出発の前の日

雨の音で目が覚める。

ものすごい大雨である。

研修初日と同じ。

スカイタワーには行けそうもない。

初めて、朝のニュースを自室のテレビで見る。

研修していたときは、一日中英語だったから聞きたくなかったが、もう今日で最後となるとどうして今まで観なかったのかと後悔。

こちらの女性キャスターはニュースを読むのに、派手な大きな花柄のドレスなど着ている。前にリビングで観たときは真っ赤なドレスを着ていた。

10時前にバス停へ。いつもの坂道もいとおしい。

バスに乗り、オフィスへ。

中国系女子とぽっちゃりさんとおじいが出迎えてくれた。

「あなたがいなくなってから、みんなで寂しい寂しいって言ってたのよ」と言ってくれた。

それから、ぽっちゃりさんがこっそりみんなを呼びに行ってくれて、ざわざわと何人もの人が来てくれた。

ケーキおばあも、もちろんやってきてくれてハグしてくれた。

土曜日から昨日までの5日間の出来事を手短に話すと、みんな楽しそうに笑っている。

それから「また連絡してね」と笑顔で握手などしたりして、ばらばらと仕事に帰っていった。

「それで、ここでもう少しいたいの?」とぽっちゃりさんが聞いてくるので、「いたいというより、もう住みたいですなあ」と答えた。

「でも、私の英語は相当ひどいとツアーの運転手さんにもガイドさんにも言われたので難しいでしょうなあ」

「あなたの英語は決して悪くないわ!」

ぽっちゃりさんはそう言い放つと、おじいを呼んだ。

「この子の英語力をどう思う?」

「立派なもんだと思うよ。聞けるし読めるし。ただ、君はあまりしゃべらないから知らない人には理解できなくてしゃべれないと思われるんだよ」

「そうよそうよ。留学生の中にはもっとひどい子もたくさんいるわ!」

二人とも私のために熱く語ってくれた。いい人達である。

「君は、ここでいろんな人に出会い、コネができたから、ここで住むことは難しくはないよ!」と微笑むおじい。

「これが私の自宅の住所とメールアドレスよ。何かあったら必ず連絡しなさい」というぽっちゃりさん。そして、なぜか会ったことのないご主人とまだ赤子の天使の名前も書かれていた。

「あなたがいなくなってから、私は仕事がつまらなかったのよ」などと言ってくれる中国系女子。

ここは本当に居心地の良い場所だった。

名残惜しいが、忙しくなってきたので帰ることにした。

中国系女子と笑顔でハグ。ぽっちゃりさんとハグすると、またぽっちゃりさんが涙目に。泣きそうになったがぐっとこらえて、さよならした。

オフィスから出ると、やっぱり涙が出てきた。

ケーキおばあのおすすめのアートギャラリーに行ってみたが、絵を見ながら涙が出た。周りの人からは感動して泣いているように見えただろうか?

ニュージーランド、あっぱれである。素晴らしい人たちがいる素晴らしい国である。

今回も参りました。

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ロストワールド

6時半にご主人に送ってもらい、ワイトモへのツアーバス集合場所へ。

ツアー会社の窓口には、明らかに男の人が女装しましたという風貌の女性が。髪の毛を伸ばし、きれいに化粧して胸パットも入れ、ミニスカートをはいているが、見た目も声も男だった。

日本では、今でも特別な才能がないかぎり、なかなか夜の店以外では働くことはできないだろう。

朝からものすごく驚いたが、そのようなそぶりは見せず、彼女の説明を聞く。しかし、どうにも腕のむだ毛がうずまいていることとか他のことに気をとられ、話半分である。

そして、7時に小型バスで出発。

今日も雨である。

途中の休憩で同じバス会社の運転手のおじいさんが挨拶をしてくれた。今回は前回で学んだので、休憩場所で温かい紅茶とマフィンで腹ごしらえする。

私が選んだツアーには同じバスの人は誰も参加しないらしい。前回と同じパターンである。自分でカウンターでチェックインし、座って待っていると、ツアーガイドらしき女性が現れた。

今回はワイトモの原生林がある所に100メートル下までロープで下って、その後洞窟を探検しようという「ロストワールド」というツアーだった。

「世界不思議発見」で観てから、やりたかったことのひとつである。洞窟をタイヤにのって進むブラックウォーターラフティングもやりたかったが、時間がないので、ひとつしかできない。

参加者はオランダ人の新婚さんとイギリス人男性だった。

面倒なので、「英語の勉強に来た」ことにした。

オランダ人夫婦は母国語のように英語を話す。4人で盛り上がってうらやましい。

なんとか言っていることはわかるが、会話に入っていけない。私に向かっての質問は答えられるが、4人の会話は流れていくので話に加わると中断させてしまう。

着替えをする場所に到着し、つなぎと長靴とヘルメットを装着する。

長靴の一番小さいのでも大きい。

「これが一番小さいサイズ?」と女性ガイドに聞くと、「それが一番小さいよ。あなたは本当に小さいのね。でも、それでぬげないと思うわ」と。

他の人たちが大きいのだと思うんですけど。オランダ人夫婦は軽く170センチは超しているし、イギリス人男性は、180センチはあるだろう。

準備できると、カラビナの使い方を教わりながら歩いていく。そして、ついに100メートル下にロープで下りるときがきた。

オランダ人妻からである。彼女はとてもおびえていた。「大丈夫」とガイドと夫に励まされ、どうにか定位置に。

ついで、夫。こちらはなんなく定位置に。

そして、私。なぜかいつもこういうのは全然怖くない。「あなた、届く?」と心配されたがちゃんと届いた。

最後にイギリス人男性。彼もとてもおびえていた。「昨日、スカイタワーからバンジージャンプしたんだよ!」と自慢していたというのに。

進み方と泊まり方の説明を聞いて、いざ下へ。足も使って進んでいると、ガイドが「あんたは軽いから足は使わなくて良いよ」と言うので手だけで。

5人で一緒に進むから早く進みすぎないように、と最初に説明を受けていたが、怖がっている妻とイギリス人男性と妻を気遣う夫にあわせているつもりが、がんがん進んでいて、「速すぎるわ」とガイドに注意された。

そして5人同時に着地。

エキサイティング!と騒ぐ3人の参加者。しかし、私は「こんなもんなの?」という感想だった。ガイドはそれがわかったらしく、「物足らなかったの?」と聞くので、「いいえ、とても楽しかったです」と答えた。

しかし、下からの風景は絶景である。本当にロストワールドだ。恐竜がいてもおかしくない。映画みたいな風景。

それから、ヘルメットのライトをつけて、洞窟探検。

そこも妻、夫、私、イギリス人男性の順番である。

妻は足場の悪い洞窟内でかなり困っていた。そのたびにガイドと夫が手をひいたりしながら進んでいる。

私はガイドが言うように小柄だからか特に何の問題もない。みんなが横にならないと進めない岩場も前に向いたまま進めるので楽ちんなのだ。

途中、夫が妻の様子を見ていて、「ここは足場が特に悪い」と思われる場所に立ち止まって手を引いてくれようとしたが私が気づかずに自分でどしどし歩くので、途中から気遣われなくなった。

もしや、これが結婚している女としていない女の違いではないか?と。

妻は私から見ても、守ってあげなくては!と思わせるかわいさがある。たとえ、身長が20センチ以上大きくても。

しかし、せっかくちょっと危険で楽しそうなところなのに、手をさしのべられても「いいえ、結構!」とさしのべられた手を振り払いたくなるのである。(実際にはしてないけど)

人生においてもそういうところがままあるのではないか?と。

しかし、自分が楽しいと思っているほうを選んでいるのだからしょうがない。結婚したいと思っている女性は妻を見習ったほうがいいなあと納得していた。

すると、ガイドが「あなたはここに来る前はもっと英語が下手だったの?こっちに来てから上手くなったの?」と痛いところをついてきた。

「いいえ、私の英語は変わりなしです」

「英語の初心者なのね!」

いいえ、中学生の時からなのでほぼ20年勉強していますが、この程度なのです。

と心の中で回答した。

もし、口に出して答えたらものすごい驚かれるに違いないので。

最後に、真っ暗な洞窟の狭い岩場を進んでいった。ヘルメットのライトを消すと、ツチボタルが洞窟の天井で青い光を放っていた。

写真でみたのと同じ。本当に星空を眺めているようである。

このツアーではツチボタルを見ることはないだろうと思っていたので、一番感動した。ライトをつけてよく見ると、気持ち悪い虫なのに、ライトを消すとこんなにも美しい光を放っているとは。

後ろ髪を引かれながら、洞窟を後にした。

ガイドに何度も「あなたは本当に小さいのね」とか「彼女は特別に小さいから」とか言われたが、このツアーは大柄な人しか参加してないのだろうか?パンフレットには、10歳以上から参加可能と書いてあるが。私は日本人の中でも小柄な方だが、特別に小さいほうでもない。謎である。

「あなたはずっとこの仕事を続けるの?」と妻がガイドに聞いていた。

「わからないわ。私は川の流れと同じで同じ場所に長くいられないの」と笑っていた彼女は私の次に小柄であるが、2リットルのジュースと5人分のお菓子、その他いろいろが入った大きなバッグを背負って自分よりも大きな男性を支え続けていた。

「彼女は本当にタフだわ!」妻の言葉に全員賛同した。

14歳の時にガンズアンドローゼズのライブに初めて行ったという彼女。ということは私とほぼ同じ年である。

イルカと泳ぐツアーのガイドも全員女性であった。

ニュージーランドは女性がタフで元気な国である。

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変化

1泊2日で、10数年前にホームステイしていたホストマザーに会いにクライストチャーチへ。

彼女は明らかに年をとっていた。お互い様ですが。

まず、運転が元々下手だったが、さらに下手になっていた。車に乗るのが怖かった。

駐車券を入れる場所がわからず、お札を入れる所に無理矢理入れようとするから、「ここだ!」と教えた。

人の話を聞かない傾向があったが、さらに聞かなくなっていた。エンドレスに自分の話を話すが、どんどん話題が変わるので途中から何の話をしているのやらさっぱりわからなくなった。

昔はこの人に頼っていたなあと思った。光陰矢のごとしである。

新しいパートナーに会ったが、結婚しているわけではなく半同棲?らしい。

最初の結婚相手の印象が強いので、(しかもとてもいい人だった)どうにも会話も続かない。

そして、ホストマザーと私の二人だけになると、最初の結婚相手の人の話がでてしまい、途中から参加したニューパートナーは、無言になり、気まずい。

そして、何より町が変わっていた。当時のあのこじんまりとした雰囲気が好きだった私には寂しい変化だった。

ショッピングモールが当たらしく3つもできていて、今はそこがトレンドだとホストマザーは言うが、モールにある店は、オークランドでも見たことがある店でどうやらチェーン店らしくて私には特に買いたい物はなかった。

ただひとつ変わっていない物は私の語学力だけだった。

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クリスマスの準備

今日は、私がたまたま買ったクリスマスの教会のコーラスCDが滞在先の近くであったことが判明したため、ご主人にその教会へ連れて行ってもらった。

車に乗る前に、「倉庫の階段のところに貝殻を並べているのはなぜか?」といつも疑問に思っていたことをたずねると、「ここに置くと、毎朝出かけるときに海に行ったことを思い出すことができるだろ?」と嬉しそうだった。

驚いたことに歩いても10分ほどでいける距離である。

今日は日曜なので信者がたくさん来ていてセレモニーがあるとのことなので、それが終わった頃に行ってみた。

本当にみんな正装している。というか、盛装?

子供も大人もドレス着てるし。

「赤毛のアン」の教会用の服っていうのを思い出した。

外観は煉瓦造りの古くて立派な建物。ご主人の説明によると、教会のすぐ裏に教会が運営している小学校があるという。

小学校は木造で、暖かい感じだった。「とてもいい学校だよ」

それから、教会の中へ。

欧米の教会の造りは、まあどれも似た感じである。

そこに大きな透明の器に水が入っているのを発見した。

「あれは何?」

「あれは、赤ちゃんが洗礼を受けるときに使う水だよ」

小説とかで読んだことがあるが、実物を見たのは初めてだ。そばでじろじろ見まくっていると、神父さんが「こんにちは」とやってきた。

神父さんは大体おじいさんである。ちょっと若い神父さんは雰囲気ではないし、実際あまり見ないのはなぜか?

「この子は日本から私の所に滞在していて、この教会に興味があるとのことなのでつれてきました」

「教会はいつでも誰でも受け入れていますよ」

神父さんに挨拶し、握手をした。そして、神父さんの歯のほとんどが虫歯であることを発見した。

教会の外に出ると、隣の大きな白い建物が神父さんの家だとご主人から聞いた。金持ちなのに、歯医者に行ったらいいのに。。。

それから、奥様が働き始めたフレンチのお店に。今日は10周年記念ということで、なにやらのサービスがあるらしい。

立地場所は工場?という雰囲気の殺風景な所であったが、お店のなかはフランスの田舎っぽくてなかなかおしゃれである。

店の経営者らしきおじさんが、ご主人を見つけ無料のシャンパン?をふるまっている。奥様が働いているブティックに行って声をかけると、カフェの方に連れて行ってくれ、紅茶をごちそうになった。

カフェも街のカフェと違い落ち着いた雰囲気である。音楽もクラシックが流れ、老夫婦が食事をしている。

お兄さんも男前である。

お茶を飲んだ後、店のなかをぐるっと一周。フランスのワインやお菓子を輸入して販売しているらしい。

気になっていた雑貨コーナーでクリスマスの飾りようの鳥を買った。こちらの飾りはラメラメで派手派手である。最初見たときは、どうだろうか?と思ったが見慣れるとかわいく思える。もうすぐ日本に帰ることだし、記念に買うことにした。

それから、丸い缶に入ったCDを購入。何を買うにも選ぶのに時間がかかる私は、CDを選んでいる間に奥様に見つかり、「まだいたの?」と声をかけられた。

それから、一路スカイタワーへ。

どのガイドブックにもオークランドの見所のトップに書かれていて、大学からもいつもその姿を眺めていたが行く機会がなかったのである。是非とも行かねば。

しかし、天気予報は晴れだったのに、朝までは晴れていたのになぜか雨。

今日タワーに昇っても何も見えそうにない。

ダウンタウンで今一番はやっているとガイドブックに載っていた通りに行ってみる。

なるほど。一番大きな通りは、いまいちな土産物屋や大きなデパートぐらいしかないが、ここは小さいがおしゃれな店が多い。

そこでいろいろ見て回り、大学に行っていたときに中国系女子に連れて行ってもらったフードコートへ。

そのときは、前に大学で働いていたけど今はアニメーションスクールの事務をやっているという香港人の女の子と一緒に初めてのマレーシア料理を食べた。

そのときも帰りに雨が降り出して、香港人の女の子に傘を借りることになったが、時間がなくなったので、走って戻ったのだった。

彼女の「アイハブマイアンブレラ」というかわいい声を思い出した。彼女は身長が140センチぐらいでちょっとぽっちゃりした色白のショートカットの赤ちゃんみたいな容貌の女の子だった。

そのときは平日だったから混み合っていたが、今日は人もまばらである。

それから、ガイドブックに載っていたビクトリアマーケットというところに行ってみるが、なんですか、ここは?というぐらいにさびれた店しかなかった。

昨日、購入した羊のスノードームもここでは3ドルも高い。ぼったくりだ。

見る物もないので、バスに乗り、滞在先へ。

ご主人の屋根のペンキ塗りも朝のままである。

帰るとちょうど、クリスマスツリー用のもみの木を設置しているところだった。本物の170センチ以上あるもみの木はいいにおいがする。

奥様が、「今年の飾り付けはあなたにまかせるわ」というので、プレッシャーを感じながら飾り付け。

先週、ぽっちゃりさんと一緒に行ったチョコレートの店で、クリスマスツリーの飾りようのサンタのチョコも飾ってみる。

ご主人は、「素晴らしいよ。趣味が良いね」と誉めてくれるが、ちょっと怪しい。

なぜなら、余ったゴールドの丸い飾りをデッキにある白いパラソルにホッチキスでとめはじめたから。しかも3個だけ。

「すごくいいだろ?」と言うので、どうだろうか?と内心思ったが「グッド」と答えておいた。

奥様がウォーキングから戻ってきて、ツリーを誉めてくれたので、「ご主人も飾ってます」とパラソルを指すと、吹き出していた。「ちんどんやみたい」と。

階段の上の貝殻といい、ご主人の趣味は時々わからない。でも、とてもかわいらしい。

夕食後、ライトをつけてみると、飼っている黒猫がツリーの下に座り、とても雰囲気がでた。

パラソルのゴールドの玉も窓の外で照らされていた。

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ひひっ

今日は、ベイオブアイランズにイルカと一緒に泳ごうツアーに行く日。

仕事ではないせいか、朝5時に目が覚めると、庭で鳥の鳴き声がすごい。鳴き声というか、騒いでるような。

ご主人に集合場所まで送ってもらうことになっていたので、7時前に朝食。ご主人が作ってくれていた。本当にまめな人である。

「今日は鳥の鳴き声で目が覚めたよ」と言っていた。

こんな都会で、鳥の鳴き声で目が覚めるなんて。

それから、朝食を食べて準備をしていると、「用意した?」とご主人の声。

あわてて、出発。

集合場所にはもうバスが。

バスに乗ろうとすると、運転手のおじさんが、「オフィスで手続きしてからだよ」と。

レシートみたいのをもらい、バッジの代わりに胸に黄色のシールを貼れとのこと。それを貼ってバスに乗ると、見事にアジア人は私だけだった。欧米人複数とインド系2人。

運転手のおじさんは、出欠をとるときに、「あなたはどこから来たの?」とひとりひとりに聞いていく。

それから、おじさんは、「今日はツアーに参加してくれてありがとう。いろんな国から来てくれているよ。まず、スペインから○人、スイスからカップルが、インドからレディが2人、ジンバブエからレディが1人、オーストラリアから○人、そして、日本からヤングガールが1人、みんな楽しんでいってください」

おじさん、私はもうヤングガールではありません。なぜ私だけレディではないの?

若く見られるのは嬉しいが、素直に喜べる時とそうでない時がある。最近は、そうでない時が圧倒的に多い。

まず、小柄だからというのは仕方ない。アジア人は若く見えるのも仕方ない。問題はそれ以後のことである。これは推測であるが、「ノーメイクである。(最近、化粧することも面倒だ)服装や持ち物が安物である。(スリ、置き引きにねらわれないように自意識過剰の注意を払っている)アホっぽい。(英語が不自由なため、よく子供扱いをされる)・・・」などの理由で若く見られると思われる。

バスが走り出すと、運転手のおじさんの自己紹介がはじまった。「私はマオリ人だよ。これからハーバーブリッジを渡って北へ向かうよ!・・・」あとは時々聞き取れたが、大部分わからなかった。そしていつものように無意識のうちに眠っていた。

「さあ、モーニングティーの場所にもうすぐ着くよ。30分だけしか止まらないからね」という声で目が覚めた。

バスの発車時刻だけには敏感になる。置いてけぼりは恐ろしい。

ついたとたん、トイレへ。

で、みなさんはコーヒーや紅茶と一緒に甘ったるいマフィンやケーキなどを朝から食べているが、水は持参しているし、朝食はしっかり食べたので、絞り立てのオレンジジュースと昼ご飯用のバナナを頼んだ。

マオリの男の子が、「ジュースを作るからちょっと待ってて。こっちだよ!」と言う。入り口にあったパチンコ台みたいな機械がオレンジジュースを作る機械らしい。皮のまままるごと放り込んでいく少年。まるごとジュースか?とじっと見ていると、皮だけが半分にとれて、ジュースが絞れるしくみになっていた。

しかし、まるごと1個ずつ入れるので調整がきかない。私のコップのジュースが満タンになると彼は2杯目のコップを用意した。2杯くれるのか?

そんなに甘くはない。次にジュースを頼んだ人が私の残り?の続きを飲むのだ。

ジュースを飲んで店の土産物を見ていると、羊のスノードームが目にとまった。値段は5.4ドル。まあ、そんなもんだろう。ちっちゃいスノードームの中の子羊が愛らしい。しかし、これは、日本でいうドライブインにおかれている土産物っぽい。ちょっと安っぽいところとニュージーランドを強調しているところが。

買わずにバスに戻り、また睡眠。

気づくと目的地に着いていた。「なんとかの人はここで荷物を持っておりてください。・・・」またわからない。

とりあえず降りてみた。インド人の女の子が歩いている方向に行っていると、バスのおじさんに「あんたはダメ!」と引き留められ、旅行カウンターみたいなところに連れて行かれた。「イルカと泳ぐ船はあそこから出るからね。」

「帰りのバスの時間は何時ですか?」

「心配いらないよ。あんたが戻ってくるまで待ってるから。日本人が英語が苦手なことはわしはよくわかってるんだから!」と自慢げなおじさん。

出発までに時間があるので、カフェに入ってサンドイッチのみを購入。「飲み物もいらないの?」とびっくりするおばちゃん。「いりません」

水が鞄に入ってるし、朝買ったバナナもあるから。

こちらの人は何かといろいろ注文する。飲み物はもちろん、甘いデザートも絶対だ。

食べ終えると、水着に着替えるところがあるのか旅行カウンターのお姉さんに聞きに行った。「船の中にトイレがあるからそこで着替えて」

すると、二人の美女が運転する黄色い船が戻ってきた。どうやらこれっぽい。

乗り込むと全部で14名の客。全員欧米人。注意書きは日本語版があったので、日本語版にした。

それから、ジャクリーン・ケネディみたいな40代の女性と20代の金髪女性がそれぞれ説明してくれた。

船が出発すると、もうひとり助手っぽい若い女の子に「水着に着替えたい」というと「トイレに」と案内された。一つしかない。

みんなどうやって着替えるのだろうか?

水着の上に洋服を着て座っていると、イルカが。

船のそばで何頭ものイルカが泳いでいる。水族館みたいだと思った。

早く泳ぎたい。

しかし、周りにも同じようなツアーの船が何隻もあるため、ここでは泳がないようだ。

しばらくすると天気が悪くなった。雨が降り始め、寒くなった。持ってきていた洋服を全部着る。他の人たちは泳ぐのに備えてか、薄着(短パンに裸足でビーサン)であるため、隣の女性はふるえている。スカーフを取り出し、首にまいていた。

寒くなってきたので、操縦しているジャッキーを見習い(彼女は昼ご飯を食べながら、足で操縦していた)持っていたチョコを食べることに。もうひとりの金髪女性もリンゴを食べたりバナナを食べたりしながら、双眼鏡でイルカを探している。

また気づいたら眠っていた。

「残念ですが、今日はイルカとは泳げません。いつもこの辺りにいるのに、今日はいないんです」

ジャッキーと金髪女性がそう言うと、またもとの海路を帰りだした。

日本だと、「申し訳ございません」とか言って頭を下げ、すまなそうなそぶりを見せるだろうが、二人とも今日はいないんだからしょうがないでしょってな感じである。

おいおい、寒いし泳げないし何だよ!と心の中で思ったが、他の人たちは特に不満を言うでもなく笑顔である。

そのうちまた睡魔が。

一日中眠っている。遠くまで昼寝に来たとしか思えない。

到着すると金髪女性が笑顔で「サンキュー」と言った。その笑顔を見たら、イルカもあんなに近くで見れたし、良かった良かったという気分になった。

バスの運転手のおじさんが待っていた。

あんなにいろいろ食べたのに、まだお腹がすいている。

特に船のなかで前のおばさんが食べていたスナックが食べたい。

しかし、ここは日本でないからコンビニなどそうそうないのだ。周辺を見て回ったが、アイスクリーム屋さんしかなかった。

バスに乗ると、おじさんは朝と変わらずハイテンションであるが、客はノーリアクションである。

そして雨も激しくなってきた。

すると、急にバスが何かに乗り上げたように上下に動き、停車した。

「パンクしたみたいだ。ひひっ」とおじさん。

おじさんはいつも何か言ったあとにおかしいことでもないのに「ひひっ」と笑う癖があるようだが、このときほどその癖は直した方がと思ったことはない。非常事態に当事者に陽気にされたり、笑われたりすると腹が立ったりするものである。

ざわつく乗客達。

「他のバスがもうすぐここに到着するからそれまで音楽でも聴いて待ってて。ひひっ」おじさんの笑い声がまた悲しく響く。

しかも、音楽もクリスマスソングらしいが、弾んだリズムでこの場には全然あってない。陽気な音楽だけにさらにもの悲しくなる。

「バスが来たから、みんな乗り換えて。ひひっ」

どうやら、オークランドとベイオブアイランズとの長距離高速バスに乗せてもらえるらしい。

おじさんは一人で残り、修理の車を待つらしい。

雨も激しくなり、おじさんがかわいそうになってきた。他の乗客も同じように感じたのか、おじさんの背中をさすったり、声をかけたりしている。

私も「サンキュー」と声をかけると、「ひひっ」と笑ってくれた。

おじさんを残してバスは出発した。今度の運転手さんはごく普通である。

そしてまた眠っていた。

「休憩場所に着きます。15分間で戻ってきてください」

朝、バナナを買ったお店に着いた。

どうやらあのスノードームは私に買われる運命らしい。

朝と同じ状態で1つも売れることなく残っていた。こうして子羊は私のものとなった。

そして、見慣れたスカイタワーが見えてきた。オークランドだ。

なにやらいろいろあったが無事に帰れて何よりである。

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お別れの日

今日は最後の日。

そして曇り。初日の大雨の日のことを思い出した。

なぜか、朝食前に日本の職場でのイヤなことを急に思い出し、戻らなければならないことがものすごく苦痛になってきた。

オフィスに着くと、「おはよー」と中国系女子。最近、彼女は日本語を話すことにはまっている。

ぽっちゃりさんは大好きな緑色のセーターを着こなしている。

「日本に送る荷物は全部持ってきた?」ふたりに質問され、「持ってきたよ」と書類の束をみせ、箱に詰める。

10時前になると、ケーキおばあがやってきた。今日の私のためのスペシャルなケーキはチョコレートケーキの中にリンゴが入っているケーキだという。

11時までかかって作ったらしい。私が手裏剣を折っている間に、おばあはケーキを焼いてくれていたのである。

それから、真っ赤でおいしそうな大量のイチゴ。サンドイッチ、スナックなど次々と用意されていく。

ちょうどオフィスに来ていた中国人留学生が、「クリスマスパーティー?」と聞くので「違うよ」というと、「じゃあ何?」と聞くから、「私の最後の日だから」というと「フェアウェルパーティーだね」と納得していた。

パーティーのお礼に日本から持って来ていた笛を吹いても良いか?とぽっちゃりさんに聞くと、「もちろんよ。今のうちに練習しなさい」というので、吹いてみた。まあまあである。

さて、10時になるとどこからともなく人が集まり、いつの間にか好きな物を食べ始めた。もう始まりですか?

それから、私がインタビューした人たちにぽっちゃりさんがメールを送ってくれていたので、3名ほどわざわざ来てくれた。

ありがとうと彼らに言うと、みんな口をそろえて「わからないことがあったら、日本からメールしなさいよ。あなたに会えて本当によかった」と言ってくれる。

ケーキおばあは、カメラおばあに変身し、持参のカメラで写真を撮りまくってくれる。「はい、そこ並んで。あんたはでかいんだから、後ろへ行きなさい!笑って」といった調子で、私に「次はあそこに行きなさい」「次はあそこ」と細かく指示をしてくれる。

「私もカメラを持ってきてるから、私のカメラで撮って」と言うと、「あなたのパーティーでしょ?私が撮るわよ!」と言ってひかない。

しかし、メモリーオーバー。

私のカメラで撮ることとなった。

そこへ、ぽっちゃりさんが、「みなさん、お静かに!」の一声。

プレゼントとカードを渡してくれた。

そこで一言なんか言おうかというときに、「これから日本の笛の演奏をしてくれます!」そして拍手。

音の調節をして、吹き始めた。結果はまあそこそこ。

しかし、みんな喜んでくれたようだ。「あなたの演奏とても良かったわ」とたくさんの人が言ってくれた。

去年から練習していて良かった。芸は身を助けるとはこのことである。

それから、いつの間にか人が減って、この前のお誕生会のメンバーが残っていた。

中国系不思議ちゃんは、今日もすすんで皿洗い。「私はこれが楽しいから気にしないで!」

片づけを手伝っていると、ケーキおばあが、「あんたは主役なんだから、ここでお茶でも飲んでいなさい!」とのこと。

余ったイチゴやスナックをミルクティーと一緒にいただきながら、みんなを眺めていた。

おばあとぽっちゃりさんと中国系女子だけになったところで、日本から持ってきていた和柄ハンカチとカードをそれぞれに。

ぽっちゃりさんは、「まあ、きれい。鳥がついているわ。天使は鳥が好きだから喜ぶわ」と言ってぽっちゃりした体で抱きしめてくれた。

おばあに渡すと(おばあは朝いちばんで、私にプレゼントをくれていた。しかも結構重い。荷物と一緒に送れば?という中国系女子の意見に「だめ!」と全否定。荷物が減ったと思ったらまた同じになったのだ)「まあ、なんてばかな子なの?」といいながら、抱きしめてくれた。

それから、中国系女子に。「まあ、ありがとう。日本に帰っても連絡してね」

不思議なことだが、彼女にはまた絶対会えるという確信がある。彼女もきっとそうなのだろう。だからお互い結構笑っていられる。

それから、各チームに一枚のカードと私の力作の手裏剣を人数分配りに行った。

「あなたはなんて親切なの!」とみんなに驚かれた。

はかないアグネスは涙ぐんでいた。

それから、ぽっちゃりギャルと記念撮影。「また連絡してね!」もちろんである。

英国美人にも挨拶し、日本で2年間英会話を教えていた彼女に英語習得の秘訣を聞いた。「とにかく練習することしかないわ。でも、日本では日本語しかしゃべらないから難しいとは思うけど。できるだけ英語を聞くようにして。エクスチェンジパートナーを持つといいと思うわ!」

エクスチェンジパートナーとは、たしか私が日本語を教える代わりに相手に英語を教えてもらうというやつである。

つまり、しゃべらないことには上手くならないということだ。

お腹がいっぱいなので、サンドイッチだけ買ってきてオフィスで食べた。

それから、最高のチームのところへ。フレンチ美人は足を骨折していたが松葉杖をついてパーティーにも来てくれた。

リーダーはカードを渡すと涙ぐんだ。一緒に泣いてしまいそうだったので、話題を変えた。

すると、彼女の涙もおさまり、少し話した。

「最初に日本人が来るって聞いて私は嬉しかったの。私たちは日本語が読める人を必要としていたから。あなたと働くことができて本当によかったわ」

「こちらこそ、あなた達と働くことが出来てよかったよ。いつも誉めてくれたし」

「当然よ。あなたはハードワーカーだったもの。もし何かわからないことがあったらメールを送ってね」

それから心優しいコナン君にもさよならを言い、フレンチ美人にもさよならを言った。

彼らのオフィスを出ると、雨が降り始めていた。

走って戻ると、もう疲れていた。今日はもう帰ろうと決めて、荷物の準備をしていると、ぽっちゃりさんが、「これは私から」とオリーブオイルのオーガニックシャンプー、リップのセットをくれた。「リップを塗ってみなさい」というので、塗ると美味しい。「美味しいね」と言うと、「これは食べ物じゃないわよ!」と真面目に言われた。

ぽっちゃりさんにハグとキスをされ、お互い泣きそうになったが、こらえた。何しろ私は一度泣き出したらしゃっくりみたいのがでて、非常にやっかいなのだ。

そして、中国系女子ともハグ。「連絡してね」と彼女はいつものように微笑んだ。

「じゃあ、またね!」とみんなに手を振り、オフィスをでて歩いていると、泣けてきた。何回か我慢していたものが一人になって解き放たれたのだ。

泣けるほど別れが辛いなんて、私はなんと幸せなんだろうと思いながら。

ぽっちゃりさんがみんなの前で渡してくれたカードには、全員の寄せ書きがあった。それを見たときも泣きそうになった。

私が気づかないようにこっそりカードを回していたようだ。

それから、何人もの人たちが、「またすぐに帰ってきなさい!」「あなたはすぐに帰ってくるに違いないわ!」と言ってくれたことを思い出したら、また泣けた。

ニュージーランドにはいつも泣かされる。3度とも私は泣いた。別れの悲しさ、親切にしてくれたことの嬉しさ。いつも同じ涙である。

余談であるが、ケーキおばあのプレゼントもオーガニック化粧品であった。

どういうこと?もっとおしゃれになれってこと?

二人ともが別々のところで同じことを考えていたってことは、私は女としては相当ダメダメだったようである。

プレゼントを開けたら、かなり笑えた。

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手裏剣しゅっしゅっしゅっ

9時半からインタビュー。

無理矢理お願いした相手だったので、また緊張。

出してくれた紅茶をこぼす不始末を。

11時から、偉い人にインタビュー。

これまた緊張で言っている言葉が右から左へ。

そのときはわかっていたつもりが、ぽっちゃりさんの部屋に戻るとわからんことに気づく。

「これってこういうこと?」と中国系女子にいちいち聞いてみると、ほとんどが私の勘違い。聞いてみて良かった。

午後はそれらを和訳し、報告書作成に備える。

なぜなら明日が最後の日だから。一体何通「ありがとう」カードを書くのか未だ定かではないから。

帰ってから、まず今日のインタビューのまとめ。

それから、カードの数とスタッフの数を数えてピッタリと気づいた。我ながらたいしたものである。

100円ショップで買った千代紙。このまま日本に持って帰るのもどうだろう?と定番の鶴を折ってみたが、なにせ100円ショップの千代紙。紙が薄いから全然きれいじゃない。

ネットで折り紙の折り方を検索。折り紙なんてもう何十年もやってないから、鶴以外プレゼントに最適なものを思いつかないから。

手裏剣というのがあった。2枚の折り紙を使うので見た目にもきれい。手裏剣などと誰が思おうか?

試しに折ってみた。100円ショップの千代紙とは思えないできばえ。調子に乗って何枚も折ってみた。すると、今度は全員の分を折らないといけないことに気づいた。

途中でやっぱり鶴にしようと折り始めたら、見た目がしょぼい上に、手裏剣より手間がかかることに気づき、鶴を解体し、手裏剣へ変更。

千代紙の色で目がちかちかしたが、とにかく我を忘れて折り続けた。こんなに折り紙を折ったことはかつてない。

千羽鶴も折ったことないから。

しかも、手裏剣だし。

色の組み合わせをどうしようかと、しょうもないことでも悩みつつ、何とかやり遂げた。

果たしてこれを喜んでくれるのだろうか?

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君に薔薇薔薇

今日も晴れ。

ぽっちゃりさんにお願いしてあった質問の回答をもらった。

が、しかし、添付資料が多いこと。全部訳すのか?

今日は他にすることもないので、読んでいると、質問しないとわからんことがいっぱい。

「今いいですか?」と聞いて早速質問。

そして、私の日本の職場では考えられない事実が。

今の仕事と無関係のことで勉強したい場合、フルタイムで働けなくなっても今までどおりの金額の給料が支給されるというのだ。

うちの職場では、「代わりに誰が仕事をするのか?お前の分まで私がするのか?しかも今の仕事に関係ない勉強ではないか?」等々まず言われるね。

それから、それでもがんばって自分の仕事をこなしながら勉強していたとしても何かがあると、「だから、ムリなんだよ!二足のわらじは!」「仕事に集中しないなら辞めてくれ!」ってことになるね。

職員のキャリアアップは、仕事に関係ないことでも職場の財産とみなされるらしい。

素晴らしい。

それから、おじいの日本製トラクターの使用方法の翻訳のため、中国系女子とベトナム女性といっしょにおじいの家へ。

ここはどこ?イギリスのカントリーサイド?

と思われるような広大な庭に花や果物の木がたくさん植えられている。しかもプールつき。

プールの上には橋?みたいのがかかっていたから、みんなで質問すると、

「この前ここで結婚式をやったんだよ。この橋の上を新郎新婦がわたったんだよ。150人ぐらい集まったかな」

うちの日本の家に150人集まったら、まず、みんな立ったまま。近所からうるさいと苦情がくるだろう。

それから、メインのトラクターの使用説明の翻訳へ。

トラクター自体に貼ってある「注意」とか「スイッチオン、オフ」とかそういう翻訳だった。取扱説明書でなくてよかった。

無事翻訳を終え、記念にトラクターと一緒に撮影。

それからおじいの豪邸で、おじいにミルクティーとビスケットをいただき、ティータイムとなった。デッキでプールと広大な美しい庭を見渡しながら。

ベトナム女性はとてもよくしゃべる。英語がいまいちの私にはそのテンポについていけない。次々に話が飛ぶのだ。

「ここは田舎だから月明かりがよく見えるんだよ。ベッドの中で月の位置が移動していくのがわかるんだ」とおじいが説明すると、

「月明かりの中でプールで泳げたら最高じゃない?ってことは、朝日も見えるわね。朝日とともにヨガをするのもいいわね。おじい、これをビジネスにしなさいよ。まず、ウエディングとかのパーティー用にプールのレンタル、バラでブーケやポプリを作って販売、果物つみ、果物を使ったジャムの販売・・・」と途絶えることなくしゃべる。

私と中国系女子はツボにはまり、ずっと笑っていたが、おじいはちょっと黙って欲しいという顔つきだった。

帰り際に、おじいは、みんなにきれいなバラを切ったり、新鮮なレタスをとったり、ミントをくれたりした。

素敵な午後だった。

人生を楽しむことを、毎日、ニュージーランドは私に教えてくれる。

人間らしく生きるとはどういうことか?

自分のために生きるとはどういうことか?

私が忘れていたことを少しずつ思い出させてくれる。

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コナン君といっしょに

朝は曇っていたが、12時前には晴れていた。

こちらの天気は変わりやすい。

今日は最高のチームへ行く日。

オフィスへ行くと、眼鏡美人リーダーが、「フレンチ美人がカウチで足を打って骨折したの。だから今日は休みよ」とのこと。

骨折!大変である。

「今週中には仕事に復帰するの?」

「大丈夫よ。金曜日にはあなたにさよならできると思うわ」

とりあえず、昨日から引き続きの留学生の子供達のクリスマスパーティーのプレゼントの包装をやりに金髪女性のところへ。

すると、1ヶ月間出張?していたアドバイザーのベトナム女性が今日から出勤していた。お互いに握手を交わし、あと数日しか一緒にいられないことを悲しむ。

不器用な私がプレゼントのラッピングである。昨日はなれていないせいか、包装紙を無駄に使ってしまった。金髪女性が包装紙を追加購入してくれている。

エコな私としたことが。

今日は妙にエコな気分になり、昨日の包装紙の切れ端をつなぎ合わせてむりやり包んだりしてみる。

超エコなラッピングも1時間で終わった。金髪女性に「ブリリアント!」と誉めてもらった。

英語にはたくさんの誉め言葉があるが、相変わらず私の語彙はいっこうに増えない。

リーダーのもとへ帰ると、今日はフレンチ美人のデスクで、エクセルに学生の記録を入力してほしいとのこと。

しゃべらない仕事は得意である。

渡された分を終えると、コナン君に「終わったけど」と言ってみた。

「もう終わったの?じゃあ、これを続けてやって」とさっきの倍以上のファイルをくれた。

渡された仕事は今日中にやってしまいたい、という日本人的発想。

これが働き過ぎの原因ではなかろうか?

「今日は私はミーティングがあるから、コナン君と二人で食べてくれる?」とリーダー。

オフィスの隣のいつものテラスでランチ。

コナン君と二人でご飯を食べるのは初めてである。

彼は物静かだが、とても優しいし気が利く。

「コナン君はニュージーランド人なの?」

「そうだよ。ここは、とても国際的だからいろんな国の人がいるから、ニュージーランド人のほうが珍しいかもしれないね」

「なんで韓国語がしゃべれるの?」

「妻が韓国人なんだよ。でも、ヒアリングはできるけどスピーキングがまだね。僕たち夫婦の会話は英語と韓国語の半分半分なんだよ」

なるほど。

それからコナン君のお気に入りニュージーランドスポットを教えてもらった。なかなかアクティブな人のようである。

「ニュージーランドはいいねえ。自然がいっぱいで」

「じゃあ、こっちで仕事すればいいじゃないか?」

「でも、ぽっちゃりさんが私には仕事がないだろうって言ってたよ」

「あるだろう?こっちの人はいろんな国やいろんな仕事をしているよ。日本人みたいにずっと同じ国で同じ仕事をしていないよ」

そうだね。私が聞いた最長勤務年数が、ぽっちゃりさんの5年間である。

「ニュージーランドはとてもいい国だよ。こっちで働きなよ」

コナン君がもっと偉い人なら可能かもね。

それから、渡された分の仕事を終えると、約束していたインタビューの時間が迫っていたので、今日はそのまま帰ることにした。

で、インタビュー。これは、私が個人的に興味があるという理由で急にお願いしたので、とても緊張する。

この人かな?と今日2回思った年輩の女性がそうだった。

学生のカウンセラーをされている。彼女は私の不安を素敵な笑顔で消し去ってしまった。

しかし、私の英語力である。私の英語になれてない彼女には伝わらないことが多々あって、「スペルを言って」と言われること数回。

「私の英語がわからなかったら、聞きなさい」と言ってくれるので、易しい言葉で言い直してもらうこと数回。気づけば1時間もたっていた。

学生の1回分のカウンセリング時間である。

帰る間際にもう一人のカウンセラーの年輩の男性を紹介してくれた。この人の笑顔も素敵だった。

「この仕事はとてもやりがいがあるわよ」と言って微笑んだ彼女。

思い切ってインタビューのお願いをしてみて良かった。

帰り道、本屋に寄ってみると、日本の漫画コーナーで数人のアジア系男子が立ち読みしていた。ちょっと覗いてみると、ちゃんとあったよ。コナン君。ニュージーランドでも人気らしい。

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お茶の味

今日も快晴。

いつもより格別荷物が多いのは、抹茶をたてるための道具を持っていっているため。

早速、ぽっちゃりさんと中国系女子に「抹茶飲まないか?」と聞いてみた。

ぽっちゃりさんは、顔をしかめ、「今はいらない」と。

中国系女子にたててあげると、本気でおいしいと言っていた。

昨夜、滞在先のご夫婦にたててみると、旦那さんは「これは薬か?」と言って残したから、これを持ってきたのは失敗だったかもと思ったが、荷物を減らしたいので持ってきてみたのだ。

「私はケーキとかアイスにかかっている抹茶が好きよ。飲んだのは初めてだけど、おいしい。これはきっと怪しいガイドも好きだと思うわ」

と言っていたところへやってきたので、飲ませたら、おいしいとのこと。

次にロングヘアーのリーダーがやってきて飲みたいとのこと。たてたところにバブル期の温子登場。リーダーの茶を「飲みたいわ!」と言って飲んでしまった。

いちいちお茶がいるか聞くのは面倒なので、「お茶が欲しい人は呼んでください」と張り紙をした。それを見た、中国系女子はオフィスのスタッフ全員にメールを送ってくれた。

なんて気が利く素敵女子なんだろう。

メールを見たスタッフが続々とやってきた。

アジア系には人気であった。

いつもは滅多に接点のない偉い人(中国系)も、「おいしいから日本食のスーパーで買ってみるから、なんといって買えばいいか教えて欲しい」と言ったので、メモしてあげた。

10人以上にはお茶を点てた気がする。

お茶碗は重いから、使い捨てのプラスチック容器で。

「こんなでかい容器で飲むのか?」(インド系女性と中国系の偉い人)とか「海草のにおいがするが、海草か?」(中国系男子とぽっちゃりさん)とか「砂糖を入れた方がおいしくなる」(メキシカン女性)とかいろんな反応があっておもしろかった。

ぽっちゃりさんは、顔をしかめながら飲み干した。

ランチにコーラを飲むぽっちゃりさんには、まずかろうと思っていたので、ムリしたなあと思っていたら、

「これは、最初はおいしくないと思ったけど、飲んだ後にすっきりするわ。頭が冴えてきたわ!」とリーダーと同じことを言っていた。

手作りケーキおばあは、「おかしな味がする」と言ってリタイア。

インド系女性も、「向こうで飲むわ」と持っていったが飲み干したかどうかは謎。

中国系男子は、「インタレスティング」という言葉で逃げたが顔がもう二度とごめんと語っていた。

英国小顔美人は、いつも控えめに挨拶してくれるだけだが、「お茶を点ててくれる?」とわざわざ来てくれた。

1年間東京で、もう1年は京都で働いたことがあり、抹茶が好きなのだそうだ。

いつもあまり話す機会がない人とも、お茶をとおして話をすることができた。

お茶を習っていて良かったと初めて思った一日だった。

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