今朝はバスが止まらず、数台が私を通り越していった。
同じバスに乗るつもりだった中年女性が隣で憤って、「ヘイ!バス!」と追いかけたが、無情にも止まらず。
今日は違うオフィスに行くことになっており、チームリーダーが9時に迎えに来てくれることになっていた。
憤った中年女性が乗り込んだバスに乗り、「これは大学に行くバスか?」と運転手に聞くと「1ドル60」という冷たい答え。
行くならいいけど。
しかし、いつもと違うバスだけに、違う道を走り出す。バス停留所のポスターを見てみると、別のキャンパスが終着に。
もしや、この学生と思われる若者達はこのキャンパスにいくのか?
私はあわてて、対面に座っていたおじいさんに「これってシティキャンパスに行くの?」と聞いてみると、「次の停留所で降りたらいいよ」と教えてくれた。
「サンキュー」とお礼を言っておりたが、見たこともない景色。
しかし、看板にはちゃんと大学名が。
確か全長4㎞はあるキャンパス。ここが最果てだとすると、私は4㎞歩くのか?しかも9時まであと10分。
誰かに聞こうと周りを見るが、学生らしき人もおらず、とりあえず勘で歩いてみると見たことのある時計塔が。
ここは確か、火曜日に中国系女子に案内してもらった建物ではないか!
目印を見つけた私はそこから全速力。
9時ちょうどにオフィスに着いた。
息切れしている私に、チームリーダーのショートカットの眼鏡美人が出迎えてくれた。
「遅くなったから走ってきたの?」と笑顔で中国系女子に質問されたが、ここは主張せねば!と「バスが止まらなかったんよ。だから、別のバスに乗ったらいつもと違うところで降りて、もう大変だった」息切れしながらも、私は今日もやる気満々だったことを伝えてみたが、二人とも、「そうだったの」と気のない返事。
滞在先の奥様に聞いたところ、ニュージーではしょっちゅうあることだから、誰も気にしないし、らしい。
その後、リーダーは彼女のオフィスへと連れて行ってくれた。
「ここは、学生のためのお店がたくさん入っていて便利だし、私のオフィスからは人がたくさん見えるのよ。だから、私はここのオフィスを気に入っているの。それに、私のチームは最高よ!」
日本でここまで自分の職場を絶賛できるひとがいるだろうか?
少なくとも私の職場にはいない。けなす人はいたとしても。
彼女のオフィスには、いつもにこやかに挨拶してくれるフレンチ眼鏡美人とコナン君みたいな白人男性がいた。
「私たちはあなたと働けることがとても幸せよ!これから私たちの仕事を説明するわね。毎週木曜日は、あなたはここで働くのよ」リーダーの説明はわかりやすかった。
今日はフレンチ美人に仕事を教えてもらった後、独り立ちするらしい。
フレンチ美人は、私がみたところ、オフィス内おしゃれナンバーワンである。眼鏡のフレームも個性的でとても似合っている。
眼鏡を誉めたかったが、リーダーもコナン君も眼鏡なので、またの機会にした。
フレンチ美人の説明もわかりやすい。
しかも、私が「それは知ってるよ」とか「わかったよ」というと、「パーフェクト!」と言って微笑んでくれる。そのたびに、あんたの笑顔がパーフェクトだよ、と心の中でつぶやいていた。これもまた機会があるときに使ってみよう。
どうやら、私は日本の大学のホームページで英訳されていない必要箇所を翻訳することになるらしい。
翻訳っていうのは、日本語も英語もできるひとがする仕事でないか?と不安に思っていると、「あなたしか日本語がわからないの」とフレンチ美人に言われたら、やるしかない。
とりあえず、自分の大学のHPへ。
他の大学に比べて英訳少なすぎ。留学生が少ないから仕方ないけど。
これは、留学生を増やすためにも自分の大学から始めよう。
しかし、なんやかんやで3時間もかかった。もう1時じゃん。お腹空いたよ。もしや、私のこと忘れてない?
「私はご飯を食べてもいいですか?」と聞きに行くと、「もちろんよ!あなたが約束がないのなら一緒に食べましょう」とリーダーが。
良かった。
私はいつものカフェテリアに買い出しに行き、他の3人は家からカレーだのピザだのパスタだのを持ってきていた。
みんな皿に移し替え、レンジで温めている。
「あなたはどこの国に行ったことがあるの?」とリーダー。
私が答えていると、「カナダは?」というので、「行ったよ」と答えると、「エクセレント!」と最上級の誉め言葉。彼女はカナダ人だった。しかもナイアガラの滝に行ったというとさらに喜んだ。ナイアガラが大好きらしい。
ということは、コナン君以外はみんなニュージーじゃないから、英語が聞き取りやすいのか?
彼らは私にもわかる話題のみ話してくれた。さりげない親切が身にしみる。
2時からは、交換留学のセミナーをするので手伝ってほしいと言われていた。
セミナーは、フレンチ美人が交換留学を目的としたニュージーの学生のために行われるらしい。
それが全然堅苦しくないのである。
まず、彼女のファッションは、腹をだしている。
説明するときに、椅子に座り膝を組んでリラックスモード。
学生が集まってくると、(今日は6人)「みんな、このアンケートを後でだして。それとこれは私の名刺よ」と声をかける。
しばらくすると、立ち上がり、学生ひとりひとりに「あなたはどの国に行きたいの?」と聞いて回る。小学校低学年の先生みたいに優しい。
それから、パワーポイントを使った説明後、学生の質問となった。
日本だとこういう場合、質問なしですぐに終了となるが、やはりこちらの学生は積極的である。
質問だけで30分以上。
どうやら、英語圏の国が人気らしい。日本に行きたいなどという学生は一人もいなかった。やっぱりね。特にオーストラリアはお隣ということもあって大人気。次にアメリカのUCLAの中の大学である。箔がつくらしい。
フレンチ美人はどの子の質問にもにこやかに答え、「わからないことがあったら、私の名刺のアドレスにメールを送ってね」と微笑んだ。
わからないことがなくても、送ってしまいそうだ。
セミナー終了後に黒人ぽい男子学生が現れた。「もう終わったの?」
「毎週2時からやってるから、また来てよ」
「僕は木曜はバイトだから無理だよ」
「セミナーに来る日だけ休んだら?」
「今日は早退させてもらったから、もう休めないよ」
「OK。じゃあ簡単に説明するわね」
彼女は先ほどの説明を彼だけのために最初から始めた。
私ももう一度聞けばわかるかと、耳をすましていたが、眠気のピークが訪れ、やっぱりなんとなくしかわからなかった。
彼は工学部の学生で、カリフォルニアのバークレー大学に行きたいらしい。
「バークレーは人気があるから、難しいわ。○○大学(忘れた)のほうが工学部としては有名よ。大学の名前はバークレーが有名だけど、私はこっちのほうがいいと思うわ」
なるほど。
彼はしばらく質問をし、帰っていった。
彼女は疲れているはずなのに、私にむかって、「質問があったら言って」と微笑む。
2,3質問し、お礼を言うと、なんでもないことよと彼女は去っていった。
その後、リーダーが私の部屋に来て、「私は大阪で子供に英語を教えていたことがあるの。本当に素敵な体験だったわ。それに大阪の人はフレンドリーで大好き」と語って去っていった。
国際的なリーダー。日本でも働いていたとは!
しばらく翻訳を続けていたが、もう脳みそが無理と言っていたので、4時に「帰ってもいいの?」と聞きに行った。
「いいと思うわ」とのことなので、早めに帰ることにした。
「それから、明日はカジュアルフライデーだから、ジーンズで来なさいよ!」と微笑むフレンチ美人とコナン君。
「ほんまに?」
「そうよ。金曜はみんなカジュアルな服を着てくるのよ!」
いや、あんた腹でてるし。これ以上カジュアルにどうなるんだろう?ジャージか?
「私は毎日カジュアルだからなあ」と言うと二人は笑っていた。
「あなたは明日からここに来て働けば?」とフレンチ美人は言ってくれたが、ずっと翻訳は厳しい。
しかし、きっとこの仕事が私ができる唯一のことなのだろう。
ぽっちゃりさんのところでは、窓口なので何もできることがない。
やっぱり、この研修って無理があるんでないのか?初日から疑問だったことが明確になった。
その後、滞在先の奥様に紹介された日本人のための情報センターに行ってみた。
すると、フラットメイト募集だの、スタッフ募集だの長期滞在者向けの情報がわんさかある。
スタッフ募集の掲示板を見てみると、ほとんどが日本食レストランのホール係である。時給11ドル。ムリ。
美容師免許を持っていると時給も2倍以上だ。やはり、手に職である。
それから、旅行の窓口の日本人のお兄さんに「クライストチャーチ行きの便のチケットもとれるのか?」と聞いてみると、金曜土曜はかなり混むらしい。値段も高くなるらしい。
それから、オークランド発着の1日ツアーについても聞いてみた。
こちらは、予約は3日前でいいそうだ。
今週末は近所を散策したりゆっくりするつもりなので、また来ますと去った。
この近辺はさすがに日本人が多かった。
ワーキングホリデーとか語学留学の若者達であろうか?
日本人女子は、他のアジア女子に比べ、きっちりメークなのでわかる。そして、必ずカップルで行動している。
中国や韓国の女の子が同性同士で固まって歩いているのとは、違っているのである。
現地調達の恋人か?
などと思いながら、いつもより遅いバスに乗った。
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