ひひっ
今日は、ベイオブアイランズにイルカと一緒に泳ごうツアーに行く日。
仕事ではないせいか、朝5時に目が覚めると、庭で鳥の鳴き声がすごい。鳴き声というか、騒いでるような。
ご主人に集合場所まで送ってもらうことになっていたので、7時前に朝食。ご主人が作ってくれていた。本当にまめな人である。
「今日は鳥の鳴き声で目が覚めたよ」と言っていた。
こんな都会で、鳥の鳴き声で目が覚めるなんて。
それから、朝食を食べて準備をしていると、「用意した?」とご主人の声。
あわてて、出発。
集合場所にはもうバスが。
バスに乗ろうとすると、運転手のおじさんが、「オフィスで手続きしてからだよ」と。
レシートみたいのをもらい、バッジの代わりに胸に黄色のシールを貼れとのこと。それを貼ってバスに乗ると、見事にアジア人は私だけだった。欧米人複数とインド系2人。
運転手のおじさんは、出欠をとるときに、「あなたはどこから来たの?」とひとりひとりに聞いていく。
それから、おじさんは、「今日はツアーに参加してくれてありがとう。いろんな国から来てくれているよ。まず、スペインから○人、スイスからカップルが、インドからレディが2人、ジンバブエからレディが1人、オーストラリアから○人、そして、日本からヤングガールが1人、みんな楽しんでいってください」
おじさん、私はもうヤングガールではありません。なぜ私だけレディではないの?
若く見られるのは嬉しいが、素直に喜べる時とそうでない時がある。最近は、そうでない時が圧倒的に多い。
まず、小柄だからというのは仕方ない。アジア人は若く見えるのも仕方ない。問題はそれ以後のことである。これは推測であるが、「ノーメイクである。(最近、化粧することも面倒だ)服装や持ち物が安物である。(スリ、置き引きにねらわれないように自意識過剰の注意を払っている)アホっぽい。(英語が不自由なため、よく子供扱いをされる)・・・」などの理由で若く見られると思われる。
バスが走り出すと、運転手のおじさんの自己紹介がはじまった。「私はマオリ人だよ。これからハーバーブリッジを渡って北へ向かうよ!・・・」あとは時々聞き取れたが、大部分わからなかった。そしていつものように無意識のうちに眠っていた。
「さあ、モーニングティーの場所にもうすぐ着くよ。30分だけしか止まらないからね」という声で目が覚めた。
バスの発車時刻だけには敏感になる。置いてけぼりは恐ろしい。
ついたとたん、トイレへ。
で、みなさんはコーヒーや紅茶と一緒に甘ったるいマフィンやケーキなどを朝から食べているが、水は持参しているし、朝食はしっかり食べたので、絞り立てのオレンジジュースと昼ご飯用のバナナを頼んだ。
マオリの男の子が、「ジュースを作るからちょっと待ってて。こっちだよ!」と言う。入り口にあったパチンコ台みたいな機械がオレンジジュースを作る機械らしい。皮のまままるごと放り込んでいく少年。まるごとジュースか?とじっと見ていると、皮だけが半分にとれて、ジュースが絞れるしくみになっていた。
しかし、まるごと1個ずつ入れるので調整がきかない。私のコップのジュースが満タンになると彼は2杯目のコップを用意した。2杯くれるのか?
そんなに甘くはない。次にジュースを頼んだ人が私の残り?の続きを飲むのだ。
ジュースを飲んで店の土産物を見ていると、羊のスノードームが目にとまった。値段は5.4ドル。まあ、そんなもんだろう。ちっちゃいスノードームの中の子羊が愛らしい。しかし、これは、日本でいうドライブインにおかれている土産物っぽい。ちょっと安っぽいところとニュージーランドを強調しているところが。
買わずにバスに戻り、また睡眠。
気づくと目的地に着いていた。「なんとかの人はここで荷物を持っておりてください。・・・」またわからない。
とりあえず降りてみた。インド人の女の子が歩いている方向に行っていると、バスのおじさんに「あんたはダメ!」と引き留められ、旅行カウンターみたいなところに連れて行かれた。「イルカと泳ぐ船はあそこから出るからね。」
「帰りのバスの時間は何時ですか?」
「心配いらないよ。あんたが戻ってくるまで待ってるから。日本人が英語が苦手なことはわしはよくわかってるんだから!」と自慢げなおじさん。
出発までに時間があるので、カフェに入ってサンドイッチのみを購入。「飲み物もいらないの?」とびっくりするおばちゃん。「いりません」
水が鞄に入ってるし、朝買ったバナナもあるから。
こちらの人は何かといろいろ注文する。飲み物はもちろん、甘いデザートも絶対だ。
食べ終えると、水着に着替えるところがあるのか旅行カウンターのお姉さんに聞きに行った。「船の中にトイレがあるからそこで着替えて」
すると、二人の美女が運転する黄色い船が戻ってきた。どうやらこれっぽい。
乗り込むと全部で14名の客。全員欧米人。注意書きは日本語版があったので、日本語版にした。
それから、ジャクリーン・ケネディみたいな40代の女性と20代の金髪女性がそれぞれ説明してくれた。
船が出発すると、もうひとり助手っぽい若い女の子に「水着に着替えたい」というと「トイレに」と案内された。一つしかない。
みんなどうやって着替えるのだろうか?
水着の上に洋服を着て座っていると、イルカが。
船のそばで何頭ものイルカが泳いでいる。水族館みたいだと思った。
早く泳ぎたい。
しかし、周りにも同じようなツアーの船が何隻もあるため、ここでは泳がないようだ。
しばらくすると天気が悪くなった。雨が降り始め、寒くなった。持ってきていた洋服を全部着る。他の人たちは泳ぐのに備えてか、薄着(短パンに裸足でビーサン)であるため、隣の女性はふるえている。スカーフを取り出し、首にまいていた。
寒くなってきたので、操縦しているジャッキーを見習い(彼女は昼ご飯を食べながら、足で操縦していた)持っていたチョコを食べることに。もうひとりの金髪女性もリンゴを食べたりバナナを食べたりしながら、双眼鏡でイルカを探している。
また気づいたら眠っていた。
「残念ですが、今日はイルカとは泳げません。いつもこの辺りにいるのに、今日はいないんです」
ジャッキーと金髪女性がそう言うと、またもとの海路を帰りだした。
日本だと、「申し訳ございません」とか言って頭を下げ、すまなそうなそぶりを見せるだろうが、二人とも今日はいないんだからしょうがないでしょってな感じである。
おいおい、寒いし泳げないし何だよ!と心の中で思ったが、他の人たちは特に不満を言うでもなく笑顔である。
そのうちまた睡魔が。
一日中眠っている。遠くまで昼寝に来たとしか思えない。
到着すると金髪女性が笑顔で「サンキュー」と言った。その笑顔を見たら、イルカもあんなに近くで見れたし、良かった良かったという気分になった。
バスの運転手のおじさんが待っていた。
あんなにいろいろ食べたのに、まだお腹がすいている。
特に船のなかで前のおばさんが食べていたスナックが食べたい。
しかし、ここは日本でないからコンビニなどそうそうないのだ。周辺を見て回ったが、アイスクリーム屋さんしかなかった。
バスに乗ると、おじさんは朝と変わらずハイテンションであるが、客はノーリアクションである。
そして雨も激しくなってきた。
すると、急にバスが何かに乗り上げたように上下に動き、停車した。
「パンクしたみたいだ。ひひっ」とおじさん。
おじさんはいつも何か言ったあとにおかしいことでもないのに「ひひっ」と笑う癖があるようだが、このときほどその癖は直した方がと思ったことはない。非常事態に当事者に陽気にされたり、笑われたりすると腹が立ったりするものである。
ざわつく乗客達。
「他のバスがもうすぐここに到着するからそれまで音楽でも聴いて待ってて。ひひっ」おじさんの笑い声がまた悲しく響く。
しかも、音楽もクリスマスソングらしいが、弾んだリズムでこの場には全然あってない。陽気な音楽だけにさらにもの悲しくなる。
「バスが来たから、みんな乗り換えて。ひひっ」
どうやら、オークランドとベイオブアイランズとの長距離高速バスに乗せてもらえるらしい。
おじさんは一人で残り、修理の車を待つらしい。
雨も激しくなり、おじさんがかわいそうになってきた。他の乗客も同じように感じたのか、おじさんの背中をさすったり、声をかけたりしている。
私も「サンキュー」と声をかけると、「ひひっ」と笑ってくれた。
おじさんを残してバスは出発した。今度の運転手さんはごく普通である。
そしてまた眠っていた。
「休憩場所に着きます。15分間で戻ってきてください」
朝、バナナを買ったお店に着いた。
どうやらあのスノードームは私に買われる運命らしい。
朝と同じ状態で1つも売れることなく残っていた。こうして子羊は私のものとなった。
そして、見慣れたスカイタワーが見えてきた。オークランドだ。
なにやらいろいろあったが無事に帰れて何よりである。
| 固定リンク
« お別れの日 | トップページ | クリスマスの準備 »


コメント