中で月の位置が移動していくのがわかるんだ」とおじいが説明すると、

「月明かりの中でプールで泳げたら最高じゃない?ってことは、朝日も見えるわね。朝日とともにヨガをするのもいいわね。おじい、これをビジネスにしなさいよ。まず、ウエディングとかのパーティー用にプールのレンタル、バラでブーケやポプリを作って販売、果物つみ、果物を使ったジャムの販売・・・」と途絶えることなくしゃべる。

私と中国系女子はツボにはまり、ずっと笑っていたが、おじいはちょっと黙って欲しいという顔つきだった。

帰り際に、おじいは、みんなにきれいなバラを切ったり、新鮮なレタスをとったり、ミントをくれたりした。

素敵な午後だった。

人生を楽しむことを、毎日、ニュージーランドは私に教えてくれる。

人間らしく生きるとはどういうことか?

自分のために生きるとはどういうことか?

私が忘れていたことを少しずつ思い出させてくれる。

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コナン君といっしょに

朝は曇っていたが、12時前には晴れていた。

こちらの天気は変わりやすい。

今日は最高のチームへ行く日。

オフィスへ行くと、眼鏡美人リーダーが、「フレンチ美人がカウチで足を打って骨折したの。だから今日は休みよ」とのこと。

骨折!大変である。

「今週中には仕事に復帰するの?」

「大丈夫よ。金曜日にはあなたにさよならできると思うわ」

とりあえず、昨日から引き続きの留学生の子供達のクリスマスパーティーのプレゼントの包装をやりに金髪女性のところへ。

すると、1ヶ月間出張?していたアドバイザーのベトナム女性が今日から出勤していた。お互いに握手を交わし、あと数日しか一緒にいられないことを悲しむ。

不器用な私がプレゼントのラッピングである。昨日はなれていないせいか、包装紙を無駄に使ってしまった。金髪女性が包装紙を追加購入してくれている。

エコな私としたことが。

今日は妙にエコな気分になり、昨日の包装紙の切れ端をつなぎ合わせてむりやり包んだりしてみる。

超エコなラッピングも1時間で終わった。金髪女性に「ブリリアント!」と誉めてもらった。

英語にはたくさんの誉め言葉があるが、相変わらず私の語彙はいっこうに増えない。

リーダーのもとへ帰ると、今日はフレンチ美人のデスクで、エクセルに学生の記録を入力してほしいとのこと。

しゃべらない仕事は得意である。

渡された分を終えると、コナン君に「終わったけど」と言ってみた。

「もう終わったの?じゃあ、これを続けてやって」とさっきの倍以上のファイルをくれた。

渡された仕事は今日中にやってしまいたい、という日本人的発想。

これが働き過ぎの原因ではなかろうか?

「今日は私はミーティングがあるから、コナン君と二人で食べてくれる?」とリーダー。

オフィスの隣のいつものテラスでランチ。

コナン君と二人でご飯を食べるのは初めてである。

彼は物静かだが、とても優しいし気が利く。

「コナン君はニュージーランド人なの?」

「そうだよ。ここは、とても国際的だからいろんな国の人がいるから、ニュージーランド人のほうが珍しいかもしれないね」

「なんで韓国語がしゃべれるの?」

「妻が韓国人なんだよ。でも、ヒアリングはできるけどスピーキングがまだね。僕たち夫婦の会話は英語と韓国語の半分半分なんだよ」

なるほど。

それからコナン君のお気に入りニュージーランドスポットを教えてもらった。なかなかアクティブな人のようである。

「ニュージーランドはいいねえ。自然がいっぱいで」

「じゃあ、こっちで仕事すればいいじゃないか?」

「でも、ぽっちゃりさんが私には仕事がないだろうって言ってたよ」

「あるだろう?こっちの人はいろんな国やいろんな仕事をしているよ。日本人みたいにずっと同じ国で同じ仕事をしていないよ」

そうだね。私が聞いた最長勤務年数が、ぽっちゃりさんの5年間である。

「ニュージーランドはとてもいい国だよ。こっちで働きなよ」

コナン君がもっと偉い人なら可能かもね。

それから、渡された分の仕事を終えると、約束していたインタビューの時間が迫っていたので、今日はそのまま帰ることにした。

で、インタビュー。これは、私が個人的に興味があるという理由で急にお願いしたので、とても緊張する。

この人かな?と今日2回思った年輩の女性がそうだった。

学生のカウンセラーをされている。彼女は私の不安を素敵な笑顔で消し去ってしまった。

しかし、私の英語力である。私の英語になれてない彼女には伝わらないことが多々あって、「スペルを言って」と言われること数回。

「私の英語がわからなかったら、聞きなさい」と言ってくれるので、易しい言葉で言い直してもらうこと数回。気づけば1時間もたっていた。

学生の1回分のカウンセリング時間である。

帰る間際にもう一人のカウンセラーの年輩の男性を紹介してくれた。この人の笑顔も素敵だった。

「この仕事はとてもやりがいがあるわよ」と言って微笑んだ彼女。

思い切ってインタビューのお願いをしてみて良かった。

帰り道、本屋に寄ってみると、日本の漫画コーナーで数人のアジア系男子が立ち読みしていた。ちょっと覗いてみると、ちゃんとあったよ。コナン君。ニュージーランドでも人気らしい。

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お茶の味

今日も快晴。

いつもより格別荷物が多いのは、抹茶をたてるための道具を持っていっているため。

早速、ぽっちゃりさんと中国系女子に「抹茶飲まないか?」と聞いてみた。

ぽっちゃりさんは、顔をしかめ、「今はいらない」と。

中国系女子にたててあげると、本気でおいしいと言っていた。

昨夜、滞在先のご夫婦にたててみると、旦那さんは「これは薬か?」と言って残したから、これを持ってきたのは失敗だったかもと思ったが、荷物を減らしたいので持ってきてみたのだ。

「私はケーキとかアイスにかかっている抹茶が好きよ。飲んだのは初めてだけど、おいしい。これはきっと怪しいガイドも好きだと思うわ」

と言っていたところへやってきたので、飲ませたら、おいしいとのこと。

次にロングヘアーのリーダーがやってきて飲みたいとのこと。たてたところにバブル期の温子登場。リーダーの茶を「飲みたいわ!」と言って飲んでしまった。

いちいちお茶がいるか聞くのは面倒なので、「お茶が欲しい人は呼んでください」と張り紙をした。それを見た、中国系女子はオフィスのスタッフ全員にメールを送ってくれた。

なんて気が利く素敵女子なんだろう。

メールを見たスタッフが続々とやってきた。

アジア系には人気であった。

いつもは滅多に接点のない偉い人(中国系)も、「おいしいから日本食のスーパーで買ってみるから、なんといって買えばいいか教えて欲しい」と言ったので、メモしてあげた。

10人以上にはお茶を点てた気がする。

お茶碗は重いから、使い捨てのプラスチック容器で。

「こんなでかい容器で飲むのか?」(インド系女性と中国系の偉い人)とか「海草のにおいがするが、海草か?」(中国系男子とぽっちゃりさん)とか「砂糖を入れた方がおいしくなる」(メキシカン女性)とかいろんな反応があっておもしろかった。

ぽっちゃりさんは、顔をしかめながら飲み干した。

ランチにコーラを飲むぽっちゃりさんには、まずかろうと思っていたので、ムリしたなあと思っていたら、

「これは、最初はおいしくないと思ったけど、飲んだ後にすっきりするわ。頭が冴えてきたわ!」とリーダーと同じことを言っていた。

手作りケーキおばあは、「おかしな味がする」と言ってリタイア。

インド系女性も、「向こうで飲むわ」と持っていったが飲み干したかどうかは謎。

中国系男子は、「インタレスティング」という言葉で逃げたが顔がもう二度とごめんと語っていた。

英国小顔美人は、いつも控えめに挨拶してくれるだけだが、「お茶を点ててくれる?」とわざわざ来てくれた。

1年間東京で、もう1年は京都で働いたことがあり、抹茶が好きなのだそうだ。

いつもあまり話す機会がない人とも、お茶をとおして話をすることができた。

お茶を習っていて良かったと初めて思った一日だった。

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似合いの夫婦

今日は快晴。

滞在先のご夫婦がマタカナ(何回聞いてもマナカナと覚えてしまう。。。)に連れて行ってくれるので、8時半にはご飯を食べれるように、と昨日から言われていた。

朝食を食べ、9時過ぎに出発。

ピクニックをするとのことで、奥様がバスケットにサンドイッチをつめている様子。

バスケットも籐の篭で、1つは普通のバスケット。もう一つは保冷用。カントリーな雰囲気でおしゃれ。

乗り物に乗るとすぐに眠くなるのはなぜでしょう?

「今日は北へ向かうよ!」という旦那さんに「北へ行こう!」とテンションを上げてみたが、すぐに意識がなくなった。

気がつくと車が止まっていた。周りにはたくさんの鶏が。なんで?野生?

車から降りると、奥様がパンをちぎって鶏に与えていた。ひよこも5羽ほどいてかわいい。

「野生か?」と尋ねると「このあたりに住んでいる女性が餌付け?しており、卵をもらっている」らしい。

いっぺんに眠気もさめたところで、海が見える住宅地へ。

「売れてるわ」と奥様。

3年ほど前に購入しようかと思っていた海が見える高台の家が売れてしまったようだ。オークションだったらしく、3年前の価格の2倍で売却されたらしい。

売れてしまったのを確認に来たようだ。

それから、別の高台のほうへ。オーシャンビューの素敵なお家が建っている。

「お茶を飲みましょう」ということで、新しくできたらしいカフェへ。入るのかと思いきや値段のチェックをさせて欲しいと。そして、入らなかった。

焼き物をそこで行っており、植物もそこで焼かれたポットで飾ってある雰囲気のあるカフェに入った。

「ここにしましょう」と木陰のテーブルを指す奥様。そこはまだ片づけられていないカップが並んでいた。

しかし、そこに決定。

ご主人は注文に行ってくれた。

当然のように先に座りくつろぐ奥様。朝からず~っと見ているが、ご主人はよく動く。ニュージーの男の人はまめだとなんかの本で読んだが、本当にまめだ。

まず、おしゃれなピクニック用のバスケット。2つあったので、運ぼうかとしていると、「それは主人が持っていくからいいのよ」そして、ご主人が2つ運んでいった。

「水を買わないと」ご主人がコンビニへ水を買いに行った。

注文を終えて戻ってきたご主人は、前の客が飲んだカップを2往復してさげている。

そして、二人にはカプチーノ、私には紅茶が届いた。しかし、紅茶は10人前ぐらいのポットに入っていた。

2杯飲んだがそれが限界。

二人に勧めたがいらないとのこと。

陶器の作品を売っていたのでちらっと見て、ビーチに行った。

12時をすぎていたが、全員お腹がすいていなかったので、ビーチで散歩ということになったのだ。

靴を脱いで裸足になるご主人。「こうすると気持ちがいいよ」

首を横に振り、歩き出す奥様。

砂が熱い気がしたので、私もスニーカーのまま歩いてみたが、海のほうでは、多くのサーファーや海水浴するひとたちがにぎわっている。波打ち際を歩いている人たちを見ると、我慢できなくなり、「私も靴を脱ぐ」とぬいで、波打ち際の方を歩いた。

ぎりぎりまで行こうとして早速濡れた。

しかし、砂の粒子が細かいせいかとても気持ちがいい。海も水色で潮のにおいもない。

こんな海なら海は好きと言えるなあ。

ここに車での間、「ホリデイハウス」が並んでいるのを見て、海の近くに2件目の家などと思っていたが、今ならすっかり理解できました。

青い海、どこまでも続く白い砂。

これなら、サーフィンでもしようかと思うだろう。カイトでもあげてみたくなるだろう。

ご主人は、貝殻を拾っている。ここのビーチは奥様の言う「タイルのよう」にびっしりときれいな貝が埋まっている。

ご主人が拾った貝殻を見せてくれた。いっぱい拾ってるね。としか感想がない私。

それから、来た道を引き返すことに。

また濡れた砂浜の方に歩いていくと、ご主人も「僕もこっちを歩こう」とついてきた。

「オークランドに住んでる男の子はみんなサーフィンをするもんだよ。僕も若い頃はサーファーだった」と昨日語っていたご主人。

昔を思い出すのか若い男の子がサーフィンをやっている姿を懐かしそうに見ている。

子供のサーファーもけっこういる。こんな小さい頃からサーフィンが出来る環境がいいなあとサーフボードを眺めていると、子供サーファーと目があった。なんか、ちょっと優越感もった目で見られた気がした。

あんな海ならちょっとやってみたい。

その後、川がそばを流れている木陰でピクニック。このときも、「チキンを買わないといけないわ」という奥様の声で、ご主人はスーパーにより、チキンを買いに行った。

ピクニックセットを広げると、現地で好きな具をはさむ方式らしい。

チキンは丸ごと焼かれた物を買っている。そして、切り分けてお皿に入れてくれるご主人。「僕の分の皿をくれないか?」の言葉に泣けた。

チキン、トマト、アボカドのサンドウィッチ。

どこからかカモメとガチョウが寄ってきた。

パンくずをあげる奥様。

隣でランチを食べていた家族がゴミをおいたまま去っていったことに、奥様は怒りだした。そして、ゴミを拾い始め、川のそばのゴミまで拾い、憤慨している。

ご主人は、慣れっこなのか無視って新聞を読んでいる。ので、私もそのまま自分の食事を続けた。

その後、木陰で寝転がっているとまた睡魔が。

気づくと二人とも帰る用意を。

帰りの車の中は何も覚えていない。座ったとたん、眠ったから。

気がつけば家に着いていた。それから2時間以上眠り続け。日焼けしたのと疲れと両方だろう。

先ほど、どこかへ出かけていた二人が帰ってきた。(元気。。。)

「ずっと寝てたよ」と言うと、「いいことだよ」とご主人。

奥様はパワフルである。

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ラベンダーの優しさ

今日は曇り。しかし、着る服がないので朝から洗濯し、部屋干し。

今日の予定は、ぽっちゃりさんの自宅があるところまで汽車に乗り、そこからカントリーサイドに連れて行ってもらうのである。

旦那さんが駅まで車で送ってくれ、汽車の乗り方を教えてくれた。

こっちは駅がない。車掌さんが各車両にいて、乗ってきた客に切符を売りにくるのだ。

私は、ぽっちゃりさんから10回乗れるチケットをもらっていたので、昔の国鉄のときみたいに切符に穴をあけてもらうだけ。

汽車で40分の最終駅が目的地である。

素敵な景色でも見ようかと張り切っていたが、どうも線路が走っている辺りはキレイじゃない。工場とか倉庫(落書きがいっぱい)とか。

知らぬ間に意識が遠のき眠っていた。

最終駅なので、乗り過ごすことなく目的地に到着。

大通りにでて、ぽっちゃりさんの携帯に電話。「今から車でそこに行くわ」とのこと。

5分ほどでぽっちゃりさんと天使が登場。ちっさいおっさんはいないようだ。

天使は相変わらずかわいいし、ぽっちゃりさんはオフィスと違ってカジュアルでいつもより若くてかわいい。

まずは、かわいいチョコレート屋さんへ。入り口に私の背丈ほどのウサギの置物が。

喜ぶ天使。

チョコもかわいいのがいっぱい。しかも、ダウンタウンの店より若干安い。

滞在先の奥様が来週にはもみの木を買ってツリーを飾ると言っていたので、ツリーに飾るサンタの包み紙のチョコを買った。

それと、テントウムシとハチのチョコ。どれも格安。

チョコの他にカップなど、かわいい雑貨だらけである。いろいろほしいが、かさばるのでやめた。

そして、目指すはカワカワベイ。海がきれいなところらしい。そこに行くまでにカントリーサイドをドライブ。

南島でよく目にした、緑の中に羊や牛、馬が放牧されている箱庭みたいな風景が広がっていた。

海が近づいてくると、クリスマスツリーとニュージーの人達が呼んでいる、赤い花が咲く木が見えてきた。ぽっちゃりさんにもその木について説明を受けた。

あいにくの天気であったが、海は日本の地元の海の色より美しく澄んだ水色で、波の音は心地よい。赤ちゃんが乗っているので、私一人でちょっとだけ散歩した。

自然の音って気持ちいいなあと、ぽっちゃりさんに伝えると、「そうでしょ。私たちもあともう少ししたら海に近い所に引っ越すつもりなの。この子のためにもそのほうがいいと思うし」あくまで自然を愛するぽっちゃりさん。

車か汽車で4,50分かけて通勤しているだけある。

都会は嫌いなのだそうだ。私も田舎の方が落ち着く。

そして、ご飯を食べるためにチョコのお店があった村まで戻る。

バギーに天使をのせてお店にはいると、みんな天使に釘付けである。芸能人と一緒に歩いてたらこんな感じかも。

「ゴージャス!」「ビューティフル」という賛辞が飛び交う。

我慢できない人たちは、「かわいいわね」と話しかけにやってくる。

天使はものすごいベイビーだったのである。

カワカワベイでとれた牡蠣をつかった料理がおすすめだとぽっちゃりさんが薦めるので、それにした。

存在だけで人々を魅了する天使。しかし、それは仮の姿だった。

ぽっちゃりさんが持参した天使専用のお昼ご飯。ちっちゃいサンドイッチにチーズ、ヨーグルト。お母さんは大変だと思う瞬間である。

天使は最初こそ機嫌良く食べていたが、欲しくなくなると、床にサンドイッチを捨て始めた。おいおい。

「悪いけど拾ってもらえる?」ぽっちゃりさんに頼まれて、私は天使の奴隷と化した。5回は拾ったね。

ぽっちゃりさんがいなかったら、叱りつけてるね。もしかしたら、殴ってるね。虐待と思われようと。

「この子は私たち夫婦の両親の初孫なの」どうりで甘やかされてるよ。

しかも、見た目がかわいいものだから、みんなに「かわいい、かわいい」とちやほやされているんだろう。私がムッとした表情をしていると、口をすぼめてかわいい顔をしてみせる。わたしゃ、騙されないよ。

それから、ぽっちゃりさん行きつけの雑貨屋さんに行った。

趣味の良い雑貨ばかり並んでいる。そこでも、店員さん達の目は天使に釘付けである。

そいつは、天使の顔をした悪魔だよ!と心の中で教える私。

「これは、ニュージーランドだけのツリーのオーナメントよ」とぽっちゃりさんが教えてくれたハンドメイドのオーナメント。

ニュージーランドのクリスマスツリーの花もあった。よく庭で鳴いている鳥も。これらは買おうと決め、他の物を見ていると、「この花をあなたに買ってあげるわ!」とぽっちゃりさん。有り難くいただいた。そして、鳥は自分で買った。

次の店で、ぽっちゃりさんは義母さんに赤い素敵な手袋をクリスマスプレゼントに購入。そこでも天使は注目の的だった。

桐野夏生の小説「グロテスク」をふいに思い出した。誰にも似ていない美しい少女ユリコと平凡な姉の物語。

天使はぽっちゃりさんにもちっさいおっさんにも似ていない赤ちゃんモデルみたいな子供なのだ。

それから、ぽっちゃりさんのお宅へ。

オフィスの窓口に飾ってある赤い花が庭に咲いていた。もちろん、ぽっちゃりさんが持ってきた花。

「今、改装中だからキレイじゃないけど」と通してくれた。通りに面した面は全て窓。前の家の人たちが庭の掃除をしているのがよく見える。

アメリカの映画みたいだ。

それから、天使の部屋をみせてもらった。やっぱりものすごいかわいい部屋にしてもらっている。しかも、日本の私の部屋より広い。

「この子はたくさん洋服を持っているの。4人の祖父祖母からプレゼントされるから」と言って開いた洋服ダンスは、イメルダ婦人を彷彿させる洋服の数だった。子供服のお店みたいにすべてキレイにハンガーにかかってずらりと並んでいる。

それから、紅茶をいれていただき、結婚式の時の写真をみせてもらった。

ぽっちゃりさんは今より少し若くて初々しくかわいかった。ちっさいおっさんは、今と変わらない。老け顔?

ぽっちゃりさんのお母さんはぽっちゃりさんにそっくりだった。

「これは、義父と義母。この子はこっちの家系に似ているの」そう言われたら似ているような似ていないような。

しかし、こうして親戚中の写真をみても、天使が最高傑作なのは間違いなさそうだ。

「私はイギリス人なの。7年前に主人と知り合って、主人がニュージーランド人だったからこっちに来たのよ」

「イギリスでは何の仕事をしていたの?」

「大学の学生サービスでマネージャーをしていたのよ」

「あなたは大学の仕事が好きなんやね?」

「ええ、大好きよ。私は学生と接するのが楽しいの!」

5年前に今の大学に就職し、現在の地位を得たらしい。今の部署の中では女性では一番偉い。

「えーと、この子は毎日誰が世話しているの?」

「主人よ。うちは、主人が主夫なの」

滞在先の奥様に話したら、こちらではめずらしいことではないらしい。

もちろん、私もどちらが外で働こうと全然問題ないと思っている。

帰りの汽車の時間がせまっていた。徒歩で駅まで送ってくれることになった。

庭に咲いているラベンダーをたくさん摘んでお土産にと手渡してくれた。

ラベンダーの香りをかぎながら、並んで歩いた。オークランドと違って道が平坦で車が少ない。

結局、ホームまで送ってもらい、さよならした。

「時間が短かったけど、楽しかった?私は楽しかったんだけど」

「もちろん!楽しかったよ。本当にありがとう!」と言うと、ぽっちゃりさんは微笑んだ。

「じゃあ、また月曜日の朝に!」

親子に手を振り、私は汽車に乗り込んだ。

ラベンダーの香りをかぐと、ぽっちゃりさんの優しさを思い出し、少し泣いた。

滞在先に戻ると、玄関の前にぽっちゃりさんの庭よりもたくさんのラベンダーがあることを発見した。

こんなにあったよ。そう思うとまた泣けた。

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今日は、水曜日にキャンセルになったチームのインタビューからスタート。

チームリーダーのロングヘアー女性にスケジュールを聞きに行くと、有無を言わさず、東欧女性に「インタビュー大丈夫でしょ?」と。

「あなたは何を聞きたいの?」と東欧女性。どこでも聞かれた台詞である。

「あなたの仕事についてです。他のチームと同じことをしていることは知っています。それ以外でここのチームだけがやっていることはないですか?」

すると、なんだか専門的な話になってしまってついていけない。

「ちょっと、あんた!メモしなくていいの?」と言われても、「あなたの話は私には難しすぎてメモもできません」としか答えられません。

はあ?っていう顔になる東欧女性。そうだろうね。お前、何しにきたんじゃ、わしゃ忙しいんじゃ!っていう気持ちだろうね。

とりあえず、話の流れでわかった単語で質問を作ってみたり。そして、早々に、「ありがとう」と退散した。

そのとき、向かいの席の温子は、思いっきり私に背中を向けていた。

リーダーの人選は素晴らしい。

他のチームは、私が特定の人にインタビューしていても、そのほかの人たちも「何聞いてるの?」みたいな雰囲気があったし、時々話にも加わっていたが、それが全くなかった。

他のチームより忙しいのは、知っているがこの雰囲気はつらい。

そして、10時からメンタルヘルスのカウンセラーをしている女性にインタビューに行った。こっちは本当に自分の興味でお願いしたことなので、聞きたいことだらけである。しかも、相手が日本人女性なので、ものすごく気が楽だ。

オフィスの場所がわからずうろうろしていると、おばあちゃんが「誰を捜してるの?」と聞いてくれたので説明すると案内してくれた。「ありがとう」とお礼を言うとにっこりと優しい笑顔。

そして、私は日本人女性に出会った。

最初に挨拶を交わし、質問をさせていただいた。私が考えていたメンタルヘルスより重傷の学生さんが来られるようだった。幻聴、鬱病といった実際に病気であることがわかっている学生が他の学生と同じように授業を受けられるように援助することが彼女の仕事らしい。

「日本だと、そういう学生は多分大学にも来れないと思います」と言うと、「こっちは日本よりは少し進んでるかもね」と。

そして、今までに一度も日本人留学生は訪れたことがないらしい。確かに、そういう病気で留学するのは難しいかもしれない。心身ともに元気でないとひとりでの海外生活は大変である。

「あなたが日本を変えてください」と彼女は最後に私に言った。

こっちに来てから、ニュージーランドの人は、疲れてる人をすぐに見つけられることに気がついた。しかし、日本では難しい。それは、ほとんどの人が疲れていて病んでいるから。

私もきっと疲れた顔で毎日生活していたことだろう。

その後、いつものように中国系女子とランチへ。

食べ終わった後、「就職支援センターに行ってもいい?」と言うので、一緒に行った。そこは学生のためのセンターであり、昨日見学させてもらったばかりだった。

「私はカウンセラーの資格をとったけど、それを行かせる仕事はさせてもらってないよ」という話を道々していると、「私も実はカウンセラーになりたいの」と中国系女子。

「だから、来年度から土日だけ大学に通って資格を取るのよ」

「じゃあ、おじいみたいに学生の相談にのるの?」

「ううん。私は学生だけじゃなくて、全員のひとの相談にのりたいの。困っている人たちの助けになりたいの。特に子供とか」

彼女は本当に優しい。無償の愛を感じる。きっと彼女なら素晴らしいカウンセラーになることだろう。

昨日、フレンチ美人が言っていた。

「いつも、中国系女子と昼ご飯を食べてるの?私もインターンシップでこっちに来ているとき最初はいつも一人だったけど、彼女が一緒に食べてくれていたのよ。あの子は本当にいい子よ」

中国系女子は、まだ24歳である。その若さでなんと愛情深い人なんだろう。どんな環境で育てば、こんないい人になるんだろう。

「だから、資格をとったら、大学の仕事は辞めるの。私の将来はまだまだこれからだもの」と中国系女子は微笑んだ。

今の仕事が大好きと言っていたが、もっとなりたいものがあったのだ。

私なら、今が楽しければきっと将来のことなど考えることはない。今が楽しくなくなってから慌てて将来のことを悩むのである。

午後に、ぽっちゃりさんに日本での勤務時間を尋ねられたので、「残業は毎日。で、お金は全部はでない」と言うと、ビックリしていた。

「私の友達は毎日9時まで働いているってメールが来るよ」と言うと、「おーまいごっど」とおきまりの台詞が飛び出した。

「あんた、こっちで就職しなさい」とぽっちゃりさんが言うので、「私の英語力で仕事があるかな?」と聞いてみると、宙を見たまま無言だった。

しばらくは、日本に帰って歯車の一部として残業してお金ももらわずに働くしかなさそうである。

すると、中国系女子がぽっちゃりさんに有給休暇の届け出をしていた。「この日がカウンセラーの面接?」という声が聞こえたので、「大学の試験?」と聞いてみると、「まず面接があって、私がいい人間かどうかを判断してから許可がおりるの」と言う。

「じゃあ、問題ないよ。絶対合格するよ」と本気で言ったのに、彼女は軽く笑って「ありがとう」と言った。

彼女の夢は、上司であるぽっちゃりさんも知っていて応援しているようだ。

日本でなら、まず止められるね。仕事の妨げになるんじゃないか?とか。そして、ちょっとでも妨げになったら、「勉強との両立はきびしくない?」とか嫌味を言われるね、間違いなく。

でも、それでも私はそこに帰らなければならない。

お金をもらってこんな素晴らしい体験をさせてもらっているのだから。

この研修後の私は少しは変わっているのだろうか?

この先自分がどうなるかわからないが、良い方に変わっていければいいなあと思った。

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ハブアナイスデイ!

今日は最高のチームに行く日。

翻訳もいよいよ今日で終わりそうだ。

すると、リーダーが、「1時にみんなでランチにするから、それまでに何か買ってきたら?」と言いに来てくれた。

そして、「あなたの英語はどんどん良くなってるわよ」と誉めてくれた。さすが、最高のチームのリーダーである。

オフィスの隣のテラスで4人でランチ。

コナン君は女3人の中でも違和感なくいつもなじんでいる。コナン君の弁当箱の中身が半分以下に減っているのを見て、リーダーもフレンチ美人も「どうしたの?」と聞いている。

「誰かが食べてたんだよ」とコナン君。名探偵ではないようだ。

奥さんが食べたのだろうか?旦那が自分で作った弁当の半分をこっそり食べてしまう奥さんって。。。

すると、女子二人がインテリアの話に。「イケアのインテリアってステキよね?(こっちでは、アイケアと言うらしい)」「全部イケアでそろえたいんだけど」とかそんな話。時々は理解できるのだが、そのテンポに割って入るだけの英語力はまだない。

話をふってくれると、話すことはできるが、やはりまだまだである。

ランチの後、コナン君に、「終わったけど、何しようか?」と聞くと、書類の束をどっさり抱えてやってきた。「奨学金に応募してた学生にだめだったよっていうメールを送るんだけど、全員に一斉に送るから、アドレスを調べていってくれる?」

どっさりあるけど、ちゃんとデータベースに入っているから、内容は簡単だった。再度確認し、「できたよ」と言いに行くと、とても感謝された。

フレンチ美人に次の仕事を言い渡された。また、日本の大学のHPから探し出す作業である。しかも、それは多分うちの大学とか特に載せてない情報かも。

「できるところまででいいのよ」とステキな笑顔で彼女は言った。

努力はしたが、1校しか見つけられなかった。そのことを説明すると、「いいのよ」と言う。「もう帰りたいんだけど」と言ってみる。地味な作業であるが、母国語でないから結構しんどいのだ。

「もちろん、いいわよ」とみんなが一斉に言う。

「今日はハードワークだったね」とコナン君。

「よく働いてくれたわ」とリーダー。

「エクセレント!パーフェクト!クール!」と3人が口々に誉めてくれる。だから、こういう習慣を日本も見習おうよ。やる気が違ってくるからさあ。

そして、私は滞在先の奥様おすすめの中古CD屋さんへ。

目に付いたクリスマスコーラスのCDがどうしてもほしくなり、高かったが購入。店員の兄ちゃんは、パンクロッカー風だったが、「ハブアナイスイブニング!」と素敵な言葉をかけてくれた。「サンキュー」と店をでる。

英語は素敵な言葉がある。「ハブアナイスデイ!」とか。日本語で直訳すると違和感を感じるから使わないけど。

いい気分で店をでたのはいいが、ここはどこであろうか?しばらく歩いてみると、こちらの土地勘ができたのか、なんとなくわかってきた。そして、いつも通り過ぎるバス停まで来たが、バスが来る気配もない。ちょうどラッシュアワーになったようだ。

歩けそう、と突然思った。

歩こう!と。

それから、先週おじゃましたヒラリーのいるキャンパスを後に、公園を横切っていると、2週間前に来た博物館も見えてきた。

1時間かけて帰ってくると、旦那さんが笑顔で出迎えてくれた。

「私は今日歩いて帰ったよ」と報告すると、「それはとてもいいことだよ。私は毎日ダウンタウンの職場まで歩いて通勤しているよ」とのこと。毎朝私がご飯を食べる7時半にはもういない訳である。

それから、夕食のときに今日買ったCDを聞きながらご飯を食べよう!ということになり、CDをかけてもらった。

偶然選んだCDだったが、滞在先のごく近所の教会で録音されたものだったらしい。

「いいCDを選んだね。私はこういう音楽が大好きだよ」と旦那さん。

「このCDは絶対日本では手に入らないものよ」と奥様。

中古の割に高いじゃないか!と思って買ったが、新品だったらしい。適当に選んだ割に良い買い物をしたようだ。

「日曜日には礼拝に行きなさい。生で聞けるわよ」と奥様。最後の日曜日にでも行ってみようか。

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だけどもだっけど

今日も早めに到着したので、キャンパス周りを散歩。

公園で、同じオフィスの金髪レディと会った。「なにしてるの?」「散歩です」「それは、いいことね。今日はなんてビューティフルデイなんでしょう」

英語ではよく、ビューティフルデイと言う。直訳すれば美しい日。でも、晴れた日に使うから、晴れていて景色がきれいな日という感じか?

10時から東欧系女性のところにインタビューのはずだったが、「彼女は今日は病気で休みよ」と中国系女子。

じゃあ、バブル期の浅野温子しかいないじゃん。さて、応じてくれるものやら。

ロングヘアーのリーダーに相談に行くと、「今日は温子も休みなの。またどちらかが来たらインタビューに応じてくれるよう言っておくわ」とのこと。

さてさて、どちらが先に現れることやら。

失業した私が、気になっていることや今までのインタビューをまとめていると、「今、大丈夫?」と中国系女子。

どうやら、私の得意な封筒つめと宛名書きの仕事をくれるらしい。

「喜んで!」と居酒屋風に心の中で言ってみた。

宛名書きをしていると、「おっはー」という声が。聞くのも恥ずかしいぐらい古い。しかし、怪しいガイドは私が反応するまで繰り返す。しかもポーズつきで。「それは、相当古いよ。あんたぐらいしか使ってないから」と教えてあげた。

すると、中国系女子が、「彼はすごくもてるのよ。何人も彼女がいるんだから」と意外な情報をくれる。「そんなことないよ!」と怪しいガイド。

彼の少しおかまっぽい喋りと、古い流行語は当時日本人女性とつきあっていたと思われる。

宛名書きの仕事も終わり、ぽっちゃりさんに質問したりしていると、また怪しいガイドが現れた。「よしおの画像をもう一回見せてほしい」とのこと。

仕方ないので、googleで検索して、「ぐるナイ」出演の画像を発見したので一緒に見た。遠く離れたニュージーランドに来て、こんなに小島よしおばっかり見ることになるとは夢にも思わなかった。

彼は、食い入るように見つめている。よしおのネタを覚えて今の日本人の彼女に見せるつもりだろうか?

私の頭の中は「それそれそれそれ、だけどもだっけっど、でもそんなの関係ねえ!そんなの関係ねえ!おっぱっぴ~」が昨日から流れ続けている。

ランチタイムになったが、今日はぽっちゃりさんも金髪レディも会議があるので、中国系女子の窓口の交代ができない。検討の末、ぽっちゃりギャルに頼むこととなったが、彼女も忙しいのでなかなか手があかないらしい。

そこへまた怪しいガイドが大きなリュックを背負って現れた。

お腹がすいて何もやる気の無かった私は、「山へ行くのか?」と聞いてみた。

「ピクニックだよ~。お天気がいいから外でごはんです。でも、フォークが1本しかないね」おやおや。2本必要ってことは、一人で食べるんじゃないんですね。

「何番目の彼女と一緒なんだよ?」

「お~。私はいつも彼女はひとりだけです。女の人はひとりでも大変でしょ。たくさんいるともっと大変」と言いながら自分の頭をたたき出した。大変なことでも思い出したのか?

どうやら、中国系女子の言うことはガセではなさそうである。

人って見かけによらないなあ。と改めて思ったのであった。

午後になり、前から気になっていた部署にアポなしインタビューへでかけてみたが、あいにくパートの女の人しかおらず、職員は全員会議中とのこと。

明日以後に出直します、とオフィスへもどった。

すると、中国系女子が、「注文してた物が届いたから、インド系女性のオフィスまで取りに行ってくれる?まだ誰も戻ってこないからここを外せないの」とのこと。

行ってみると、箱の中には、紅茶のティーパック、砂糖、インスタントコーヒー、ミロのジャイアントサイズ(英語で本当にジャイアントサイズと書いてあるでかい缶。こちらでの発音は、マイロらしい)などである。

それらをオフィスへ持って帰り、ものすごく気になることを聞いてみた。

「これって、大学が買ってくれるの?」

「そうよ」

「日本では、みんなのお金を集めてお茶を買ってるよ。大学は買ってくれないよ」

すると、中国系女子は驚いて

「そうなの?信じられないわ。ニュージーでは法律で決まってるのよ。雇用主が雇用者の勤務時間のお茶の用意をすることは。だから、雇用者の大学は私たちにお茶を買わなければならないの」

と説明してくれた。

素晴らしい法律じゃないか!

私は日本の職場の自転車操業のお茶代事情を思い出し、切なくなった。

どうりで、私にも「お茶を飲まない?」と誰もがいつも薦めてくれるはずである。

その後、ぽっちゃりさんが戻ってきて、来年度のパンフレットについて難しい話を中国系女子と話し始めた。

今日はこれ以上いてもすることもなさそうなので、早めに帰って、今までのインタビューをまとめることにした。

「もう帰ってもいい?」と聞くと、ぽっちゃりさんは笑って「あなたはいつ来てもいいし、いつ帰ってもいいのよ」とのこと。

なんでも私が決められる。そのことを再確認した。

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アジアンビューティー

今朝も少し早めに着いたので、キャンパスの周りを散歩してからオフィスへ。

午前中にインタビューの予約をしていたメキシコ人女性のところへ。彼女は3カ国語以上しゃべれるし、本当は日本語も少し話せるらしいが、わかりやすい英語で説明してくれた。

オフィスに戻ると、中国系女子が、「忙しい部署があるから、そこを手伝ってって」ということなので、そこのチームリーダーに会いに。リーダーは40過ぎのニュージー女性である。最近まで育休で休んでいたらしい。いつも、結構若い子が着る服を着ているおしゃれさんである。

彼女に仕事の仕方を教えてもらっていると、中国人の浅野温子が戻ってきた。「Pが今日は手伝ってくれるから」とリーダー。「それは誰?」いつも浅野温子の態度(挨拶しない、私がいないように振る舞う等々)には立腹していたが、毎朝会ってるだろう!と思い、本当に知らないなら、若年性健忘症ですか?と聞きたくなった。

確かに美人でアジアンビューティーを意識したストレートの黒髪は美しいし、自分に似合う服装もいつもおしゃれだが、彼女が愛想がいいのは、偉い人のみ。

もちろん、英語もままならず、服装もパジャマ?っていう私に目もくれない。

しかし、今日はあんたのチームの仕事を手伝ってるのに、その最中も終わった後も一言もお礼はなかった。目が合うこともなかったし。

まあ、いろんな人がいるよということで。

「あなたを見ると、バブル時代の日本を思い出しますなあ」と言ってあげたいが、心にしまっておきましょう。

午後から、主にチームの事務的な援助をしている部署にインタビューを。ものすごい地味でしんどい仕事だなあと感じた。リーダーの表情も暗いし。でも、努めて笑顔で話してくれた。

その後、中国系女子に、学生から預かったパスポートからメールアドレスを検索する手伝いをしていると、明らかに整形美人の(パスポートの写真と新たな写真の顔が全然違う)中国人留学生を発見!

「顔違うよな?」と言うと、「わーお、P、ナイスジョブ」と誉められた。

たまたまオフィスにいたぽっちゃりギャルに見せると、「これは、眼を二重に、鼻筋をとおし、現在矯正中と。ビフォアーニュージー、アフターニュージーだな」と上手いことを言っていた。

ほんとに、全然別人である。整形後の写真はそのままアイドルにでもなれそうだ。

でも、確かに写真を変えないと、強制送還である。

その仕事も一息つき、小島よしおの画像を見つけた私は、怪しいガイドに教えてあげた。彼はすぐにツボにはまり、興味津々であった。

念願かないました。2007年中に、外国人に今年の流行語を教えることができました。

その後、昨日のケーキおばあが袋一杯に野菜を入れてやってきた。「さあ、バッグを用意しなさい。あげるから」またまたバッグである。ロケットという野菜で生でも食べられるというので、少し食べた。新鮮でおいしい。

「あなたの最後の日にはスペシャルケーキを用意するからね」とまた念押ししてくれた。

今日は6時半から、大学の図書館で日本の映画(無料)を見ることにしていた。中国系女子も一緒である。

今週は月~金まで日本映画ウイークなのだ。

今日の映画は「トニー滝谷」。イッセイ尾形、宮沢りえ主演である。

村上春樹の小説をもとに映画化したそうであるが、村上春樹ファンのわたしも知らない話であった。独特の少しせつないお話。

なのに、ニュージーの人って、笑うのである。中国系女子も。とっても切ない場面で。

泣くほどじゃなかったが、センチメンタルな気分になる映画だった。「ラストが気に入らないわ!」と中国系女子が言っていた。確かにハッピーエンドじゃないけど。しみじみしたいい感じだったけどなあ。

りえ・みやざわは、日本の宝だね!と実感した。キレイだった。

中国系女子も、「彼女はベリービューティフル」ととても気に入っていた。半分オランダ人の血が入っているが、彼女こそアジアンビューティーだと思った。

いつもより、3時間遅いバスだったが、日が長いので遅く感じなかった。

異国の地で日本のマイナーな映画を外国人の友達と一緒に見る、今日も新しいことができた。

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お誕生会

今日は、おじいとぽっちゃりさんはホリデイ中。私と中国系女子のみである。 しかし、10時半から会計についてのインタビューでナイスミドルが迎えに来てくれることになっていた。彼はインド系と思われる。ちょうど10時半、ナイスミドルが素敵な笑顔で迎えに来てくれた。「楽しんでるかい?」こちらの人はみんなそう言う。「イエス」といつも一応答える私。それから、ナイスミドルのオフィスへ。偉い方なのか、個室であった。「飲み物はなにがいいかい?」サービスもいい。「ノーサンキュー」と断っておいた。すると、彼は、おもむろにパソコンの画面を私の方へ向けた。パワーポイントで、私専用に自分の仕事についてまとめてくれたようだ。しかし、申し訳ないことに、もともとの英語が怪しいのに、会計の専門用語などわかるはずもない。たとえパワーポイントで単語が読めるようになっていても。いちいち辞書で意味を調べている余裕などないため、わかったようなわからんような話を延々聞き続けた。時々「質問は?」と聞いてくれるが、中身が全くわからんのだから、質問もできんのである。「ない」と言うと、「グッド」と言ってさらに先に進む。パワーポイントが終わった頃には1時間経過していた。「質問は?」ところどころ聞き取れた単語から、2,3質問し、回答をいただいた。すると、彼は小学生に出すような問題を出してきた。先ほどの説明を理解していれば誰でも答えられると思われる質問である。しかし、私はまったくもってわからんのである。「わからん」と答えると、紙に図を書いて説明してくれた。でも、「それが何か?」みたいな質問なのである。 私が用意していった質問を見せると、「これは私の専門外だよ。○○が専門だから、ぽっちゃりさんに頼んでアポをとってもらいなさい」とのこと。また、知らない別の人に苦手な会計関係の話を聞かないといけないようだ。 ナイスミドルはとてもいい人なので、オフィスの前の学生のインフォメーションセンターや、授業料を支払う窓口などを案内してくれ、「何か質問があったらいつでもきていいよ」と言ってくれた。有り難いが、もうあなたに聞くことは何もないのである。申し訳ない。 オフィスに戻ると、中国系女子が、「どうだった?」と聞いてくるので、「単語がわからんから、さっぱりさ」と答えると、ボイスレコーダーを持っていったら、私が訳してあげるのに、と言ってくれるが、あんたも英語じゃん!と思う。彼女は見た目日本人に見えるので時々日本語で話しかけそうになったり、なんでこの人日本語話さないの?と思ったりする。 1時から別のインタビューがあったので、今日はオフィス内で昼ご飯。 1時にインタビューのためにオフィスを除くと、車いすに乗った男性が「Pか?」と聞いてきた。どうやら彼が担当の人らしい。彼が車いすに乗っていることに内心はとても驚いていたが、なんでもないですよというふりをして、挨拶をした。そして、質問を終え、帰る前に、「君がこのオフィスを訪ねてきてくれてととも光栄だ」と彼は言った。ここは、障害を持った学生のサービスのためのオフィスであり、ぽっちゃりさんでさえ、このような部署があることを全然知らなかったのである。私はお礼を言い、「あなたのオフィスとあなたの写真を撮ってもいいか?」と聞いた。インタビューした相手には必ず写真を撮らせてもらっているからである。「もちろんいいよ」と彼は、机から出てきて車いすの姿で写真に収まろうとしている。車いすは彼の個性の一部なのであろう。写真を撮り、お礼を言った。日本の職場には、車いすの職員はいない。設備も全然整っていない。先進国とは名ばかりの遅れた国である。 オフィスにもどると、中国系女子が、「今度はどうだった?」と聞くので、「大体わかった」というと喜んでくれた。そして、「あなたは、わたしよりも知り合いが多いわよ。だって、わたしはこのオフィスの中の人たちしか知らないもの」と言った。確かに、ここは異動がないから、自分の仕事については専門的になるが、横のつながりがほとんどない。だから、ここの部署のだれさんと言っても、「知らない」と答えられる。 そこへ、私のまねをして髪を切ったと言っていたおばあがやってきた。「今日のおやつは、特別よ!期待しなさい」という。今日のおやつと言ってもいつもおやつをもらったことがない。おばあは、自分が焼いてきたチョコレートケーキとジンジャーケーキを見せてくれた。見事な物である。すると、そこへ中国系不思議ちゃんが。「あなたはとてもラッキーよ。今日は月に一度のお誕生会なの」お誕生会ですと?「ええと、あなた達は毎月お誕生会をしているの?」「そうよ。毎月、おばあがケーキを焼いてきてくれるのよ!」へ~である。お誕生会など、幼稚園でもやったかどうか怪しい。 すると、おばあがあれこれ指示を出してきた。やれ机を運べだの、お皿を並べろだの。「誰の誕生日なの?」と聞くと、名前を言ってくれ、「5人よ」とのこと。3時半頃、お誕生会が始まった。ハッピーバースデーの歌を歌うなど何年ぶりであろうか?一人一本ずつろうそくを吹き消し、パーティーの始まりである。 もうパーティーには食傷気味であるが、仕方ない。 おばあのケーキは美味であった。それを伝えると、もう一種類の方も食べなさい!と有無を言わさぬ強要。もちろん、食べた。 こういうパーティーは会場となったオフィスの者が後かたづけすると決まっている。日本でもニュージーでも。たくさんいた人たちはいつの間にかいなくなり、私とおばあと中国系女子と不思議ちゃんの4人で後かたづけである。不思議ちゃんは「掃除が大好き。掃除をしていると幸せなの!」とどんどんとお皿を洗っていく。おばあは、残ったケーキを「もって帰りなさい」と言う。そして、自分の部屋から、ジップロックを持ってきて、「私がバッグをあげるから、もって帰りなさい!」と強要。奥様と旦那さんが食べるだろうと2人分ほどをいただいた。中国系女子が、イチゴとスナックを一緒の袋にいれていると、「この馬鹿娘が!」とおばあの罵声。「イチゴとスナックを一緒に入れたら、スナックがやわらかくなるでしょうが!」と怒っている。疲れていたのと、そんなことで馬鹿呼ばわりかというのがツボにはまって笑っていると、「私ってボス気質なの」とおばあ。おばあに聞こえないように中国系女子が、「おばあっておもしろいでしょ?」と言う。あんな元気なばあさんは、そうそういない。ケーキを入れるプラスチックの容器に入るプラスチックの皿が無かったので、自分で切って作ったという薄いブルーの皿を自慢する。もう2,3回聞いたよ。すると、おばあは、「あんた、いつ帰るんだっけ?」と聞いてくるので、教えると、「その日にはスペシャルなケーキを焼いてくるから期待して。今日のケーキとは違うスペシャルなのを」と強調する。どんなにスペシャルなんだろうか?

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二度とない週末

smileさま デボンポートはオークランドの北側の島の一部だと思います。本当は、橋を渡って大回りしないと車ではいけないのですが、人だけの移動だとフェリーに乗れます。

今日は7時半起床で、洗濯。もう最低4日に一回しないと、着る物がなくなる。

で、10時に中国系女子がドライブに連れて行ってくれると、滞在先まできてくれることになっていた。天気は曇り。しかし、奥様が昼から晴れるわと言うので晴れるのだろう。

10時過ぎに、ホンダの車で中国系女子がやってきた。金曜日は気分が悪くて早退したので、「大丈夫?」と聞くと「今日は大丈夫」とのこと。

地図を確認し、いざミッションベイへ。

ミッションベイは、海がきれいなリゾート地である。車がないとなかなかいけない。

あいにくの天気。しかも雨まで降ってきた。

たどり着くと、曇っていて肌寒いのにもかかわらず、白人の家族が何組も浜辺で遊んでいた。

浜の奥の芝生の上で油絵を売っていたので行ってみる。

彼女の好きな作品は綿密に描かれた美しい風景画。私は、一見私でもかけそうな猫の漫画みたいな絵。「これが好き」と言うと、「10ドルだから買えるよ」と言われたが、買うほど好きではない。

それから、超有名なアイスクリーム屋さんへ。彼女はやはり本調子ではないらしく、今日は食べないとのこと。

私はマンゴーパッションを選んだ。さわやかでおいしい。それから、彼女に、「オークランドとクライストチャーチのどっちが好き?」という質問をされた。「難しい」と答えると、「なぜ?」

「クライストチャーチは四季があるし、平地だし。オークランドの方が娯楽はあるし」そして、二人でだした結論は、「年をとったらクライストチャーチに行け」であった。

しばらくすると、急に店が混みだした。何台もの観光バスが着き、ツアー客がこの店をみざしてやってくる。

店の外まで行列ができた。「ラッキーだったね?」と言うと「ほんとに。観光客にものすごい人気だから」

それから、彼女の朝食がまだだったので、パン屋さんへ。

浜辺で海の水にさわったり、写真を撮ったり。

その後、ミッションベイの近くで行われているJAPAN DAYという催し物会場へ。

旗の代わりに鯉のぼりをはためかせている会場は、すでに結構な人だった。

中国系女子は、めずらしいらしく、いつもとは逆で私に「あれは何?」といろいろ質問してくる。会場の中はフリマだった。在住の日本人が不要な物を売っている。特に目立ったのは日本の漫画だった。

中国系女子の目を引いたのは、ビーズで作ったアクセサリー。蝶をモチーフにしたピアスを購入。しかし、いつもカードで買い物をしている彼女。フリマは原則キャッシュ。困っているので、キャッシュで払ってあげた。好きな彼女のために金を払う男の気持ちがわかった。そんなもんわかっても仕方ないが、年をとると、性別の区別もなくそういう気持ちが理解できるのだと数年前から気づいていた。

「ありがとう。明日、お金をおろしたら必ず返すからね」いやいや、いつでもいいんだよ。もちろんあげてもいいが、律儀な彼女はそれを許さないだろう。

それから、日本の調味料コーナーへ。キューピーのマヨネーズから、お多福ソースから、ポン酢まで。あらゆるなじみの調味料がそろっている。

ポン酢の説明を彼女にすると、「おいしくなさそうね」と言っていた。たぶん、私の語彙不足が誤解を生んだのだろう。

そして、彼女が手に取ったのは、チョーヤの梅酒。「うめっしゅ」である。「私はこれが大好きよ」という。18ドル。日本円で1,500円ぐらい。酒を飲まない私には高いのかやすいのかわからない。

すると彼女は、私が手にしていたハイチュウ梅味とたこの酢漬けを「私が払う」と払ってしまった。よりによって、たこの酢漬け。

会場から出ると、私が大好きなヨーヨー釣りをやっていた。「あれはなに?」と聞く彼女の分の金も払い、早速私が手本を。一瞬で2個も撮ったが、ニュージーのおじいは、「ごめんね。ひとり1個なの」とひとつしかくれなかった。あれは、糸が切れるまで何個とってもいいのでは?と思ったが、個数があまりないのだろう。

続いて、中国系女子がチャレンジ。糸を水に濡らすと切れると伝えようとする間にオレンジのヨーヨーをつったとたんに糸が切れた。おじいは、「OKOK」とヨーヨーを彼女にわたした。

「どうやって使うの?」と聞くので、中指にゴムをとおし、調子に乗って、ばんばんやっていると、ゴムからヨーヨーがはずれた。柔い作りである。

それから、外の屋台へ。もちつきを実践していた。彼女は喜び、ぜひついたもちを食べたいという。あんこときなこの2つを買った。私は普段は黄粉大好きだが、餅自体が粉っぽく、食べると粉が気管に入るという恐ろしい食べ物だった。

その後、イカ焼きとたこ焼きを半分こし、彼女はラムネを買った。開け方がわからんというので、教えると、見事にラムネがふきだした。

中にはいったビー玉がお気に入りの様子だった。あれは確かにおもしろい作りである。

ニュージーランドで、何十年かぶりにラムネを飲んだ。日本で売っていてもまず買わないが、ものすごいおいしかった。

売り子の日本人は全員ヤンキーですか?と聞きたくなるメイク、着くずした浴衣。どこに普段いるのだろうと思われるヤンキー集団である。

普段は普通の格好してるのだろうか?しかし、なぜあのメイク?

あと、ニュージーのおじいさんのTシャツに、

「男の修行 山本五十六

辛いこともあるだろう

言いたいこともあるだろう

不満なこともあるだろう

腹の立つこともあるだろう

泣きたいこともあるだろう

これらをじっとこらえてやりぬくのが

男の修行である」

と書かれてあった。男の修行というより、人間の修行だなあと妙に感心し、おじいさんの背中をくっついてあるきまわったので、中国系女子に怪しまれたので、「素晴らしい詩を書いていた」と説明した。内容は省いた。英訳に時間がかかるから。

それから、死火山のマウントイーデンへ。ここは昨日奥様に連れて行ってもらったコーンウォールパークの頂上よりも高いところにあり、オークランドを一望できるのだ。

なぜかそこには日本人観光客団体様が4組も。

しかも、そのうちの1組はおそろいの黄色いジャンパーを着ていた。爆笑の中国系女子。確かに、笑われても仕方ないかも。なぜ黄色?なぜみんなおそろい?

団体から少し離れた見晴らしのいいところまで歩いた。そこの柵にすわってぼんやりしていると、「ニュージーランドは好き?」との質問。「好き。自然が多いし、人もみんな親切だし」と答えると、「一部の人はそうではないよ」とのこと。その言葉で、彼女が今までに辛いことも経験したことがわかった。だから、私にこんなに優しくしてくれるのだ。

「でも、マレーシアに帰ると時間におわれてものすごい忙しい毎日を送ることになると思うの」人口が密集してるし、こんなのどかな場所は都会にはないし」

それは、2週間後の私も同じである。

田舎で住んでいるのに、時間に追われる生活。日本人なら誰しもそんな生活を送っているだろう。そして、きれいな公園などもちろんない。狭くて人工的に整備された公園があって、有料だったりするのである。

またあの情報だらけの生活に戻るんだろうか?戻ったとたんに、順応するんだろう。日本は情報だらけである。そして、人々は新しい情報を追い求める。私も今まで通りそうなるんだろうか?

少し眠くなったので、目を閉じていると、「ここは瞑想するにもいいわね」と笑う彼女。彼女に会いにここにくることはあるかもしれないが、今みたいに同じ時間を過ごせることはないんだろう。不思議な気持ちがした。そして二人で黙ってしばらく座っていた。

今までもそういう出会いと別れを繰り返してきた。私はここでたくさんの人と出会ったが、別れの日も近づいてきている。

「帰ろうか?」そうそう、明日は月曜日。明日からも仕事である。

彼女に送ってもらい、さよならした。

もうこんな週末は二度とないんだろうと思うと寂しくなった。

彼女との思い出のヨーヨーは、そのうち空気が抜けて小さくなっていくだろう。私の寂しい気持ちも日本の日常生活にながされて小さくなっていくのだろうか?

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最悪の目覚めから

ものすごい騒音で目が覚めた。

音楽と「キャアキャア」というはしゃいだ声。

これはいったい何?

音がするお隣さんのが見える窓からのぞいてみると、ミラーボールも回っていそうな勢いである。時間は、午前2時!

あのさあ、いくら国が違っても常識があるよね?

せめてそういうのは夜の12時までに終わらせるのが人間として当たり前なんじゃないかあ???

ものすごく腹が立ったので、奥様に借りたCDプレーヤーでこの間セールで買ったCDを大音量でかけようかと思ったが、クラシックだし。

イライラしながらも、対抗手段を思いつけず、i-podで好きな音楽を聴きながら寝ることにした。いやあ、民生は最高だね。「さすらい」「まんをじして」を聞いているうちに、いつの間にか寝ていたようだ。

しかし、起きたのは9時。先週は土日でも7時半には起きたのに。

昨日のは、私の夢だったのではないか?と自分を信じることが出来ず、隣をのぞくと昨日の夜も見た青いミラーボールみたいのが見えた。そして、静まりかえっている。

今こそ反撃のチャンス。練習中のへたくそな笛を窓を開けて思い切り吹いてやろうではないかとも思ったが、奥様に迷惑をかけるので諦め。

奥様は中二階で眠っているため、昨日の騒音は聞こえなかったとのこと。隣のイギリス人は常識がない奴らしく、たびたびらんちきパーティーを繰り返し、滞在者を不眠にさせているらしい。

今日はそんなこんなで、デボンポートに行こうと思っていたのが気分が乗らなくなってしまった。

ぼけーっと朝食を食べていると、奥様が、「今日は天気がいいし、海を見に行くと最高よ」とおっしゃられる。

重い腰をあげてみることとした。

奥様がフェリー乗り場まで送ってくれた。デボンポートまで往復10ドル。11時出発の船にのることができた。

二階席に座ると、スペイン語?っぽい団体さんが。

15分でデボンポートへ。

5年ぶりのデボンポートである。あのときは、ほぼ半日しかいられなかった。真冬だったので寒かったが、今日は快適である。

そして、丘を目指して歩いた。そこからのオークランド市内の風景が絶景であるとガイドブックにあったからだ。

久米宏がこの辺りに別荘を買ったらしい。どの家も立派である。久米宏がいないかと思いながら、山登り。

てっぺんまではすぐだった。

そこからは、オークランド市内の景色もデボンポートの町全体も見渡せる。

そこに、無数のキノコのオブジェを発見。

その白い水玉の部分に、黒いマジックで「いつまでも自然体の私でいられますように!○○」とお願いしている日本女を発見!

いや、そういうことは、自分の心の中だけにしまっておこうよ。せめて、日記に記すとかさあ。なぜあなたは公共のしかもこんなに美しい景色に自分の思いを油性マジックで残そうと思ったのですか?

そして、あなた、自然体でいられてますか!!!

軽い憤りを感じながら、絶景ポイントのベンチに座り、ぼーっとする。

青い海、青い空、木々の緑。完璧な景色。

しかし、ぼーっとするのにもすぐに飽きたので、降りることにした。

降りるのは楽ちんである。すると、海の上に白いヨットの帆が。無意識に「白いヨットの帆、波間をすべり、・・・えくぼの~秘密あげたーいーわー」と口ずさむ80年代アイドル全盛期に小学生時代をすごした私。

町につくと、カフェにおかしな団体を発見。

老人から、若者まで計5~6人。丸テーブルで談笑しながら昼食である。ここまではぜんぜんおかしくない。普通である。いい光景である。

何がおかしいかって、彼らの頭である。みんながみんなピエロがかぶるみたいな原色の帽子をかぶっているのである。赤とか紫とか黄色とか。そして、その先端が3つとかにわかれてて、さきっちょに鈴がついてたりするのである。

しかし、彼らはいたって大真面目な顔をして、話をしながら昼食をとっているのである。かなりじっくりと見たが、誰一人とも目もあわなかった。そのぐらいまじめに話をしてるのである。写真なんか撮ったらしかられそうなので、まぶたのレンズに焼き付けた。

それから、5年前もきたカフェが存在していたことにうれしくなり、そこで昼食をとることにした。サンドイッチにアップルマンゴジュース。リゾートっぽい取り合わせ。しかも美味。

その後、カフェの前にある雑貨屋がなかなかいいものをおいてあることを発見し、30分以上はそこにいた。そして、いろいろ買って、時計をみると2時前。確か15分に帰りのフェリーがあったので、それで帰ろうと海辺をぶらぶら。

気が早い家族連れは、勝手に海開きをし、海水浴していた。

そして、フェリー乗り場に戻ると、5分前。ちょうどいい。

と思いきや、とても惹かれるアンティークショップを見つけてしまった。

店の前をぶらぶらし、中をのぞくと、とっても惹かれる置物の人形と目が合ってしまった。結果、私はフェリーに乗れなかった。

今度は、その人形を買おうか買うまいかの決断である。

私より先に店にいた白人男性は、何かお買い求め中である。あと、亀のなんかを発見し、歓喜している。「僕は亀を集めているんだ」で、それもお買い求めている。

あの兄ちゃんなど、2種類も買ったじゃないか。ここは、アンティークショップ。あの人形とはもう二度と出会うことはないだろう。

心を決め、買うことに。しかし、どこの国のものかは知っておきたい。

店主のおっちゃんに、「これはどこのものか?」と聞くと、「これはニュージーランドのものでないことは確かだが、どこの国のものかはわからない」という大雑把な回答が。

しかし、次のフェリーの時間も迫っていたので買うことにした。

おっちゃんは、丁寧に包んでくれた。なんとなく、おっちゃんの写真を撮りたくなり、撮ってもいいかとたずねると、「光栄だ」とのこと。

おっちゃんの写真を撮り、帰りのフェリーに乗った。

バスにのり帰宅すると、奥様が羊や牛がいる公園に連れて行ってくれるという。

で、車で公園へ。

広大な土地を持っていた農園の主が、死後、土地をすべて市に寄付し、このコーンウォール公園ができたそうである。農園であったため、今も羊や牛がそのままいるそうだ。

公園は、別世界だった。とても市の中心にあるとは思えない。巨木がずらりと並び、緑の丘の上にはおもちゃみたいな羊が点々と並んでいる。

途中、マオリの結婚式の写真撮影に遭遇。

この景色にはピッタリである。

ひときわ大きい巨木を発見すると、「パワーのある木は他の木と比べてあったかい」と奥様が言うので触ってみた。ほんのりあったかい。ためしに他の木を触ると冷たい。

それから車で帰ることに。

この公園は絶景であるため、日本からよくCMの撮影隊が来ているとの事。

そしてこの美しく巨大な公園は無料なのである。

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千と千尋の神隠し

今日からはいつものオフィスへ9時までに出勤。

早くつきすぎたので、キャンパス内を散歩していると、中国人のご一行様がバスから降りて、向かいのアルバートパークに向かっている。

たしか、ハリポタの先生が、今日、中国人ご一行様12名が視察に来ると言っていた。数えてみるとちょうど12人。私が封筒入れ作業をした人数とぴったり一致する。

その後、オフィスへ。

ぽっちゃりさんと中国系女子が「久しぶりね、元気だった?」と歓待してくれ、やっぱりヒラリーのところよりこっちがいいなあと実感していた。

すると、中国系女子が、「おじいが今週はオーストラリアに行くらしいから、家には遊びに行けないみたい。あなたの予定は?」と聞いてきた。おじいに期待はしていなかったが、もしものために特に予定はなかったが、行きたいと思っていた場所を言ってみる。

すると、ぽっちゃりさんが、「来週は私の娘と一緒にボタニカルガーデンに連れて行ってあげるわ」と言ってくれる。またあの天使ちゃんと会えるのは楽しみだ。ちっさいおっさんも来るのかなあ?旦那だからくるか?と不謹慎なことを考えていると、「今週は土日とも予定があるの?日曜日は私はヒマだから、遊びに行きましょう」と中国系女子。

もちろん、予定などないから、喜んでOKする。

あとは、おじいである。

おじいが脳天気にやってきたので、ふたりでつめよると、「でも、わしは明日はメルボルンに行くから」と申し訳なさそうに言う。

「それは知ってるわ。でも、あと2週間しかないから、早く予定を決めたいのよ!」と強気な中国系女子。

すると、「28日の水曜日の12時からにしよう。二人は昼から帰るからね」とぽっちゃりに報告するおじい。

中国系女子に、おじいの日程を報告すると、「私は仕事なのに!!!」とまたおじい強気な抗議にでた。「私は仕事があるから、せめて2時からにしてくれない?」「ああ、そうじゃなあ、そのほうがええなあ」とおじいはちっちゃい手帳を取り出して、予定を変更していた。

中国系女子が、日本総領事館のHPで、来週日本の映画を無料で上映する情報を得た。風の谷のナウシカ、ピンポン、7人の侍など計5本を月~金まで毎日1本上映するらしい。

なぜ、ピンポン?

「これは漫画が原作で、漫画の方がおもしろいよ」とお節介な情報を教える私。

彼女は宮崎アニメの大ファンで、「トトロ」が大好きだそうだ。私たちはしばらく、宮崎アニメの話でもりあがった。宮崎アニメは素晴らしい。国境を無くしてくれるから。

その後9時から、インタビューの約束があったので、オフィスを除くと、ぽっちゃりさんのファッションリーダーのイギリス人小顔美人しかいない。「ブロンド女性は?」「まだ来てないわ。来たら電話するわ」

仕方なく、ぽっちゃりさんのオフィスへ。

すると、ぽっちゃりさんの外線に電話が。「ブロンド女性が渋滞で30分遅れるから、インタビューも遅らせてほしいとのことよ」

すると、ブロンド女性がやってきた。「ごめんなさい、ものすごい渋滞だったの。朝ご飯もまだだから、もうちょっと待ってね」

20分後、訪ねていくと朝ご飯も終わっていた。

約30分弱でインタビュー終了。

2時から、はかないアグネス・チャンとのインタビューである。

2時に訪れると、アグネスはか細い声でインタビューに応じてくれた。時々、東南アジアの怪しいガイドに助けを求めていた。

アグネスは、見かけどおりのかわいい人だった。

次に怪しいガイドへ。怪しい日本語で話しかけてくる。

怪しい日本語なので、真面目に相手にされていない気分になる。誰が彼にこんな日本語を教えたのか?

ガイドも日本語はそれほどわからないので、英語で真面目に答えたりするが、時々「マジで~?」とか「超難しいから~」とか言うので、女子高生か!っとイラッとする。

本当に誰が教えたのか。

お礼に「どんだけ~」の発音と使用方法を教えてあげた。嬉しいのか「どんだけ~」を乱用するガイド。さらに怪しさが増した。

帰国前に小島よしおを伝授しようと心に決めた。

その後、中国系女子の具合が悪くなる。いつも4時に帰るぽっちゃりさんが、「それはよくないわ。もう帰りましょう!」とみんなで3時半に帰る。いやいや、あんたはいつも4時までいるでしょうよ、と思ったが、みんなで一緒に帰った。

雨が強く降っていたので、初大学図書館へ。

日本語の小説もおいてあるよと聞いていたので、雨が小降りになるまで本を読むことにした。

最近の本がずらっと並んでいる。読みたかったが文庫本になっていなかったので、読んでない本がいっぱい。

どれもぼろぼろになっている。日本語に飢えている留学生が読んでいるのだろう。

気になる本がたくさんあったが、薄目の本ということで、中島たい子の「漢方小説」にした。恋人にふられたことと仕事がうまくいかなくなったことにより、31歳の女性が体調が悪くなるが4件行った病院全てに「異常なし」と言われ、5件目の東洋医学の病院で具合の悪い場所を探し当てた担当医に恋してしまうというお話である。

彼女の友達(女)が3人でてくるが、全員体調不良である。

みんな見た目は健康そうだが、実はどこか具合が悪いのだ。

「病気も自分の一部です。どこも悪くない人間はいません」という10円はげを持つ医者の言葉に納得した。ずっと薬を飲み続けなければいけない恐怖におびえる躁鬱病の女性。しかし、医者は、「薬を老眼鏡と思えばいい。生きるために必要なものだということ」と言うのだ。

読み終えたとき、ちょうど5時で雨もやんでいた。

雨の日の図書館は、日本でも好きであるが、日本でいる気分でいたが、周りから聞こえる言葉が英語だったりすると、なんだかさらにいい気分である。

「漢方小説」の中で、主人公の友達(男)だけが唯一健康そうなのであるが、彼が主人公とその友達に対する意見として、「精神が明後日の方向に向いているから、前向きに生きられず、すぐに悩んだり考えたり苦しんだりする」というようなことを言うのであるが、その台詞もかなりずっしりきた。

私もきっと「精神が明後日の方向に向いている」人間だと思う。

つい先日も、「千と千尋の神隠し」で言ったら、千の方、あっちの方で生きているよね?と友達に言われたところである。ちなみにその台詞は友達が言われた言葉であるが、私もそうだといいたかったらしい。

彼女も「精神が明後日の方向に向いている」人だと思う。今度会ったら教えてあげよう。

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イスラムの少女

今日は9時半に着いた。

病院を見学するためである。病院に入ると、どう見ても退職後の青いブレザーのおじいとおばあが受付に座っている。

エスカレーターで二階に上がると患者待合室。広々として窓が大きく気持ちがいい。

そしてそのまま歩いていくと、昨日のティーパーティー会場のカフェに着いた。その周りには日用品や化粧品を売る店、おもちゃや花を売る店、雑誌やお菓子ジュースを売っている店などが並んでいる。どの店も明るい色を使い、ショッピングセンターのようである。

病院の売店こそ、こうでなくては!どうして日本の売店は暗い雰囲気を漂わせているんだろうか。

雑誌を売っている店に入ってみると、雑誌の正面に子供用のおもちゃを売っていた。その中で目を引いたもの。それは、骸骨のボールペン。しかも、紙にかいても何もうつらないが、骸骨の口を開けるとその光で書いた物が読めるしくみである。

病院で売っているにはあまりにグロテスクな一品である。かなりほしかったが11ドルもするのでやめた。

それから、ヒラリーに会いに医学部へ。

昨日の中年受付嬢が笑顔でセキュリティを開けてくれた。

今日のヒラリーは昨日とうってかわってカジュアルなパンツスタイル。

「あら、元気?今日もとても忙しいの。でも、10時にはお茶に行きましょうね。それから、質問を聞くわ」

やっぱり何があってもお茶は欠かせないらしい。

そして10時のティータイム。昨日のメンバー達に電話で「コーヒーに行きましょう!」と声をかけている。

カフェに集合。昨日のクリスマスプディングばあさんと10代女子は欠席らしい。やっぱり今日もクリームたっぷりのラテとマフィンにバターをたっぷりのせる。

今日の話題はなんだかよくわからんが、仕事の愚痴らしい。みんながみんな偉い勢いでしゃべり出す。「忙しすぎる」と言っているが、うちの職場の人が毎日、日付が変わるまで仕事したり、休日出勤したり(しかもサービス残業)していることを言ったらびっくりするだろう。っていうか、怒り出す?

マオリおばさんに「あんたなんでここにいるのさ?」と質問された。「昨日紹介したでしょ」とヒラリー。「わかってるさ。でも、なんのためにここに来てるかは聞いてないね」とにこりともせずに言う。

仕方ないので、「留学生関係の仕事の勉強に来ています」とおきまりの返事をするが、おばさんは納得しない。「でも、病院で働いてるんだろ?関係ないじゃないか」おっしゃるとおり。「人事異動があるので、いずれその関係のしごとにつきたいので、勉強に来ています」すると、おばさんは納得したようにうなずいた。

「私はその考えを早く変えたほうがいいと思うわよ」とヒラリー。「留学生の仕事って本当に忙しくてストレスがたまるんだから!」

そうかあ???こんな優雅な事務職員見たことないよ。

メインキャンパスのインターナショナルオフィスの職員はみんな自分の仕事に誇りを持って楽しそうにしていたが、学部は何か暗い雰囲気が漂っている。

うちの大学と同じにおいが。

そしてオフィスに帰り、ヒラリーに質問。私のヒアリングがいまひとつと見抜いた彼女は早々にメモをしながら説明してくれた。

「お昼ご飯は、英語学校の学生達とチキンを食べるんだけど、一緒に来る?」よくわからんが、一緒に行くことにした。

大学に留学するには、英語力がいまいちな学生達が入学前に英語の勉強を語学学校で行っているらしい。

そしてある程度のレベルにまで達した学生のみが入学できるそうだ。

中東の学生達が30人ほどあつまるのだそうだ。

語学学校に入ると、優しさそうな長身のおじさんがお皿やジュースの場所をヒラリーに教えている。校長先生らしい。

ニュージーの男性は優しくて働き者が多いように感じる。

今日も机をふいたり、雑用をしたのは、全員男性だった。

チキンが届き、スパイシーライス、フライドポテトと準備が整った。

ぞろぞろと集まってくる学生達。欧米やアジアの学生と違っているのは男女がきっちりと離れていること。女子は全員頭にスカーフをまいている。中には、眼以外すべてを隠している女子もいる。

ヒラリーは学生達に声をかけ、アドバイザーの役割を果たしていた。学生の仕事なんてストレスがたまるだけよ!と言っていたが、嫌いで出来る仕事ではない。

食事の時間となった。彼らはすぐに食事をとりにいこうとはしない。

ヒラリーが、「ここはニュージーなんだから、ここではレディファーストよ!」と言って、控えめな女子達に先に食事をとるように促す。

続いて男子達も食事を取りに来る。

女子達は食べている姿を見せないように壁に向かって食事をしている。眼だけしか見せてない子はベール?をとらずに布の中に食べ物を持っていき食事をしている。

そして、男女は決して話をしない。

しかしこれがイスラムの教えであるのなら、仕方ないだろう。

昨日の留学生のパーティーとは偉い違いである。

私は彼女たちに興味津々であったが、黙って壁に向かって食べているのでなかなか声をかけづらい。

そのうち、食べ終わった男子達が去っていった。女子だけになると、ヒラリーがひとりひとりに声をかけている。「英語の勉強はどう?」とか「この中で医学部に入る人は何人だっけ?」など。驚いたことにほとんどの学生の名前を覚えていた。憶えにくい中東の名前を。ヒラリーやるじゃん。

一番端っこで、何度もベールをなおしている女の子に話しかけてみた。

「どうしてみんなベールで頭を隠してるの?」

「私たちはイスラム教徒だからよ。結婚するまではこうしているの」

「あなたはどこから来たの?」

「オマーンよ。あなたは?」

「日本」

「ああ、日本ね。日本の学生は多いわよね。オマーンの学生はとても少ないのよ」

「あなたは医者になるの?」

「ええ。私はここで7年間勉強して母国で医者になるのが夢なの」

彼女は中学生ぐらいにしか見えなかった。背格好だけでなく、しゃべり方や眼の輝きなど全然すれてないのだ。とっても純粋なのがよくわかった。

午後からの授業が始まるようである。

「あなた達の写真をとってもいい?」と聞くと、彼女の友達がいやがっていた。「どうして?いいじゃない」みたいなことを彼女が言っているのがわかったが、イスラムの女性達が写真を撮られるのをいやがるのもなんとなくわかった。自分の顔さえ誰にも見られないように隠しているのだから。

「いやならいいよ」と言っていると、ヒラリー出現。「みんな、写真を撮るわよ!並んで!!!」ヒラリーに逆らえるほど彼女たちは強くない。どうしてもイヤだという一人を除いて一列にならんでとることとなった。

すると、私と話した彼女が私の腕に自分の腕を絡ませてきた。学生のほとんどは、自分と対等と感じさせる風格を備えている。しかし、彼女はとても弱く守らなければならない存在だと感じた。

友達のなかでも一番引っ込み思案でおとなしい感じである。

お礼を言い、さよならしたが、7年後、立派な医者になっていてほしいと心から思った。ヒラリーに任せておけば大丈夫だろう。

それから、ヒラリーはショッピングをして帰るそうである。

私も今日はメインキャンパスにはもどらず、家に帰ることにした。

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ヒラリーのティーパーティー

昨日はネットの接続具合が悪くて更新できませんでした。

朝早くから嵐みたいな天気で、季節も冬に逆戻りしたかのような寒さでした。

しかし、10時までに医学部キャンパスに行けばいいので楽勝。医学部キャンパスのほうが家から近いし。いつもより1時間も遅いし。

で、着いたら9時半。早くつきすぎても相手も困るだろうからと、キャンパス内に1カ所しかないカフェで水をかって飲む。

もう夏休みが始まったから、学生の姿はなし。年輩の方ばかりがゆっくりとくつろいでいる。

9時50分ぐらいに医学部の玄関に。そこには、マオリの受付嬢が(中年の)。

「私は○○さんに会いたい」と伝えると、駅の自動改札みたいな入り口を開けてくれた。これは、ドラマでしか見たことのない超ハイテクセキュリティである。

するとさらに受付嬢が。10代に見える丸顔の女の子。同じことを伝えると、取り次いでくれた。

現れたのは、ヒラリー・クリントンばりの美人キャリア風女性である。

挨拶を交わし、荷物を置くと、「さあ、コーヒーでも飲みましょう!」と言うから、他の部署みたいに給湯室に案内されてセルフで好きなのを飲みなさいってことかと思いきや、バッグを肩にかけ、コートを着た。

「ティータイムよ!」と優しそうな中年女性と受付の10代女子に声をかけた。訳がわからんまま地下へ。地下通路で道路をはさんで向かいの病院とつながっているそうだ。

そして、エレベーターで上がった場所にいる、お友達に「ティータイムよ!」と誘いの声をかけ、病院内のカフェへ。

今日は私が来たから特別にティータイムをとっているのかと思いきや、みなさん手に手に5回スタンプを押せばコーヒーが無料になるカードを持っている。

「私たちは毎日10時に、ここでコーヒーを飲んでるのよ!」と言い放つヒラリー。

職員がどうどうと病院内のカフェで仕事中にティータイム!うちの大学病院で同じことをすれば、まあ上司には白い眼で見られるだろう。患者からの苦情も免れまい。

ヒラリーとそのお友達(10代女子、ばあさん、大柄白人女性、大柄マオリ女性)と私を含めた6人は、ティータイムとなった。

私が紅茶だけなのに対して、みなさんクリームたっぷりのラテにマフィン、その上オプションでバターまで付けて食べている。カロリーとりすぎって。

そして、口々にしゃべるのだが、誰も彼もが自分の話ばかりで人の話など聞いちゃあいないのだ。

唯一私が聞き取れたのは、前に座ってるばあさんが、「みんな、クリスマスプディングは作った?あれは絶対作らないとだめよ」と言う言葉だけである。なぜ聞き取れたかというと、彼女はティータイム中、同じことを言い続けていたからだ。それは、誰も返事をしないから。小一時間のティータイムが終わり、オフィスへ。

ヒラリーが医学部内を案内してくれるというので、ついていった。

日本でもお目にかかれない実際の臓器のホルマリン漬けの部屋など、興味深い。

その後オフィスに戻る。

すると、ヒラリーは

「私は今、本当にとてもとても忙しいの。だから、今日はもうあなたのために時間をつくってあげられないと思うわ。それに私、今週は2時に帰ることになってるから」

と言い放ったのだ!

いやいや。それじゃあ、10時のティータイムを今週はやめたらいいんじゃないか?1時間は食べてしゃべってたよ。

「じゃあ、明日また来ます。明日は質問できますか?」

ワンマンヒラリーに文句など言えるものか。

「明日なら大丈夫よ。10時に。またティータイムに行きましょうね」

またティータイムから始まりですか?しかも病院内の患者さんとかお見舞いの人とかが行くあのカフェで。仕事中に。

せっかくなので、唯一のカフェで昼食をとり、2時にメインキャンパスへ。

今日は交換留学生のパーティーがあるから、時間があったら手伝ってと最高のチームリーダーに頼まれていたのである。

当初は医学部からわざわざバスを乗り継ぎ、パーティーに行くのはやめておこうとおもっていたが、今日私がしたことは、ティータイムだけなので、行くことにしたのだ。

オフィスに着くと、コナン君とフレンチ美人が笑顔で出迎えてくれた。私が戻ってくることがわかっていたかのような笑顔である。

「なにしようか?」とコナン君に聞くと、「まだ時間あるから、いつもの翻訳をやって」とのこと。

デスクトップパソコンは、こないだの学生が占領しているため、使いにくいノートパソコンで。何もしてないのに、気を遣ったのかやたら眠い。

ぽっちゃりさんのところへ顔出しにいこうと、席を立った。

ぽっちゃりさんは、笑顔で迎えてくれた。「医学部は順調だった?」「ティータイムに1時間とって、質問の時間はなかった」とは言えない。なぜなら、ヒラリーとぽっちゃりさんは仲良しだから、今回私を受け入れてくれたのである。

「順調です」とうそをつく。「でも、彼女は今日はとても忙しいので、明日質問をします」と付け加えると、「明日時間があるならいいわね」と何も知らないぽっちゃりさんはご満悦。

中国系女子は、学生に何か質問されていたため、おじいの部屋に。「やあ!元気?」とおじいはいつもの調子である。

挨拶も終わったので、仕事に戻った。

広島大学も完璧。翻訳の必要なし!

すると、コナン君が準備を始めたので手伝うことにした。

4時から始まりで、最初の学生が来たのが4時だった。なんとなく受付を引き受けた私。学生の名前を聞き、ネームシールとくじ引きように名前を書いてある紙を箱の中に入れてもらう。

時々予約してない学生が来たが、自分で名前を書いてもらうだけ。

楽ちんである。しかし、律儀なコナン君。「ありがとう。たすかるよ。グッドジョブ」と言ってくれる。

ぽっちゃりさんも、挨拶をするために現れた。「受付してるのね。グッドジョブ」

すると、明らかに日本人の発音の英語を話す男子学生が現れた。予約なしとのことだったので、名前を書いてもらうとやはり日本人。しかも東大生。

遅れたから慌てているのか英語がたどたどしかった(私はいつもたどたどしいが)ので、日本語で説明すると、ものすごくほっとした様子。

私も日本語で説明できてよかったよ。

日本人以外のときは、ほとんどジェスチャーで理解してもらっていたので。ちゃんと言葉で説明するのはいつぐらいぶりだろうと考えた。

その後、ぱらぱらと学生が現れ、約30人ほど集まった。

さっきの東大生が一直線に私に向かってくる。やばい。日本人だから何か質問される。案の定彼はやってきた。「このパーティーに僕も出席していいんですか?東京の大学からこっちに来てるんですけど」東京の大学って、東大だろ。「交換留学生のパーティーだから、かまいませんよ」と答えるとまた所在なげに戻っていった。

さて、ぽっちゃりさんの話も終わり、パーティーの始まりである。

といっても、ピザとスナック、ジュースとビールの立食パーティー。

気がついたときには、東大生は消えていた。

そして、くじ引きの瞬間。インド系の男子学生が旅行券をもらっていた。うらやましい。

学生同士が話をするのはもちろん、彼らが職員と話をしたがっていることに驚いた。何人もの学生が職員への相談をするために順番待ちをしている。

職員も、学生の名前と出身国を全部憶えていて、ひとりひとりに話しかけている。

しばらくすると、最高のチームリーダーが、「今日は医学部も行ったから疲れたでしょ?帰っていいわよ」と言ってくれたので、お言葉に甘えて帰ることにした。

いつもより遅い6時過ぎの帰宅となった。

ちなみに、ヒラリーのティータイムの話は奥様にばかうけだった。ヒラリーは典型的なキウイだという。

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レベルが違う

今日はまた別のオフィスへ。

担当は、ハリポタの映画の魔法学校のおばあさん先生みたいなかっこいい女性。

黒のパンツスーツで髪の毛をアップにして、颯爽と歩く。

そこで、今週来る中国と来週来るインドのお客さんのための資料の封筒入れを手伝った。毎年、海外の80ぐらいの大学から訪問者が来るらしい。

超注目されてる大学なのだろう。

今月だけでも5カ国からやってくる。

いつもは一人でハリポタ先生が準備しているみたいだ。それは大変。

なんせ、インドの団体様は45人も来るらしいのだから!

彼女の甥の嫁は日本人ということで、写真を見せてくれた。二人の娘がいるという。名前は「さくら」と「すず」。二人とも2歳と0歳で、とてもかわいい。

彼女は甥の嫁をとても気に入っているらしい。いい人でよかった。

同じ部屋に、タイガーウッズみたいな青年も働いていた。タイガーも親切で友好的だが、ものすごい勢いでパソコンを打っているところを見ると、忙しさがひしひしと伝わってくる。

45人分のパッキングが午前中で終わったので、私はぽっちゃりさんのオフィスに戻った。

一日ハリポタ先生の所にいると思っていたぽっちゃりさん。予定が狂ったみたいで、わたし専用の仕事を用意してくれようとする。研修期間も残り3週間弱。そんなに働いてばかりいるヒマはない。

先手をうったわたしは、「ここにインタビューしたいんだけど」と言ってみた。すると、ぽっちゃりさんは、見事なフットワークで3カ所のアポをとってみせた。すごい。

「他にもインタビューしたいところがあったら、アポをとってあげるわよ!」と自信満々である。

もうちょっと勉強して、聞きたいところが残ってないか探しておこう。

おじいは、家庭菜園でとれたグレープフルーツを籐の篭に入れてきた。

ぽっちゃりさんには、頼まれていたのか、赤いバラの鉢植え。

ここはどこ?童話の世界?錯覚をおこすかわいい贈り物達である。

ぽっちゃりさんは、中国系女子に新しいパンフレットを並べるよう命じると去っていった。

「手伝ってくれる?」彼女にはいつも世話になっているので断れまい。

古いパンフレットを捨て、新しいのを倉庫からとってきた。割と力仕事。

できあがって、二人で満足していると、別の棚を除いてみた中国系女子。絶句。

その棚は今日整理した棚の何倍もすごかった。。。

「来週、時間があるときに手伝ってもらってもいい?」ぽっちゃりさんは管理職。おじいは相談員。彼女を手伝える人はいない。

「いいよ」

「ありがとう!」

インタビュー以外は何も予定がないので、手伝おうじゃないか。そして、日本の職場を思い出した。その棚の何十倍もすごい書庫を。。。誰も手をつけようとしないあの書庫を。。。。

思い出さないでおこう。ここでいる3週間は。

余談であるが、今日のハリポタ先生以外にもうひとり年輩の女性がいる。先週まで髪の毛をアップにしていたのに、ショートカットに。

「髪切ったの?」「うふふ。そうなの。あなたみたいにしたの」

私は熟年?のファッションリーダーらしい。

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女性の悩みは万国共通

今日も快晴。

最高のチームに行く日である。賞味期限ぎりぎりのバナナを持参し、オフィスに行く前に売店でサンドイッチを買った。

オフィスに着くと、「週末はどうだった?」のおきまりの台詞。みんなそれぞれ週末を楽しんだようだ。

金曜日に撮った写真をUSBに保存して、フレンチ美人に渡すと、「パーフェクト」の返事。「これをサモア女性に持っていって。彼女がこれを必要なの」とのことなので、別の建物へ。オフィス内をうろついていると、中国系のはかないアグネス・チャンと眼があった。「サモア女性のオフィスはどこ?」「ああ、向かい側よ」

向かい側だったっけ?思えば一週間前に挨拶にきたときは、ぽっちゃりにつれられていたので全く憶えていない。向かいに来たが、階段がある。階段を昇ったような気もするので、昇ってみる。いや、ここは絶対違う。すると、見覚えのあるインド系女性がお茶を入れたカップを持って現れた。「サモア女性のオフィスは?」「案内するわ」ほっとして、ついていくといたいた。

しかし、学生とお話中。隣の席のぽっちゃりギャルに写真のデータを渡す。

ギャルは早速チェック。自分の写真を見て、「見て、私こんなに太ってる。あーあ」と嘆くではないか。彼女はそんなことは超越したような素敵な雰囲気の女性であったので、驚いた。「そんなことないよ」と言うと、「よく言うわ、ほら、他の人と比べてよ」と嘆く。「私はそんな風に思わないよ」と言ったが、それ以上彼女は何も言わなかった。

女性の悩みは万国共通である。太っているのは健康上良くないが、彼女は充分魅力的である。しかし、私がどういおうと今の彼女には伝わらないと思ったので何も言わなかった。

その後、先週の木曜と同じ翻訳の仕事。

リーダーに「質問があるんだけど」と言ってみると、「ごめんなさい。今から用事があるから後にして」とのこと。(昼前に質問することに成功した)

仕方なく、眠気がおこる翻訳の仕事を始めた。

今日は慶応大学から。翻訳の必要なし。これこそパーフェクト。必要な情報がどのページにあるかのみ書き出した。

すると、フレンチ美人がやってきた。「毎週月曜はみんなで日本食レストランに行くと決めてるの。一緒に行く?」今日は腐りかけのバナナとおいしくなさそうなサンドイッチを持参していたが、月曜日にこのオフィスに来ることは今日以外はないので、一緒に行くことにした。

こちらのランチタイムは大体12時半以後である。私はいつも腹が空く。腹の空いてきた11時前にサンドイッチを食べてみた。全然である。まだまだお腹がすいている。どうも胃拡張になっていると思われる。

12時半に、フレンチ美人が誘いに来た。リーダーは会議、コナン君のところには学生が訪ねてきていたため、二人で行くことにした。

フレンチ美人は今の職場に働きはじめてまだ2ヶ月だという。フランスの大学の修士課程を9月に修了し、それからここに就職したらしい。インターンシップで5ヶ月働いていたため就職できたのだそうだ。

「なんで英語が上手なの?」と聞いてみると、「アメリカの大学に1年間留学していたの。でも、私の英語は本当にひどかったわ。ハンバーガーは好きですか?も何を聞かれているのかわからなかったし。あなたのほうが上手よ」と励ましてくれた。

「それに、私の彼氏がアイルランド人で英語しか話せないの。フランスから一緒にこっちに来てるのよ」

なるほど。納得。

しかし、なんて国際的なんだろう。もう留学とか2カ国語話せるとか、当たり前だと感じる人たちがこの世界にはたくさんいるのだ。日本はなんて狭いんだろう。未だに英語も話せないし。(私を含め)

「私はフランスの映画のアメリが好き」と伝えると、「みんな好きね。でも、私は好きじゃないわ。パリに何ヶ月か住んだことがあるけど、私はパリが嫌い。人が多いし、汚いし、物価は高いし。私はリヨン出身なの。リヨンは美しい所よ」そんなフランス人もいるんだ。日本人女性はパリジェンヌにあこがれ、どうにか自分の生活やファッションをパリっぽくしようと努力しているのに。

日本食レストランでは、彼女はいつも「照り焼きチキンどんぶり」しか頼まないそうだ。私は、「野菜天丼」にしてみた。店員は、顔立ちも英語の発音もどこをどう見ても日本人なので、日本語で注文すると、「スモール、オア、レギュラーサイズ?」ときた。「スモールプリーズ」と答えると満足そうだ。なぜ?ここは、日本語禁止ですか?

照り焼きチキンを少しもらったが、日本の味と同じである。天丼も同じ。シェフも日本人か?

「○○はベイビーがいるから今日は来られなかったの」とフレンチ美人。「眼鏡美人がベイビーがいるの?」と聞き返すと、「彼女は子供はいないわよ!彼女の友達」と笑うフレンチ美人。

でも、眼鏡美人はいつも5時より早く帰ってるし。

「もし、子供がいたら勤務時間は他の人と違うの?」と聞きたかったが、何度言っても上手く伝わらず、「子供ができたら、お母さんは赤ちゃんと一緒にいるのよ」と当たり前のように答える。滞在先の奥様から、「ニュージーは物価が安くないから、大体共働きよ」と聞いていたし、職場も多くの女性が働いている。

「私のお母さんは、ベビーシッターをしていたの。6人の他の子と一緒に育ったのよ。私は子供の時にお母さんと一緒にいることができて、幸せだったの」どうやら、彼女は子供ができたら仕事を辞めそうである。

職場への帰り道、「ユニセフですが」とスーツを着た、大泉洋よりも天パがきつい白人男性(20代前半か?)がキャッチセールスのように現れた。彼の視線に私は入っていない。まっすぐにフレンチ美人を見つめている。

キャッチセールスというより、ナンパか?

「ああ、ハニー、なんて素敵な笑顔なんだ。どうかユニセフに募金してくれないか」「君は本当にキレイだ」みたいなことを言っている。フレンチ美人は、じゃけんにもせず笑顔で断っている。

こんな怪しいやつがユニセフの職員で、こんな募金活動をしているとしたら、黒柳徹子も親善大使をやめるんじゃないか?

どうやら彼女は上手く断ったらしい。すると、欧米版大泉洋が同じ台詞を私に言ってきた。いや、それ今さっき聞いたし。「私はお金がありません」と言い放ち、私たちはそこを去った。

「あの人はユニセフの職員なの。ユニセフっていうのは・・・」とフレンチ美人がユニセフについて説明してくれた。「知ってるよ。あいつ、怪しいよね」と言える雰囲気ではなく、(なぜなら彼女はユニセフが素晴らしいと力説しているので)説明を最後まで聞くことにした。

それから、彼女はオフィスへ。私は銀行へ。例のごとく行列。20分待ち。

オフィスに戻ると、「学生があなたのパソコンを使うから、あっちのテーブルでノートパソコンを使ってくれる?」とフレンチ美人。「いいよ」と私は男子学生に机を明け渡した。

それから、すすまない翻訳をすること1時間ぐらい。「お茶いれようか?」と男子学生。「今入らないよ。ありがとう」「OK」

彼は私をアジアからの留学生と思っているのか?

どこかの国のお客さんが、訪ねてきていてケーキをだした余りをリーダーが持ってきてくれた。でかいケーキ。しかも、もう4時。でも、食べたけど。

4時半過ぎに、「私は帰るけど、あなたはどうする?」とリーダーが聞くので、「帰ります」と即答し、男子学生に挨拶をして帰った。

それにしても暑い。日差しがきついので、日向は真夏である。朝晩冷えるので、服装が難しい。そして、スニーカーの足は確実に蒸れている。サンダルがほしい。

昨日、クロックスを買おうか迷ったが、今更と思いやめた。でも、今日はどうしてもサンダルがほしい。一日中靴を履くということになれていないことと、急に暑くなったことで私の中の限界がきていた。

帰り道、いつも気になっていたビルケンに思い切って入ってみた。試しに履いてみると、気持ちいい。素晴らしい。さすが、ビルケン。

すると、感じのいい店員さんが、「サイズは大丈?」と聞いてくれた。もうこの時点で買う気満々である。必要性と店員さんの感じの善し悪しは購買意欲に非常に深く関係する。

ぴったりのサイズがあったので、迷わず購入。明日からは私の足は風通しが良くなる。

私が買い終わるとすぐに閉店時間の5時半がきて、店員さんが店を閉めた。

明日は確かドクターなんちゃらの秘書さんの所に行く日では?もしドクターなんちゃらがいたら、サンダルでは失礼か?秘書さん(年輩の女性)は他の人たちに比べて、割ときちんとした格好をしている。

教授秘書は違うのである。やはり、どこでも教授は偉いのである。

水曜日は、確か医学部にはじめて行く日である。初対面の人にサンダルは失礼である。

私のサンダルライフは遠のいていく。

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戦争と平和

今日も快晴。

昨日はトータル10㎞ぐら歩いたらしい。そのせいか、8時までぐっすりと眠っていた。

8時半頃、朝食。旦那さんは、昨日のゴルフで成績がよかったので今日も早朝からコンペに出席したとのこと。

今日は近くの博物館と公園をぶらつき、明日からの5日間に備えて早く帰る予定である。

奥様が、博物館まで車で乗せていってくれた。

10時から開くはずの博物館。10時をすぎても開いていない。お客さんは、入り口付近でうろうろしている。

すると、10時過ぎに係員がめんどくさそうに開館し始めた。これが、キウイタイムというやつか。

でも、誰も文句も言わない。

入場料は5ドル。それにマオリのショーをプラスすると、20ドルとなった。

まず、エレベーターで3階へ。戦争記念館となっていた。当時の戦闘用飛行機の模型や、戦死した兵士の家族に送られた勲章などがあった。

その中に、日本のコーナーがあった。広島と長崎に原爆が落とされたこと、その当時の写真が大きく展示されていた。広島の原爆記念館で見たような悲惨な写真である。

ソロモン諸島に送られていた日本人兵士の日記や遺品などもあった。

南半球のこんなに離れた国で、日本の悲惨な戦争の歴史を振り返ることになるとは思ってもいなかった。

その後、11時のマオリ族のショーにあわせて一階へ。中国系の中学生ぐらいの子供達が遠足か何かで先生と団体で来ていた。

彼らと少し離れたベンチに座っていると、隣の高校生ぐらいの白人の女の子に「マオリのショーってここで待ってるのでいいの?」と質問された。「うん。ここ」と答えた。

オークランドはアジア人が多い。だから、他の国では滅多にないけど、地元の人に道を聞かれたりする。昨日も白人の女性に「駅はどこ?」と聞かれた。

マオリ族の衣装を着た人たちが数人集まってきた。「これからみなさんを案内します」とまおりのおばちゃんが説明を始めたのは、もちろん11時を過ぎていた。

私は、前の方で見たかったので、遠足の子供達よりも早めに並び、会場へ。

真ん中のいい席に座ることができた。

彼らのショーは、素晴らしかった。何が素晴らしいって、歌声である。プロの歌手並の声量、ハーモニー。

もちろん、ダンスも素晴らしかった。今のマオリ族の人たちもこんな文化を引き継いでいるのだろうか?

ショーの後、見送ってくれるマオリ族の人たちと写真を撮ることができるという。私は、4名の人たちと一緒に写真を撮ってもらった。

その後、1階のカフェへ。お昼ご飯を食べ、1階からじっくり見ることにした。1800年代のドレスや古い家具、楽器など、おもしろいものがたくさん。

その中に、なぜか日本のロリータファッションのコーナーがあった。説明を見てみると、オークランド工科大学のファッション専攻の学生の作品であるらしい。

ロリータの衣装も学生の作品だそうだ。ふつうにお店で売れそうなものである。

あとは、学生がモデルになり、衣装を着た写真。日本人モデルはひとりもいなかった。日本人だと思ったのは台湾や中国の学生だった。

それから、本場、原宿で撮影した本物の日本人ロリータ達の写真がずらり。日本のロリータファッションは、ニュージーランドの若者にも影響を与えているのだそうだ。

そういえば今日2人ほど見た。ロリータのニュージーティーンエイジャー。

その後、2階の動物コーナーへ。

たぶん今回は生で見ることはないだろうキウイの剥製?を見た。

ミュージアムショップに行ったが、ほしい物はなし。

ミュージアムをでて、ウインターガーデンへ。

そこはもう天国?ありとあらゆる花が美しく咲き誇っている温室である。

明日からの準備もあるので、早めに帰ることに。帰り道、いつものショッピングセンターへ。そこのCDショップで、ワゴンセールをやっていた。全部10ドル。安っ。日本の中古CD並で新しいCDを買えるじゃないか。

滞在先の奥様は、音楽好きで、毎朝の朝食の時に毎日違った音楽をかけてくれる。クラシック、オペラ、シャンソンと幅広い。私の部屋でもCDが聞けるようにと、CDプレイヤーとおすすめCDも借りている。

ダウンタウンの中古CD屋さんも教えてもらったので、いつか行こうと思っている。

今朝も音楽の話をしたところ。かなり影響されている。ワゴンに行き、なめるようにCDを見ていると、クラシックベストが2枚入り、レイチャールズのベスト2枚入り、ビリー・ホリデイ等ジャズのベスト2枚入り、エディット・ピアフ等シャンソンベスト2枚入りを見つけてしまった。

これはかなりお得。迷わず購入。ニュージーのCDは日本みたいにCDケースにビニールコーティングはしていない。CDに傷がついたりしないのか?とずっと疑問だったことが、今日解明された。

CDケースの中に、CD本体は入っていないのだ。レジで店員さんが、引き出しからCD本体のみを抜き出し、ケースに入れてくれるというしくみである。

それから、滞在先に戻り、明日の準備をしながら買ったばかりのクラシックを聴く。音も良く、なかなか良い買い物だったようだ。

また明日から研修だ。

日本にいた頃ほどではないが、やっぱり休みが終わるのは憂鬱である。

しかし、大丈夫。すべてはうまくいっているから。

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お金の使い方

今日は初土曜日。

ゆっくり寝ていようと思ったが、7時に目が覚めた。

いい天気なので洗濯を。外にも干せるように奥様が折り畳み式物干しのちっちゃい版を用意してくれているので、さっそくそれに干す。

ガイドブックに、「紫外線がきついから外に干すと色あせます」と注意書きがあったが、持ち服が少ないし、どうなってもいい服なので、気にしない。

今日は、パーネルというところのローズガーデンでフェスティバルがあることを、バスのスクリーンの宣伝で見つけていたので、2,3日前からそれに行きたいと奥様に話していた。

奥様に滞在先からの近道を教えてもらい、いざ出発。

外に出てしばらくしてから、帽子を忘れたことに気づいた。戻るのはめんどくさい。オークランドは坂の街なので、引き返すのは一苦労なのだ。

そのまま出発した。民家の私道みたいなところを通ってなんとか目的の大きな通りに到着。しばらく歩いていると、フェスティバルに向かう人々がちらほら見えだした。

ローズガーデンには、11時前に到着。約45分間のウォーキングである。

「最近寒いから、バラはさいてないと思うわ」と眼鏡美人リーダーが言っていたが、ちゃんと咲いていた。

太陽が出ると、夏と思われるぐらい暑いので、咲いたのかもしれない。

バラはキレイだったが、それより露店?がおもしろかった。

まず、目を引いたのがクラシックカーの展示である。しかも、赤と白のボーダーのジャケットのおじいちゃんが売っているのだ。

中国人の女の子3人が、おじいちゃんと一緒に写真を撮ってもらっているのを発見し、そのうちの一人にシャッターを押してもらい、ツーショットでの撮影に成功した。

それから、他の店をぶらぶらしていると、子供服の店があり、ワンピースの裾がワイヤーが入ったみたいに広がっている。デザインもポップでかわいい。一番大きいサイズは入るかも、と見ていると、店員さんが、「これは7歳用です」と。そして、もし、大人用があったとして、果たして着る勇気があるのかと。

こういう場所は人の心を惑わすのでいけない。

ニュージー産の蜂蜜、ハーブティー、ろうそく、雑貨など、さまざまな店があった。

その中のひとつに、ボディペインティングの店があった。子供達が、蝶々や虎、海賊などいろんなペインティングを顔にしてもらっている。

密かにあこがれていたことのひとつである。

しかし、私は今日ひとりで来ている。このガーデン内はよしとして、歩いて帰らなけらばならない。大人は誰一人やっていない。

様々な要素を考え、諦めた。

芝生の方へ行くと、海が見える。オークランドのシンボルのスカイタワーも見える。絶景ではないか!

ここで、昼食をとることにした。おばあちゃんから、アメリカンドッグを買い、芝生に座って食べる。周りの人たちもそれぞれ芝生で買ってきた物を食べている。

すると、クラシック音楽がどこからか聞こえてきた。

音のする方へ行ってみると、ティーンエイジャーと思われる美少女達がバレエをやっているではないか!どうやら、フェスティバルの催しのひとつにダンスがあるらしい。

日陰はなく、日向に椅子が並べている。上着を頭にかぶり、椅子に座った。

ソロもあれば、ふつうのバレエではなくパントマイムみたいなバレエもあり、最年長が15歳とは思えないほど達者な子供達である。

その中の一人の男の子(9歳ぐらいか?)が、日本の祭りをテーマにしたバレエを披露した。はっぴを来て、「日本」と書かれた手ぬぐいをしめ、日本の笛をもって踊っている。音楽は、全然日本っぽくないし、バレエに日本の祭りはムリがあると感じたが、ニュージー達は拍手喝采である。日本のイメージってこんなの。

その後、ニュージーの大会で優勝したという社交ダンスの二人組が現れた。タンゴが始まった。そこだけ夜の世界。アダルティーなムードである。

しかし、周りはペインティングした子供達がかぶりつきで見ているし、露店のいろんなにおいが立ちこめている。

タンゴのあとは、スコティッシュダンスである。バグパイプにタータンチェックのスカートにハイソックスのおじいちゃんとおじさんが現れ、演奏してくれた。その後、6人のダンサー?シニアダンスサークルの人?が現れると、おじいちゃんとおじさんも仲間に加わり、フォークダンスみたいなダンスが始まった。

バグパイプのときは何とも思わなかったが、おじいちゃんがタータンチェックのスカートに紺色のハイソックスをはいてダンスを始めると、コスプレのおじいさんが浮かれているように見える。

もちろん、私はおじいちゃんに釘付けである。写真も何枚も撮ってしまった。

その後は、フィリピンダンサーチームである。葉っぱを両手に持ったダンスと、頭の上にお椀みたいなのをのせたダンスの後、なじみ深いバンブーダンスがはじまった。

フィリピンダンサーチームの中には、おばあちゃんがいたのだが、やはり竹を持つ役割であった。バンブーダンスには、フィリピン人?の子供達が鮮やかな足裁きで軽やかにダンスを行っていた。

おおとりは、ブルガリアンチームである。司会者によると、バラはブルガリアが有名らしい。チーム名も、ブルガリアンローズ。

大人だけの女性ダンスと子供(男女混じった)ダンスがあり、楽しかった。

世界中、どこの国にもダンスがある。今まで考えたこともなかったが、人間が生きていく上で、その土地に密着したダンスは、生活に欠かせないものだったに違いない。

その後、詩の朗読が始まったため、帰ることにした。

11時から、2時まで実に3時間、私が使ったお金はアメリカンドッグ2ドル50だけである。

それだけで充分楽しめた。日本人は娯楽にお金かけすぎではないか、と常々思っていたが、ニュージーの人たちはお金をかけずに休日を楽しんでいた。

それから、滞在先に帰るため、ショッピングセンターのある繁華街(といっても小さいが)を通り抜けるとたくさんの店は、物であふれていた。

しかし、私にはほしい物は何一つなかった。

2ドル50セントで、十分すぎる物をもらったからである。

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問題なし!

さて、カジュアルフライデーがやってきた。

私はいつもと変わらない格好で。ジーンズは一本しか持ってきてないから、土日困るし。

昨日のバス止まりません事件を学習し、今日はいつもより早めに出発。奥様にいつもの坂の上まで車で送ってもらう。(バス停が坂の上なので、行きだけは送ってもらっている。)

今日は、待つこと10分足らずでいつものバスが止まってくれた。

8時半に到着。

早く到着しすぎても、みんな気を遣いそうなので、大学の本屋に行ってみた。充実の品揃え。文房具も日本の東急ハンズ並にそろっている。

うちの大学の生協と全然違う。。。

そして、15分前に職場に到着。

今日はワークショップがあるため、みんな集合していた。

昨日の眼鏡美人リーダーに朝の挨拶をしていると、フレンチ美人がなにやら慌てている。「P(わたし)、カメラ持ってきてる?」とフレンチ美人。

「持ってるよ」と答えると、「みんなカメラを忘れて来ちゃったの。今日はあなたがカメラマンよ!」という返事。

えっ?ここが主催なんですよね?アバウトすぎませんか???

しかし、今日のワークショップに参加しても英語がいまいちの私にできることがあるのは、嬉しい。

「やりましょう」と偉そうに答えてみた。

そして、やはり、みんなカジュアルフライデーだった。フレンチ美人はジーンズに腹出し、リーダーもジーンズのロングスカート、マオリ系女性に関してはアロハシャツに膝丈パンツ、髪には花まで。

彼女はサモア人なのだそうである。今後はサモア女性と訂正。

そして、やってくる他大学の人たちも、学生?と思うぐらいカジュアル。Tシャツに半ズボンにサンダルの男性、女性もカジュアルな人が多かった。

そして、アロハなサモア女性の司会進行とともにワークショップは始まった。

遠くから来ている方が遅れているので、ひとりずつ自己紹介とのこと。

私の番がやってきた。私も挨拶するのだろうか?迷っていると、中国系女子が、「P、挨拶よ!」と後ろからささやく。

「私はPです。日本から来ました。今日はカメラマンです」と言うと、一同爆笑に。意志とは無関係の笑いであったが、よしとしよう。

その後、それぞれの大学の代表者による大学の国際関係の仕事についての説明と問題点の発表があった。

とりあえず、写真撮影のみはやりとげたが、英語は全く理解できなかった。

途中の休憩で、ジュースとクッキーを食べながら、各大学のスタッフ同士でお互いの仕事について話し始めた。

私は自分の大学の国際関係の仕事をしているわけでもなく、質問にも答えられないし、どないしようと悩んでいると、オークランド工科大学の女性達とリンカーン大学の女性のグループの人たちが呼んでくれ、輪に入った。ちなみに、みんなアジア系かマオリ系である。

白人より親しみやすいし、実際一番に仲間に入れてくれるのはいつも彼らである。

たわいもない話をし、笑い、幸せを感じていた。

すると休憩時間が終わり、大学の説明の続きが始まった。

最後の大学の説明中に、サモア女性が私に、「集合写真も撮ってもらえる?」と頼みに来た。

おやすいご用である。

発表が終わった後、みんなでベランダへ。スカイタワーをバックに並ぶ。

私が写真を撮ろうとすると、フレンチ美人が現れ、「私が撮るから、あなたは入って」というので、隅っこにでも入ろうかとうろうろしていると、オークランド工科大学のアジアンビューティーが、「隣に来なさいよ」と呼んでくれたので、ほぼ中央の超VIPな場所に収まることとなってしまった。

それから、立食パーティーである。

筑波大学に留学していたというオークランド工科大学のマオリ系女子と日本語で話していると、中国系女子が「P、スシがあるよ!早くしないとなくなるよ!」と呼びに来てくれたので列に並んだ。

スシとサンドイッチとフルーツを獲得し、同じ大学の人たちの輪に入った。

食べ終わるとすぐにキャンパスツアーが始まった。月曜から研修しているが、巨大なキャンパスは謎だらけである。私もいってもいいのか?と悩んでいると、アメリカ人ナイスガイが、「君も行ってもいいよ」と言ってくれたので、参加した。

なじみのある場所、知らなかった場所、説明を聞きながらぐるっとひとまわり。

体育館にゲーセンのゲームを置いてあることに驚いた。日本の大学に置いたら、学生が入り浸って大もうけであろう。

その後、5~6人のグループに分かれて問題点について解決法を話し合い、発表するという。いやいや、午前中の話もさっぱりわからん私が仲間に入れるわけないよ、と早々に一番後ろの席に座り休んでいると、「P、カモン!」とヘソだしリーダー。「のーさんきゅー」と断ると不思議そうな顔である。だから、ムリって。

サモア女性が、「P、カモン」と追い打ちをかける。「私は理解できないので、ここで聞いています」と一番後ろのグループのすぐ後ろの椅子に腰掛けると、「君はここに座りなさい」と、うちの大学の偉い人がやってきた。断れまい。

諦めて、グループに入ったが、まず質問すらなんのことやら?である。討論は活発に行われている。

そして、食後の眠気のピークが私を襲う。

なんとか持ちこたえようとするが、眼を開けている時間より、閉じている時間の方が明らかに長い。

意識が遠のいた瞬間、「スタッフも交換留学みたいにすればいいんじゃないか?」という水色シャツのカンタベリー大学男性の発言に、うちの大学の中国系不思議ちゃんが、「それは良い考え。Pはどう思う?」とふってきた。

ただでさえ、上手くない英語は、頭が働いてないときはさらにだめになる。

単語が思い浮かばず、「それは私ら日本人には難しいんでないか?」って言おうとしてつまずき、不思議ちゃんの質問に条件反射で「ノー」と答えると、彼女は「それならいいの」と引き下がってしまった。

あれれ?そんなつもりは。。。

後で不思議ちゃんに説明し、謝ろうと思っていると彼女の帰宅時間の4時になり、会議中にそっと帰ってしまった。

中国系女子に「不思議ちゃんに謝らないとあかんね」と説明すると、「大丈夫よ。問題ない」とのこと。やっぱりここでも問題なしですか。

でも、月曜日に説明だけはしておこう。

ワークショップも終わり、ハッピータイムというみんなでお酒でも飲みながらもっと話しましょという時間がやってきた。

日本だったら、たぶん外の店を予約し接待?となるだろうが、ここは残業をしない国。4時から始まったハッピータイムは30分もしないうちに、半分以上の出席者が帰っていった。私は、午後の会議の失態をカバーするべく、それぞれのグループの写真を撮りまくった。もういやがられるほどに。

「グッドジョブ」とみんなに誉められ、とりあえず本務は全うした。

中国系女子が、「再来週の土曜か日曜にドライブに行かない?」と誘ってくれたので、嬉しくてすぐにOKした。

「来週は一緒におじいの家に行くでしょ?」そういえば、おじいの家のトラクターが日本製で取扱説明書が日本語でわからんから、家に来て訳してくれと今朝頼まれていた。

「来週なの?」

「たぶんそうなるわ」

職場とプライベートは割り切っていると思っていたから、毎週末はひとりであちこち散策するつもりだったが、観光はいつでも(何年か後でも)できるが、ここで知り合った人たちと週末を過ごせることは二度とないだろう。もちろん、私は人優先である。

「今日は帰ってもいい?」眼鏡美人リーダーに訪ねると、「もちろん!今日はハードワークだったわね。ありがとう。私は、あなたと働けて本当にハッピーよ」などと言ってくれる。

「私はあなたがそう言うのを聞いてハッピーです」と答えると、素敵な笑顔を返してくれた。

その後、荷物をコナン君のロッカーに取りに行くと、「ワークショップはどうだった?」とコナン君。「わたしには難しかったよ。しかも、昼から眠ったよ」と答えると、「僕も眠るよ。問題なし。明日は晴れるよ。素敵な休日を。そして、十分な休養を!」とコナン君。

「じゃあ、月曜に!」と出ようとすると、眼鏡美人リーダーが、「またね!」と声をかけてきた。いると思わなかったから、「おおお!」と驚くと、また意志に反して笑いをとった。

今週も終わり。

大変なこともたくさんあったけど、今日は本当に素晴らしかった。ここに来ることが出来て本当に幸せだと感じた。

それは、彼らがちゃんと言葉で表現してくれるからかもしれない。

日本では、あまり誉められなし、感謝もされない。やることやるのは当たり前。できなければ叱られる。

ニュージーでは、やることやっただけで、みんなが「ありがとう!」とかそれ以上の感謝の言葉をかけてくれる。失敗しても「問題なし!」。

大発見である。

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最高のチーム

今朝はバスが止まらず、数台が私を通り越していった。

同じバスに乗るつもりだった中年女性が隣で憤って、「ヘイ!バス!」と追いかけたが、無情にも止まらず。

今日は違うオフィスに行くことになっており、チームリーダーが9時に迎えに来てくれることになっていた。

憤った中年女性が乗り込んだバスに乗り、「これは大学に行くバスか?」と運転手に聞くと「1ドル60」という冷たい答え。

行くならいいけど。

しかし、いつもと違うバスだけに、違う道を走り出す。バス停留所のポスターを見てみると、別のキャンパスが終着に。

もしや、この学生と思われる若者達はこのキャンパスにいくのか?

私はあわてて、対面に座っていたおじいさんに「これってシティキャンパスに行くの?」と聞いてみると、「次の停留所で降りたらいいよ」と教えてくれた。

「サンキュー」とお礼を言っておりたが、見たこともない景色。

しかし、看板にはちゃんと大学名が。

確か全長4㎞はあるキャンパス。ここが最果てだとすると、私は4㎞歩くのか?しかも9時まであと10分。

誰かに聞こうと周りを見るが、学生らしき人もおらず、とりあえず勘で歩いてみると見たことのある時計塔が。

ここは確か、火曜日に中国系女子に案内してもらった建物ではないか!

目印を見つけた私はそこから全速力。

9時ちょうどにオフィスに着いた。

息切れしている私に、チームリーダーのショートカットの眼鏡美人が出迎えてくれた。

「遅くなったから走ってきたの?」と笑顔で中国系女子に質問されたが、ここは主張せねば!と「バスが止まらなかったんよ。だから、別のバスに乗ったらいつもと違うところで降りて、もう大変だった」息切れしながらも、私は今日もやる気満々だったことを伝えてみたが、二人とも、「そうだったの」と気のない返事。

滞在先の奥様に聞いたところ、ニュージーではしょっちゅうあることだから、誰も気にしないし、らしい。

その後、リーダーは彼女のオフィスへと連れて行ってくれた。

「ここは、学生のためのお店がたくさん入っていて便利だし、私のオフィスからは人がたくさん見えるのよ。だから、私はここのオフィスを気に入っているの。それに、私のチームは最高よ!」

日本でここまで自分の職場を絶賛できるひとがいるだろうか?

少なくとも私の職場にはいない。けなす人はいたとしても。

彼女のオフィスには、いつもにこやかに挨拶してくれるフレンチ眼鏡美人とコナン君みたいな白人男性がいた。

「私たちはあなたと働けることがとても幸せよ!これから私たちの仕事を説明するわね。毎週木曜日は、あなたはここで働くのよ」リーダーの説明はわかりやすかった。

今日はフレンチ美人に仕事を教えてもらった後、独り立ちするらしい。

フレンチ美人は、私がみたところ、オフィス内おしゃれナンバーワンである。眼鏡のフレームも個性的でとても似合っている。

眼鏡を誉めたかったが、リーダーもコナン君も眼鏡なので、またの機会にした。

フレンチ美人の説明もわかりやすい。

しかも、私が「それは知ってるよ」とか「わかったよ」というと、「パーフェクト!」と言って微笑んでくれる。そのたびに、あんたの笑顔がパーフェクトだよ、と心の中でつぶやいていた。これもまた機会があるときに使ってみよう。

どうやら、私は日本の大学のホームページで英訳されていない必要箇所を翻訳することになるらしい。

翻訳っていうのは、日本語も英語もできるひとがする仕事でないか?と不安に思っていると、「あなたしか日本語がわからないの」とフレンチ美人に言われたら、やるしかない。

とりあえず、自分の大学のHPへ。

他の大学に比べて英訳少なすぎ。留学生が少ないから仕方ないけど。

これは、留学生を増やすためにも自分の大学から始めよう。

しかし、なんやかんやで3時間もかかった。もう1時じゃん。お腹空いたよ。もしや、私のこと忘れてない?

「私はご飯を食べてもいいですか?」と聞きに行くと、「もちろんよ!あなたが約束がないのなら一緒に食べましょう」とリーダーが。

良かった。

私はいつものカフェテリアに買い出しに行き、他の3人は家からカレーだのピザだのパスタだのを持ってきていた。

みんな皿に移し替え、レンジで温めている。

「あなたはどこの国に行ったことがあるの?」とリーダー。

私が答えていると、「カナダは?」というので、「行ったよ」と答えると、「エクセレント!」と最上級の誉め言葉。彼女はカナダ人だった。しかもナイアガラの滝に行ったというとさらに喜んだ。ナイアガラが大好きらしい。

ということは、コナン君以外はみんなニュージーじゃないから、英語が聞き取りやすいのか?

彼らは私にもわかる話題のみ話してくれた。さりげない親切が身にしみる。

2時からは、交換留学のセミナーをするので手伝ってほしいと言われていた。

セミナーは、フレンチ美人が交換留学を目的としたニュージーの学生のために行われるらしい。

それが全然堅苦しくないのである。

まず、彼女のファッションは、腹をだしている。

説明するときに、椅子に座り膝を組んでリラックスモード。

学生が集まってくると、(今日は6人)「みんな、このアンケートを後でだして。それとこれは私の名刺よ」と声をかける。

しばらくすると、立ち上がり、学生ひとりひとりに「あなたはどの国に行きたいの?」と聞いて回る。小学校低学年の先生みたいに優しい。

それから、パワーポイントを使った説明後、学生の質問となった。

日本だとこういう場合、質問なしですぐに終了となるが、やはりこちらの学生は積極的である。

質問だけで30分以上。

どうやら、英語圏の国が人気らしい。日本に行きたいなどという学生は一人もいなかった。やっぱりね。特にオーストラリアはお隣ということもあって大人気。次にアメリカのUCLAの中の大学である。箔がつくらしい。

フレンチ美人はどの子の質問にもにこやかに答え、「わからないことがあったら、私の名刺のアドレスにメールを送ってね」と微笑んだ。

わからないことがなくても、送ってしまいそうだ。

セミナー終了後に黒人ぽい男子学生が現れた。「もう終わったの?」

「毎週2時からやってるから、また来てよ」

「僕は木曜はバイトだから無理だよ」

「セミナーに来る日だけ休んだら?」

「今日は早退させてもらったから、もう休めないよ」

「OK。じゃあ簡単に説明するわね」

彼女は先ほどの説明を彼だけのために最初から始めた。

私ももう一度聞けばわかるかと、耳をすましていたが、眠気のピークが訪れ、やっぱりなんとなくしかわからなかった。

彼は工学部の学生で、カリフォルニアのバークレー大学に行きたいらしい。

「バークレーは人気があるから、難しいわ。○○大学(忘れた)のほうが工学部としては有名よ。大学の名前はバークレーが有名だけど、私はこっちのほうがいいと思うわ」

なるほど。

彼はしばらく質問をし、帰っていった。

彼女は疲れているはずなのに、私にむかって、「質問があったら言って」と微笑む。

2,3質問し、お礼を言うと、なんでもないことよと彼女は去っていった。

その後、リーダーが私の部屋に来て、「私は大阪で子供に英語を教えていたことがあるの。本当に素敵な体験だったわ。それに大阪の人はフレンドリーで大好き」と語って去っていった。

国際的なリーダー。日本でも働いていたとは!

しばらく翻訳を続けていたが、もう脳みそが無理と言っていたので、4時に「帰ってもいいの?」と聞きに行った。

「いいと思うわ」とのことなので、早めに帰ることにした。

「それから、明日はカジュアルフライデーだから、ジーンズで来なさいよ!」と微笑むフレンチ美人とコナン君。

「ほんまに?」

「そうよ。金曜はみんなカジュアルな服を着てくるのよ!」

いや、あんた腹でてるし。これ以上カジュアルにどうなるんだろう?ジャージか?

「私は毎日カジュアルだからなあ」と言うと二人は笑っていた。

「あなたは明日からここに来て働けば?」とフレンチ美人は言ってくれたが、ずっと翻訳は厳しい。

しかし、きっとこの仕事が私ができる唯一のことなのだろう。

ぽっちゃりさんのところでは、窓口なので何もできることがない。

やっぱり、この研修って無理があるんでないのか?初日から疑問だったことが明確になった。

その後、滞在先の奥様に紹介された日本人のための情報センターに行ってみた。

すると、フラットメイト募集だの、スタッフ募集だの長期滞在者向けの情報がわんさかある。

スタッフ募集の掲示板を見てみると、ほとんどが日本食レストランのホール係である。時給11ドル。ムリ。

美容師免許を持っていると時給も2倍以上だ。やはり、手に職である。

それから、旅行の窓口の日本人のお兄さんに「クライストチャーチ行きの便のチケットもとれるのか?」と聞いてみると、金曜土曜はかなり混むらしい。値段も高くなるらしい。

それから、オークランド発着の1日ツアーについても聞いてみた。

こちらは、予約は3日前でいいそうだ。

今週末は近所を散策したりゆっくりするつもりなので、また来ますと去った。

この近辺はさすがに日本人が多かった。

ワーキングホリデーとか語学留学の若者達であろうか?

日本人女子は、他のアジア女子に比べ、きっちりメークなのでわかる。そして、必ずカップルで行動している。

中国や韓国の女の子が同性同士で固まって歩いているのとは、違っているのである。

現地調達の恋人か?

などと思いながら、いつもより遅いバスに乗った。

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部屋とTシャツとおじい

今日は曇り。そして、寒いが、迷わずバスから降り、オフィスに着いた。

ぽっちゃりさんが、「9時半から(中国系女子に)インタビューをしなさい」とのこと。

初インタビューである。

9時半になり、インタビューを開始した。

相変わらずわかりやすい英語で回答してくれる、中国系女子。

誰に聞いていいのかわからないものについては、「これは、○○に聞けばいいわ」とひとつひとつ丁寧に教えてくれた。

その○○の大部分を占めるぽっちゃりさん。

「インタビューしてもいい?」と聞くと、「今日は忙しいから、また次の時に」とそっけない。

なんだか難しい顔をしてパソコンを眺めているので、おとなしく引き下がった。

すると、アドバイザーの金髪女性が部屋に来たので、早速インタビューの依頼をし、無事終了。

今日はオフィス内のインタビューの日となっていたから、ぽっちゃりさんに断られた今、残るは、おじいだけである。

おじいの部屋をのぞくと、以外にもものすごい忙しそう。

諦めて、2人のインタビューの整理をしていると、ぽっちゃりさんはまだ悩み中。

どうやら、2月にあるオリエンテーションで着るスタッフのTシャツの色で悩んでいるらしい。何色でもええやん、と思ったが、独断で決めるのはいけないと思っているのか、お茶を入れに来るスタッフ全員に何色がいいか聞いている。

すると好きな色は人それぞれ。まとまる訳がない。

もしや、私のインタビューを断ったのは、Tシャツの色が決まらないせい?

「Tシャツを買うの?」と悩めるぽっちゃりさんに聞いてみた。

すると、かくかくしかじかと説明をしてくれた。

私は適当に「緑色がええんでないか?」と言ってみた。

すると、ぽっちゃりさんの顔が輝いた。「私もそう思ってたのよ!」

緑色は彼女の大好きカラーナンバーワンだったらしい。

でも、「○○がオレンジがいいって言うし。。。」○○さんとは、英国人の小顔の女性である。ぽっちゃりさんのファッションリーダーは彼女だったらしい。

「おじい、中国系女子!ちょっと来て。緑色なんてどうかしら?」自分の意見を急に主張し始めたぽっちゃりさん。

その日、中国系女子はきれいな黄緑色のベストを着ていた。

ネットの緑のTシャツは、すいかぐらいの緑で、いただけない。

「私は中国系女子のベストの色がいいと思う」と発言してみると、「私も朝からそう思っていたのよ!でも、○○がオレンジがいいって言うし」とぽっちゃりさん。

「わしは、オレンジは好かん!緑でええではないか!」とおじい。

「キウイは緑色なんだから、ここはニュージーランド人として緑色を選ぶべきだ」と無責任な発言をした私に、「まさにそのとおりだ!」とオレンジを嫌うおじいのおしの一声。

俄然、やる気をだしたぽっちゃりさんは、緑色をおすことに決めたらしい。

どうやら、ぽっちゃりさんは自分のファッションセンスに疑問を持っていたらしい。案外小心者なのか?

その後、元気になったぽっちゃりさん。スクリーンセーバーの愛娘の写真を私に見せ、「写真を送ってあげましょうか?」と。

昨日、クリスマスツリーの前でいる写真を撮らせてもらったし、もういいよ、と心の中で言ってみる。

「これは、この子が1歳の時の写真なのよ」

えっ?今は確か1歳3ヶ月では?変わりないじゃん。

「へ~。一歳」と答えると、ぽっちゃりさんはそれ以上は薦めてこなかった。

金曜日にニュージーの全大学が集まってプレゼンや議論をするワークショップとやらがあるらしい。

その準備に封筒に資料を入れてほしいと朝から頼まれていたので、英語ができない私にはもってこいの仕事だわい、と思っていると、他のオフィスのぽっちゃりギャルとマオリのおばちゃんと中国系女子の4人でするという。

しめて、40人分。

日本なら、ひとりでやれと言われても仕方のない量。いや、充分やれるし。

ラジオからの音楽が流れるオフィスで、のりのりで作業が始まった。特に、ぽっちゃりギャルは音楽大好きらしく、かなりののりで、歌い踊りながら作業をする。

彼女たちは決して手際がよくないが、なんだか楽しい。

そういえば、そんな大きな大会を開催する場所に選ばれていたら、準備とかいろいろ大変なんじゃないかと、昼休みに中国系女子に、「忙しいんでないの?」と聞いてみると、「なんで?全然。いつもと同じよ」と答えていた。

封筒の入れ方も全然こだわりがない。みんなが好きなように入れている。必要な物がすべて入っていれば問題ないのである。

しかも、ポスターも明日作るらしい。明後日開催の大会のポスターを明日作る。。。

「なんで、今日作らんの?」と中国系女子に聞いてみると、「今日はジムに行くから。明日で間に合うし」と。

日本の私の職場でこんな大会があれば、きっと一ヶ月は前からいろいろ準備し、ポスターの書体も、やれ明朝体にしろ、ゴシック体のほうがいいだろうと大騒ぎだろう。

封筒に入れる資料の順番も、これが一番前に来た方がいいだろう、いや、こっちだろうとどうでもいいことでもめるに違いない。

日頃私がどうでもいいじゃん、って思ってたことは、ニュージーの人たちもどうでもいいと思ってるみたいで、なんだか嬉しかったし、同時に日本ってそんなことに時間かけるから毎日残業になるんでなったり、人間関係悪くなったりするんでないか?と思った。

作業が終わると、ぽっちゃりギャルとマオリ女性は、「サンキュー」とにこやかに去っていった。手伝った甲斐があるってものだ。

気がつけば4時。ぽっちゃりさんは今日は早退。

残っているのは、おじいと中国系女子である。私はどうしても今日中におじいのインタビューを終わらせたかった。

おじいの部屋をのぞき、「今、忙しいの?」と聞いてみると、「ああ、インタビュー?あと10分待って」とのことなので、机の上を整理していた。

中国系女子に、「もう帰っていいよ」と言われたので、「わたしはおじいにインタビューをします。テンミニッツアゴー」と言うと、彼女は吹き出し、「10分前に?」と。また英語間違えた。「テンミニッツレイター」と言い直すと、笑ってうなずいていた。

すると、おじいが、「プロフェッサー、インタビューOKです」と呼びに来た。

会議用の机に案内され、早速インタビューを。

彼は、留学生のアドバイザーである。

インタビューをすすめていくと、彼が昔は大学の先生であったこと、35年前に今の仕事に変わったこと、留学生の相談はオフィスを閉めたら終わりではなく、携帯電話にも時間外休みなく電話がかかってくることを教えてくれた。

年中無休、コンビニなみである。

何語で相談を受けるのか?の問いに、「私は英語しか話せないから英語だよ。でも、留学生は英語が苦手でもはなすことが出来るし、少ない単語でも、彼らが何について最も悩んでいるのか私にはわかるよ。英語だけで充分」と言ってみせた。さすが、35年の経歴の持ち主である。

最後に、「私は、自分の仕事が大好きだし、同僚も大好きだ。私は本当に幸せだ」と言ってのけた。

「今は私は幸せだけど、日本では幸せじゃないよ」と私が言うと、「だったら、ここで働けばいいよ」と。

「私の英語力では無理だよ。もっともっともっともっと勉強して上手にならないと」と答えると、「君の英語は充分上手だよ」と言ってくれた。

私の英語力は誰よりも自分が一番良く知っているが、そんな風に言ってくれたことが嬉しかった。

さすがは経歴35年のアドバイザーである。

余談であるが、昨日の競馬は、メルボルンカップというオーストラリアで行われたニュージーでも超人気のレースだったらしい。

そして、私が賭けた馬はもちろん負けた。

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馬と天使

今日から、バス通勤。

しかも、今日も大雨。

こっちのバスは次の停留所の放送はあるが、音声が小さいし早口で聞き取れない。

大体ここぐらいかなと思われる辺りで、隣に座っているインド系美人にバス停の名前を聞いてみると、やはり私の英語は通じない。

でも、こんな大雨の中、歩くのはごめんなので、再度チャレンジ。

なんとか通じ、私の大体ここぐらいと思った辺りとは全然違っていたことが判明。

そして、無事に降りることができた。美人にお礼を言うと、笑顔で手を振ってくれた。

「9時までに来なさい」と言われていたが、8時40分に到着。

しかし、建物内で迷った。昨日自己紹介した人たちを見つけたので、挨拶をし、「私のオフィスはどこか?」と尋ねると、苦笑しながらも教えてもらった。

部屋に入ると、ぽっちゃりさんに「昨日は眠れたか?」と聞かれたので、「脳みそが興奮していて眠れんかったわ」と答えると、「それは大変だったわね。今日はゆっくりしていなさい」とのこと。

しかし、朝一で届いた郵便物の内容説明をしてくれる。ゆっくりできない。。。

昨日、同じ部屋のおじいが、競馬新聞を見せて「これは24頭いるから、みんなで賭けようじゃないか?ウッシッシ」みたいなことを言っていたが、その記事をぽっちゃりさんがコピーし、はさみで切っていっている。

何事?

すると、ボウルの中にはさみで切って折り畳んだ紙をどんどん入れていく。くじ引き?

すると、昨日挨拶した誰か偉い人の秘書のばあちゃんがやってきた。ぽっちゃりさんのボウルに何か不満があったらしく、自分がさげていた金色の紙袋にくじ引きを入れた。

すると、ぽっちゃりさんは、「みんな、ホースレースのくじを作ったから引きに来て!」と電話しまくっている。

すると、わっさわっさと人が集まり、騒がしくなった。そのうちのひとりが、「あなたもやる?」と聞いてくれたので、やってみることにした。

「2ドル払ってね。当たると30ドルになって返ってくるよ」とのこと。

ひいてみると、みんなが言うに、「まあまあ」の馬になったらしい。大穴狙いである。

その後、オフィスの女性に色々な説明をしてもらっているうちに、お昼になった。

すると、急にぽっちゃりさんが飛び出していった。そこには、ちっさいおっさんと天使みたいな赤ちゃんが。

その赤ちゃんはぽっちゃりさんの机の周りにイヤと言うほど飾られていた写真の女の子だった。「かわいいお孫さんですね」と言わなくてよかったよ。

もちろん、ちっさいおっさんは夫で、天使が娘のようだ。紹介してくれたのだから間違いない。

そして、オフィスのクリスマスツリーの前に、無理矢理娘を座らせ、夫婦で写真を撮りまくっている。クリスマスカード用の写真らしい。

ここはあんたの家か!

しかし、誰もつっこまない。微笑ましくその光景を見守っている。

撮影が終わると、親子で昼ご飯を食べに消えていった。

ぽっちゃりさんは、その日は親子でご飯を食べるため、私と一緒に昼ご飯を食べるように日本語が話せるアジア系の30歳代の男性に命じていたのだ。

すると、その男性が現れた。とても憶えにくい名前なので未だに思い出せない。だから、名前も呼べない。

東南アジアに旅行にいったらいっぱいいるうさんくさいガイドみたいな話し方である。

「私はごはんが超好きです」と言って、ごはんの上に肉と野菜がのっているケバブを食べていた。

「超~」などと使われると、「今、日本で一番はやってる言葉は、「どんだけ~」と「そんなの関係ねえ!おっぱっぴ~」です」と教えたくなるのが人情ではないか?

しかし、とても真面目に話をしてくれている、ほぼ初対面の人には伝えづらい流行語である。

今度、機会があれば置きみやげに教えよう。

午後からは、私の中の英語のキャパが超えたらしく、頭に入らない。

キュートで親切な中国系女子がキャンパスを案内してくれたが、ヒアリングはできても、スピーキングができない。

頭がつかれているから、日本語の返事も思いつかないから、英語の返事もできないのだ。

しかし、彼女はそんな私に微笑みながらわかりやすい単語で説明を続けてくれた。

そして、案内が終わり、オフィスに戻る頃になり、ようやく私の頭が働き始めた。

ずっと聞きたかったことを聞いてみた。

「あなたの母国語は中国語?で、第二外国語が英語?」

「そう、中国語。次がマレーシア語。で、最後が英語」

えっ?そんなにぺらぺらで?

「私はマレーシア人だから、5歳からマレーシア語と英語を習ったの」

納得。ということは、日本の子供が日本語もままならぬうちから英会話を習うのも無意味ではなさそうだ。

「私には日本人の友達でマサコという人がいるの。マサコはマレーシアのホテルで働いているの。英語もとても上手よ。私は彼女が私の祖国で働いていることがとても嬉しい」

私に対してとても親切なのは、彼女の性格がいいからももちろんだが、マサコさんのおかげらしい。

マサコさん、ありがとう!

もし、私が誰かにとって初めての日本人で、印象最悪だとしたら他の日本人に迷惑をかける可能性は大であるということである。

世間は狭い。地球も狭い。

明日は同じ部屋の人たちにインタビューである。

あたって砕けよう。

大丈夫。すべてはうまくいっている!!!

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必要なもの、それは英語力だった。

研修初日。

9時に研修先の人が車で迎えにきてくれるというと、

「あいにくの嵐なのでラッキーね」と奥様は言う。ポジティブ。

朝食の時、朝早い旦那さんはもう出勤しており、日本語で奥様と話す。

メンタルヘルスに興味があると言うと、「最近はN.Z.でも鬱病が多いのよ」とのこと。

驚きである。そんなことには全然無関係な暖かくて、優しい人々しか出会ったことがないからである。

奥様も元看護師であるためか、カウンセリングに興味があり、独学で勉強しているらしい。

9時のお迎えに備え、10分前に外に出ると、「キウイは時間にルーズだから、中で待ってたら?」と奥様は言うが、わざわざ迎えにきてくれるのにそれはあんまりだろうと、風雨のなか待っていると、9時ちょうどにタクシーが私の前に。

えっ?タクシーですか?

タクシーから、インターネットで見慣れた中国系の女の子が走ってきて挨拶をしてくれた。

私は、昨日バスでオフィスに行き場所が確認できたことを告げ、彼女に謝った。

すると、「ノープロブレム」と優しい笑顔が。

オフィスに着くと、彼女がタクシー料金を値切りだした。しかも、オフィスのタクシーチケットを使うというのに。しかし、バスドライバーのおじいは、一歩も譲らず、渋々チケットに料金を記入していた。

オフィスに着くと、彼女の上司の大柄ぽっちゃり系の女性が出迎えてくれた。

早速お土産を渡すと、ぽっちゃり上司は大喜び。youって単数形でも複数形でも使えて便利ですが、みんなにって言いたかったのに、その土産はぽっちゃりさんのものということに伝わったようだ。

しかし、あんなに喜んでいる人に「これはあんたのじゃないよ!」などとはいえない。

すると、さすがは管理職。

「みんなが見れるようにここに置くわ」と給湯室へ。しかも、「これはP(私)からのお土産です」というメモ付きで。

その後、ぽっちゃりさんに付き添われ、オフィス全員に挨拶を。クローバーと梅と富士山の名刺を作成していったが、老若男女、ピンクの梅が大人気であった。日本では、飲み屋の名刺だと不評だったのに。

会う人会う人笑顔で優しいので嬉しくなってしまった。

そして、ぽっちゃりさんは私の1ヶ月間の研修計画までたててくれていた。

これは大変、と私が作った質問事項を見せると、「この空欄のときにあなたの質問をしに行きなさい」とのこと。

その後、いただいた資料を読んだりしているうちにランチタイムに。

朝迎えにきてくれた中国系の女子と白人のお姉さまが2人一緒に食堂に行くことになった。

そこで発見。中国系女子の発音はとてもわかりやすいのである。そして、私のめちゃくちゃな英語を途中まで聞くと全部理解してくれるから、午前中は問題なしだった。

しかししかし、白人のお姉さま方の英語は早口で全然わからんのである。質問にもとんちんかんちんな答えをし、中国系女子に訳してもらいやっと回答するもその回答も間違いでまた中国系女子に訳してもらう。お互い英語しゃべってるのに通訳がいるとは。

二人とも私の相手に疲れたのか、「お先に」と食べ終わるとすぐに去っていった。

ひゅるるる。心に吹くすきま風。これが私の実力なのだから仕方ない。

それにしても、中国系女子のなんと優しいことか。バスチケットを買うのもつきあってくれた。

もう一人、同じ部屋に優しいおじいがいるのだが、私が昨日着いたと聞くと、「疲れているだろうから、2時に帰りなよ。乗せてかえってあげるよ」みたいなことを言ってくれ、ぽっちゃりさんも中国系女子も「それは良い考え」と同意してくれていた。

そして、そろそろ2時過ぎ。

おじいは、車の鍵を私に見せる。帰る時間ですね。

すると、中国系女子も一緒に帰ろうとしているではないか?

あれ?私の滞在先に送ってもらえるんだよね???

すると、どうやら私の滞在先の料金が高いから、職場の学生専用寮に移った方がいいよってタクシーの中で言ってくれたので、「考えてみる」と言ったことで、私を送るついでに寮を見ようよ!ってことになったらしい。

今、理解したよ。そのぐらいひどい英語力だよ。

寮は、いかにも学生寮だった。

寮長?のおじいも優しく、「ゆーあーなんばーわん」と言って空いている1号室を見せてくれた。うーん。学生の時ならいいかもね。

しかし、滞在先の南フランス風のこじゃれた部屋で過ごした私には独房にしか見えなかった。

朝食、夕食付きで25ドルだと。安っ。しかし、トイレとシャワーは共同で同級生がいるわけでもない若くもない私にはキツイ。

やっぱりキレイじゃないしねえ。

しかし、中国系女子もオフィスのおじいも力説する。「インターナショナルスチューデントのことを学ぶにはこんな最適な場所はないよ!」

そうかもしれんがねえ。

「決めるのはあなた次第よ」と中国系女子。

移るつもりはないんだねえ。キレイだし、快適だし、日本語話せるし。

まあ、1日ぐらいならいいかも。いい経験かも。それが許されるかは聞いてみないとわからんが。

そして、滞在先に無事送り届けてもらい、明日またね!と手を振った。

「簡単な日常会話ならできます!」と豪語してやってきた私に、必要なものは簡単な日常会話程度の英語力だったと誰が思うでしょうか???

現地人同士の会話などほんとに全く理解できんからね。もう単語すら聞き取れないからね。

でも、ワタシは最高にツイテいる!から、大丈夫である。

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N.Z.到着

無事N.Z.に到着しました。

経由先のクライストチャーチ空港で、ぱっちもんのキティちゃんのUFOキャッチャー1回1ドルを見つけ、写真を撮ったのですが、カメラのケーブルを間違って持ってきたためUPできません。(>_<)

しかも、その隣の自動販売機のミネラルウォーターは600mlが3ドルです。

キティちゃんの価値って。。。

そして、無事オークランドに到着し、滞在先の美人奥様に迎えにきていただきました。

奥様も旦那様も優しくてよい方です。

滞在先も心地よい作りで、中庭に芝生が広がり、トゥイというニュージーランドの小鳥が口笛みたいな声で鳴いているのが聞こえます。

小鳥のさえずりを聞きながら、イングリッシュティーなどいただいていると、ターシャ・テューダーになった気分です。

その後、研修先をバスで下見。

そして、バスに乗り、颯爽とコインをドライバーに渡すと、なにやら言って返されました。

何?足りないの?

どうやら、「あなたのコインは古いから、使えない。銀行で交換してもらいな」ってことらしいです。(T_T)

滞在先の旦那さんに尋ねると、爆笑で、

「このコインはコレクターしかほしがらないだろうよ!」とのこと。

しかも、家にあったコイン全部持ってきたから結構な重さ。

ちなみに新コインはかなり小さめです。

まあまあ、ケーブルを間違えようと、コインが古かろうと、たいしたことはないのです。

「ワタシは最高にツイテいる」←小林聡美さんエッセイタイトルより。

「平気平気。大丈夫」←飛行機で観た映画「あかね空」の中谷美紀の名台詞より。

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