イスラムの少女
今日は9時半に着いた。
病院を見学するためである。病院に入ると、どう見ても退職後の青いブレザーのおじいとおばあが受付に座っている。
エスカレーターで二階に上がると患者待合室。広々として窓が大きく気持ちがいい。
そしてそのまま歩いていくと、昨日のティーパーティー会場のカフェに着いた。その周りには日用品や化粧品を売る店、おもちゃや花を売る店、雑誌やお菓子ジュースを売っている店などが並んでいる。どの店も明るい色を使い、ショッピングセンターのようである。
病院の売店こそ、こうでなくては!どうして日本の売店は暗い雰囲気を漂わせているんだろうか。
雑誌を売っている店に入ってみると、雑誌の正面に子供用のおもちゃを売っていた。その中で目を引いたもの。それは、骸骨のボールペン。しかも、紙にかいても何もうつらないが、骸骨の口を開けるとその光で書いた物が読めるしくみである。
病院で売っているにはあまりにグロテスクな一品である。かなりほしかったが11ドルもするのでやめた。
それから、ヒラリーに会いに医学部へ。
昨日の中年受付嬢が笑顔でセキュリティを開けてくれた。
今日のヒラリーは昨日とうってかわってカジュアルなパンツスタイル。
「あら、元気?今日もとても忙しいの。でも、10時にはお茶に行きましょうね。それから、質問を聞くわ」
やっぱり何があってもお茶は欠かせないらしい。
そして10時のティータイム。昨日のメンバー達に電話で「コーヒーに行きましょう!」と声をかけている。
カフェに集合。昨日のクリスマスプディングばあさんと10代女子は欠席らしい。やっぱり今日もクリームたっぷりのラテとマフィンにバターをたっぷりのせる。
今日の話題はなんだかよくわからんが、仕事の愚痴らしい。みんながみんな偉い勢いでしゃべり出す。「忙しすぎる」と言っているが、うちの職場の人が毎日、日付が変わるまで仕事したり、休日出勤したり(しかもサービス残業)していることを言ったらびっくりするだろう。っていうか、怒り出す?
マオリおばさんに「あんたなんでここにいるのさ?」と質問された。「昨日紹介したでしょ」とヒラリー。「わかってるさ。でも、なんのためにここに来てるかは聞いてないね」とにこりともせずに言う。
仕方ないので、「留学生関係の仕事の勉強に来ています」とおきまりの返事をするが、おばさんは納得しない。「でも、病院で働いてるんだろ?関係ないじゃないか」おっしゃるとおり。「人事異動があるので、いずれその関係のしごとにつきたいので、勉強に来ています」すると、おばさんは納得したようにうなずいた。
「私はその考えを早く変えたほうがいいと思うわよ」とヒラリー。「留学生の仕事って本当に忙しくてストレスがたまるんだから!」
そうかあ???こんな優雅な事務職員見たことないよ。
メインキャンパスのインターナショナルオフィスの職員はみんな自分の仕事に誇りを持って楽しそうにしていたが、学部は何か暗い雰囲気が漂っている。
うちの大学と同じにおいが。
そしてオフィスに帰り、ヒラリーに質問。私のヒアリングがいまひとつと見抜いた彼女は早々にメモをしながら説明してくれた。
「お昼ご飯は、英語学校の学生達とチキンを食べるんだけど、一緒に来る?」よくわからんが、一緒に行くことにした。
大学に留学するには、英語力がいまいちな学生達が入学前に英語の勉強を語学学校で行っているらしい。
そしてある程度のレベルにまで達した学生のみが入学できるそうだ。
中東の学生達が30人ほどあつまるのだそうだ。
語学学校に入ると、優しさそうな長身のおじさんがお皿やジュースの場所をヒラリーに教えている。校長先生らしい。
ニュージーの男性は優しくて働き者が多いように感じる。
今日も机をふいたり、雑用をしたのは、全員男性だった。
チキンが届き、スパイシーライス、フライドポテトと準備が整った。
ぞろぞろと集まってくる学生達。欧米やアジアの学生と違っているのは男女がきっちりと離れていること。女子は全員頭にスカーフをまいている。中には、眼以外すべてを隠している女子もいる。
ヒラリーは学生達に声をかけ、アドバイザーの役割を果たしていた。学生の仕事なんてストレスがたまるだけよ!と言っていたが、嫌いで出来る仕事ではない。
食事の時間となった。彼らはすぐに食事をとりにいこうとはしない。
ヒラリーが、「ここはニュージーなんだから、ここではレディファーストよ!」と言って、控えめな女子達に先に食事をとるように促す。
続いて男子達も食事を取りに来る。
女子達は食べている姿を見せないように壁に向かって食事をしている。眼だけしか見せてない子はベール?をとらずに布の中に食べ物を持っていき食事をしている。
そして、男女は決して話をしない。
しかしこれがイスラムの教えであるのなら、仕方ないだろう。
昨日の留学生のパーティーとは偉い違いである。
私は彼女たちに興味津々であったが、黙って壁に向かって食べているのでなかなか声をかけづらい。
そのうち、食べ終わった男子達が去っていった。女子だけになると、ヒラリーがひとりひとりに声をかけている。「英語の勉強はどう?」とか「この中で医学部に入る人は何人だっけ?」など。驚いたことにほとんどの学生の名前を覚えていた。憶えにくい中東の名前を。ヒラリーやるじゃん。
一番端っこで、何度もベールをなおしている女の子に話しかけてみた。
「どうしてみんなベールで頭を隠してるの?」
「私たちはイスラム教徒だからよ。結婚するまではこうしているの」
「あなたはどこから来たの?」
「オマーンよ。あなたは?」
「日本」
「ああ、日本ね。日本の学生は多いわよね。オマーンの学生はとても少ないのよ」
「あなたは医者になるの?」
「ええ。私はここで7年間勉強して母国で医者になるのが夢なの」
彼女は中学生ぐらいにしか見えなかった。背格好だけでなく、しゃべり方や眼の輝きなど全然すれてないのだ。とっても純粋なのがよくわかった。
午後からの授業が始まるようである。
「あなた達の写真をとってもいい?」と聞くと、彼女の友達がいやがっていた。「どうして?いいじゃない」みたいなことを彼女が言っているのがわかったが、イスラムの女性達が写真を撮られるのをいやがるのもなんとなくわかった。自分の顔さえ誰にも見られないように隠しているのだから。
「いやならいいよ」と言っていると、ヒラリー出現。「みんな、写真を撮るわよ!並んで!!!」ヒラリーに逆らえるほど彼女たちは強くない。どうしてもイヤだという一人を除いて一列にならんでとることとなった。
すると、私と話した彼女が私の腕に自分の腕を絡ませてきた。学生のほとんどは、自分と対等と感じさせる風格を備えている。しかし、彼女はとても弱く守らなければならない存在だと感じた。
友達のなかでも一番引っ込み思案でおとなしい感じである。
お礼を言い、さよならしたが、7年後、立派な医者になっていてほしいと心から思った。ヒラリーに任せておけば大丈夫だろう。
それから、ヒラリーはショッピングをして帰るそうである。
私も今日はメインキャンパスにはもどらず、家に帰ることにした。
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コメント
Pさん、毎日、ものすごく詳しくN.Z.生活をつづられてますね。一月経つ頃には、一冊のエッセイが出来ているかもしれませんね。
日本の仕事の仕方とかなり違っていておもしろいですね。(^-^)
すぐPARTYあるし。
私は、いまの仕事は一通り覚え、とくに忙しくないんだけど、なんか他の事がやりたいなと考えてしまいます。
日焼けはしてませんか?日差し、強そうですもんね。そちらの方々は日本女性のようにANITI-AGINGに憑りつかれてはないのでしょうか(笑)
では、また
投稿: smile | 2007年11月15日 (木) 23時39分